行間
今回は主人公抜きの話となります。
いつものごとく行き当たりばったりですがお付き合いください。
E-5が蹴飛ばされ壁にぶつかりその場に倒れ込む。
研究員たちも他の4人も何が起こったかがすぐにはわからず、E-3だけが掴まれているのを振り払いE-5にすがりつく。
「Aランクとはいえ、やはり餓鬼か」
身なりの良い男はそう言いつつ悪意のある視線でE-5を見ている。
そしておもむろにE-5の方へ近づく。
その場にいる全員が何をするかがわからず行動を見ている。
そうすると男は唐突にE-5を蹴ろうとする。
が、そこに静止の声がかかる。
「貴様にそんなことをする権限があるのか?」
その言葉にその場にいるもの、その男も含めて全員が声の元を見る。
E-3にはその人物に見覚えがあった。
男は不安を抱いていた。
この街はランク制によって成り立っている。
その中で少しでも暮らしていくなら自身のランクを知っておく必要がある、そう思い自分のことを監督と呼んでくれる5人のランクの調査の為の施設に来た。
しかし、その施設には碌でもない噂ばかりがあり過去に自らもランクがわかった直後に施設から逃げるようにして出てきたのである。
その噂が本当だったら、その考えが頭をよぎり彼をその場につなぎ止めている。
ふとそこで声がかかる。
「貴様はこの間の子どもたちの保護者ではないか?」
その言葉に振り返ると、先日すれ違っただけの関係のAランクの女性がその場にいた。
彼女は続け様に言葉を紡ぐ。
「ここにいるということはあの子どもたちは今ランクを調べているのか。
そうなると今から乗り込んだ方が良いかもしれんな。」
本来ならば言葉を挟むことをしないようにするべきなのだが、その不穏な言葉が引っかかり食い下がってしまう。
「貴女はこの中で何をしているのかを知っているのか!?」
「もちろん知っている。貴様もついてくると良い、教えてやろう。」
そういってそのまま歩き出す。
男は自分がこの街につれてきた5人を思い浮かべ、足を踏み出すのであった。
その場にいたものの視線を集めたのは1人の女性であった。
黒でまとめられた服装でそこにたたずんでる女性はある種の威圧感を感じさせる存在だった。
Aランク
それはこの街の中で最大の権力を持つものである証明であり、下のランクの人からすれば理不尽の塊でもある。
それが目の前にいるのだ、研究員たちは一切動くことができなくなっている。
しかし、E-5を蹴ろうとしていた男だけは気にする様子も無く話しだす。
「おや、これはこれはAランクの方ではありませんか。このたびは何用でここへ足を運ばれたのでしょう?」
演技じみた話し方で声をかける男だが、その言葉に返事はなかった。
「今のを見たか?これがこの施設の噂の元だ。
こんなゴミがこの施設の所長だというのだからここも立て直した方が良いかもしれんな。」
「俺が昔ここから逃げた理由が今はっきりした気がする。
ここにつれてきてもらい感謝します」
そこにいたのは監督だった。その姿を見て4人は駆け出そうとするがE-3だけはできなかった。
なぜならE-5がまだ意識を取り戻していないからである。
しかし、周りは止まること無く話が進んでいく。
「所長、貴様は確かBランクであったよな。なぜAランクに手をあげようとしたのだ?」
「それはこのものが不躾な態度を取ったから致し方なく。
私は逆らおうという考えは持っておりませぬ。」
「ならば、どのような態度であれ貴様にはその行動をとる権利はない。
この件は上の年寄りに報告させてもらおう。
それとその5人は私が預かる、手は出すな。」
そう言い放つとE-5を抱き上げ歩き出す。
監督と残りの4人もそれについていき、その施設を出る。
その場に残されたのは、状況についていけず呆然とした研究員と自身に放たれた言葉を理解して絶望する所長だけであった。
今回の話は2話の始めの部分に繫がる回となっております。
次の話にどう繋げるかはうっすらとしか考えてないですがおかしなことにならないよう頑張ります。
読んでくださってる方々本当にありがとうございます。