タイムパラドックス
「おお、久々の横須賀だなあ…」
斎藤海将補以下ほとんどの主要メンバーは、海軍より許可を得て上陸した。
「やっぱり、ここは日本なんだな、って感じますねぇ。」
「だなあ。よし、ここからは自由に行動しろ。夜までには横須賀港へ戻ってこいよ。」
「了解しました!」
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しかし、ふるさと、という感じだ。
レトロな看板…まあ、要するには左から右に書くのではなく、右から左に書くような感じで、
『店服呉藤斎』とあった。
ふーん、苗字が同じだなあ、と思いながら聞き覚えがある、と感じた。
店の前で1分ほど考えていると、思い出した。
(俺の爺ちゃんが、昔は横須賀で呉服店を…って、本当だったのか?)
見る限りはそうも見えない。どこにでもありそうな服屋だ。
しかし、入ってみる勇気などなかった。何故なら、一度こういうことをすると世界がおかしくなる、と聞いたからだ。…あれは補給長から聞いた話だったか…。
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夜。上陸日も終わり、食堂に一同が集結した。今日は金曜日、カレーの日だ。この艦のカレーは、格別に美味しい!…気がする。
こういっても、十年くらいはずっと陸上勤務だったので、前任艦のカレーの味なんて忘れたというのが実際である。
「あ、補給長。」
「何ですか?」
「前、あのー…タイムマシン?関係の話ししてたよな?」
「ああ!してましたね!」と副長が首を突っこむ。
「それがどうかしましたか?」という補給長の華麗なスルー。
「いやあ、あれあれ。なんだっけ…。あ、タイムパラドックス?って言うの?あれってそうなったらどうなんの?」
「タイムパラドックスとは、時間軸を遡って過去の出来事を改変した結果、因果律に矛盾をきたすことである。…ということです、わかりますかね…?」
「うーむ、何となく。」
「よく例えられる例としてはですね…。自分が生まれる前の時代にタイムトラベルをして、自分の親を殺す。そうすると結果として自分自身が生まれなくなるはずですよね?なので、存在しないはずの未来の自分が過去にやってきた結果、未来の自分が存在しなくなるという矛盾を来たす…ということです。まあ、ここはパラレルワールドですから、気にしないほうがいいと思いますよ。」
「そ、そうか…。ありがとな。」
「いえいえ。」