連れて行かれた露奈
「痛いっ!やめてぇっ」
どんどん強くなっていく腕に、理央は悲鳴をあげた。
「…あれぇ、ここ何処?」
露奈は目を覚ました。 ちっ、と舌打ちをした男が、パチリと指を鳴らした。
スタスタ… 仮面を被った男達が数十人現れる。
「その女性を牢へ。」
「!?」
ガシリとつかまれ、泣き叫ぶ露奈を、あっという間に、連れて行った。
「露奈!あんた、露奈をどこに…」
さらりと理央の髪にふれ、男が言った。
「君は美しい。こんなに美しい人がくるなら、ヒースに賛成かな。」
なにを言ってるんだこいつは。
どんなにかっこ良くても。今は、理央の怒りの材料にしかならない。
バンッ! 勢いよく何が男のもとに飛ぶ。
これって…ナイフ!?
理央は気が動転して、パニックになった。
「俺の物に手ェ出すなって言ってんだろ!この女ったらし!」
イキナリでて来て怒鳴る男。ソレを冷静に受け流す男。理央は、その光景を、ポカーんとみているしか出来なかった。
「ヒース、お願いだよーこの子だけ譲ってくれないかい?」
「ふざけた事を言ってると、今度は心臓を射抜くぞ。シトラ。」
どうやら、最初にいた男の名はシトラと言うらしい…
「オイッ、お前、こっちへ来い!」
「わっ…私?」
「そうだよ!さっさと来いよ!!!」
…まさかこの人が、皐月の殺し屋?また、怒りが込み上げてきた。
「嫌よ!」理央は、強く言い放った。
「だってさ…ヒース!」
笑いをこらえながシトラが言う。この人は、ヒースを怒らせたいだけなのか…
理央は、呆れる。
「お嬢さん。一つ教えてあげる。」
理央は、シトラの方へ振り向いた。
「なん…ですか?」
「ここには、俺とヒース以外に三人危ないやつが居るから、気をつけろよ!」
「…はぁ、、わかりました。」
先行き不安だが、一歩皐月の殺し屋のもとへと近づいている事が嬉しかった。
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