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二.なんとやらのスープ

前回の続き。解答編。

・花川春樹*高校一年生。面倒臭がりで推理小説が好き。

・堺麻子*高校一年生。黒髪眼鏡の優等生。茶目っ気もある。

「さて、さかい麻子まこ探偵の回答をお伺いしようじゃないか」

 僕がそう役者めいた口調で言う。堺さんは頷いた。

「書き込んだ答えは全て間違っていて、それは黒色ではならないと花川はなかわさんはおっしゃいました。後から付け足したことがわからないような黒鉛筆を用いるのですから、その目的は偽装だと思いました。そこから導き出した私の考えは次のとおりです」

 堺さんが口を開くのを待つ。

「花川さんはテストの間、ほとんど居眠りをしていました。ということはつまり、解答用紙はほとんど白紙ということになります。その答案を返却された花川さんは、家に帰ってからのことを危惧したのです。この解答用紙を見せれば、厳しい両親のことだ、凄まじい雷が落ちるに違いない。

 そこで花川さんは解答用紙に細工をすることにしました。ですが、点数を偽装するのは無理がある。そこであなたが行ったのが、間違った解答を書き込むこと。――テスト中は『居眠りをしていただけ』という真実を、『頑張りはしたが実力が及ばなかった』という物語に変化させたんです。いくら妹と自分の扱いにギャップがあるといっても、始めから答えるつもりのない――頑張りが窺えない、白紙の解答用紙を親に突き付けるのは大目玉を食らうのが目に見えています。親に怒られはするでしょうけど、やる気のない姿勢を見せるよりかは幾分だけマシ――という思考なんですよね? 

 ……どうでしょう、私の回答は」

 堺さんが微笑む。僕は嘆息した。

「正解だ。まんまと当てられたな」

 彼女に拍手を送ってやりたい。できることならスタンディングオベーションをしてあげたいくらいだ。

「最初に」

 堺名探偵は言う。

「花川さんはこの高校にはテストが多いと愚痴をこぼしていました。私はテスト範囲が狭まるから助かると答えましたけれど、花川さんからしてみたら、親に叱責される回数が増えるだけですもんね」

 確かに、その言い分は文句のつけようがない、百点満点の答えではある。けれど、僕は自嘲気味な笑みを浮かべてこう応えたのだ。

「堺さん、それを嫌味と人は呼ぶんだぞ?」

ありがとうございました。

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