同じ思いの彼
コツンッ コツンッ!と、ヒースという名の男のブーツの音が響く。
「ついたぞ。中に入れ。」
牢屋を指差し、理央の背中を押す。
「なんでこんな事してるの?」
静かに聞いた、理央の問いに答える間もなく、ヒースはドンッと理央を押し込み、足早に去って行った。
「はぁ……。」と、ため息をついた。
その時だった。声が聴こえたんだ…
少し低めの甘い声。 溶けて消えてしまいそうな、そんな声だった。
「貴方…だあれ?」
思い切って聞いた。
「オ…レ? 俺は、、捕まった村人…かな。大好きだった姉さんの敵を取りたかったんだけど、なんだかあっけなく捕まっちゃったなー。」
甘い声で、呑気に語る男。何故か微笑んでしまう…
「貴方、何処らへんの牢に居るの?」
「梨紅でいいよ。君の牢の斜め右かな?」
な…斜め、、右。と振り向くと、そこには、黒髪の、少しマル目の男が、こちらをニコニコと見ていた…
「初めまして。君は、名前なんて言うの?」
理央は、心臓の音が異常に大きくなっているのに気がついた。
「理央…です。よろしくね?私も、敵討ちのつもりだったんだけど、あっけなく捕まっちゃった…えへへ。」上手く笑えてない自分…。それでも微笑んでくれている彼を見て、理央は心惹かれていった。
短くて申し訳ないです…