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第1話:職探し


「久々津!久々津はまだか?」


リーダー格の男が叫ぶ。


「まだ来てないみたいです。」


若い男達が返事をする。


ヤバイ!啓太は時計をセットしていたが、今日も見事に寝坊をしてしまった。

急いで朝食を軽く済ませ、着替える。

家を出るときに携帯電話の時間を確認した。


8時50分


集合場所へは9時までに行かなければならない。

家からは早くても30分はかかる。完全に遅刻だ。

出来る限り急いだが案の定付いた頃には9時を悠にオーバーしていた・・・


はぁ〜 はぁ〜


息が荒い。


「すいません!遅れました。」


「もういいよ。」


「はい?」


「もう来なくていいから。」


リーダー格の責任者が呆れた顔で言った。


「いや・・・」


「もうクビだから。ク・ビ!」


すぐさま啓太は色々言ったが、時すでに遅し。

聞く耳をもってくれなかった。

頭に血が上った啓太は去り際に叫んだ。


「ケッ!こんなとこ辞めてやるよ!」


唾を吐いて立ち去った。


クソッ!少し遅れたぐらいでクビにしやがって。あの野郎。

と言ったものの、これからどうしようか悩んでいた。

近くの公園で、コンビニで買ったおにぎりを食べ、朝食では満たされなかった腹を満たす。

どうすっかな〜 ひとまず求人誌でも見るか。

帰りにまたコンビニに寄り無料の求人誌を手に取る。


カンカンカン


所々錆が目立つ階段を上る。築30年のアパートは年季が入っている。


ガチャ


啓太の部屋は少々ボロくなっているが、ひとりで住むには十分な広さの空間がある。

小さいテレビ、二つ折りになっている万年床の布団、木のテーブル、小さい頃から

使っている本棚。壁にはお気に入りのジョニー・デップのポスターが掛けてある。


「ジョニーはいつ見ても格好いいな。」


そんなことを呟きながら求人雑誌をパラパラと捲る。


ビルの清掃員募集 時給800円


清掃はしんどいな。


コンビニのレジ・品だし・清掃 時給750円


接客は苦手だ。


新聞配達(朝刊・夕刊)1日4000円


お、結構いいな。でも早起きはキツイな・・・


って、何もできねぇじゃん。こんなんで大丈夫か?

啓太はあれこれ言う自分に少し嫌気がさした。

ふと目を引く項目があった。


時空研究会 研究員募集 日給(8時間) 1万円


い、いちまん!?


マジかよ。こりゃおいしいな。


しかし時給研究会?なんじゃそりゃ?

今の俺にはどうこう言ってる場合じゃないか。

早速連絡先に電話した。


「あ、あの求人雑誌を見て電話したのですが。」


「分かりました。では面接の日時と時間を言いますので、メモの準備はよろしいですか?」


若い女の声がした。


「では来週の月曜日の14時に×××ビルの3階の時給研究会にお越しください。」


「はい、分かりました。失礼します。」


思ったより若い人がいるんだな。しかも女か。

今までは男が多い派遣会社にいたため、久しぶりの女の声にワクワクしていた。


さてと、暇だしパチンコでも行くか。陽気な気分で家を後にした。




これから啓太の生活が急変するとも知らずに・・・


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