大日本帝国と日本国
「おおっ…。こりゃあすごいな…。よし、未来から来た事は認めよう。ただ、先程のビデオで見た様に日本は負けるんだな?ならば、貴艦隊の力を貸してはくれまいか?」
「…日本海軍に編入されよ、というのですか?」
「そうだ。勿論今すぐに、とは言わない。乗員と話し合ってから決めてほしい。良い答えを待っている。」
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その夜、会議とアンケートが行われた。
勿論、艦隊を大日本帝国海軍に編入するかどうかという話である。
「ここはやはり我が国である!編入されるべきではないのか?」
「しかし、戦争がこの先あって、日本は負ける!その時にこの艦が沈んだり賠償目的で譲り渡されたりする可能性もゼロではないぞ!」
「大日本帝国に編入されなければ我々の行き場はないぞ!」
熱い論議が交わされるなか、斎藤海将補が静かに言った。
「落ち着け。…これよりアンケートにて決める。このアンケートで賛成多数ならば編入、反対多数ならば編入せず、で良いだろう?それに反対する者は今すぐこの艦隊から出て行ってもらえばいいではないか。気に入らないのだからな。」
場が静かになり、アンケートが配られた。
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翌日、アンケート調査の結果が出た。賛成が52.8%、反対が32.5%、その他は無回答であった。これにより、大日本帝国へ編入されることとなった。ただ、条件が付いており、
一、帝国のどの部署にも属さないこと。
二、横須賀・呉・佐世保・舞鶴の四鎮守府を自由に使用可能にすること。
の2つのみである。これを海軍軍令部は快く了承。海上自衛隊のやまと以下艦隊は帝国海軍に籍が変わったのだ。
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「兵器の開発はどうすれば良い?」
そう斎藤海将補は山本長官から聞かれた。
「と、いいますと?」
「現在、我が海軍は大和の建造を開始した。この建造は中止すべきであるか?」
「まだ起工した直後ですよね?なら、中止しないほうが良いです。ただ、後部を飛行甲板にして下さい。また、同型艦の建造は一切無し。としてください。」
「ほう?やはり大艦巨砲主義は廃れるのか…。航空戦艦とは?」
「はい。航空戦艦は、後部を全て飛行甲板化し、カタパルトによって水上機を発艦させます。また、その水上機の開発も急がねばなりません。ここは応急処置として艦戦にフロートを付けたものを採用しましょう。あ、艦戦に関してもうちの書庫に高性能レシプロエンジンの開発図面があったはずです。それを使えばよろしいのではないでしょうか?」
「なるほどなあ、よし、菱住重工に連絡、新型艦上戦闘機の開発と同時並行で水上機開発もさせろ、とな。あ、斎藤海将補。その高性能レシプロエンジンの図面を持ってきてくれんか?菱住重工に送りたい。」
「了解しました。持ってきます。」