皐月の手紙
駄作ですが、お暇があればどーぞ。
緑豊かな大地広がる。
五月に咲く紫陽花は、この時期が見頃。辺り一面に咲く紫陽花は、この世のものとは思えない程に美しい。
けれども、この村の住人は、この時期を好まない。
何故なのか。それは、五年前。一通の手紙から始まった。
村に届く、一通の内容。
「これから毎年の五月。紫陽花が咲き乱れるころ、この村のシンボル、大きな木のある場所に、若い女を二人。用意する事。これを守らぬと、お前らの村の人間を、10殺す。他の村に言った場合、村の人間を30殺す。 皐月の殺し屋」
と…いう文章だ。
もともと、この村の人口は百数人。村長は焦った。直ぐ様、村人達を呼んだ。
村長は言った。皐月の殺し屋というものから、手紙が届いた事。女を紫陽花が咲き乱れるころに、イケニエとして、出さねばならないという事。
これを聞き、慌てるもの。泣き叫ぶもの。大人しくなるものが、多々出た。
そんな中で一人。五年前は、十一歳の少女は、凛と立っていた。
彼女の名前は、理央。小さな頃からその美しい容姿で、村中を魅了した。まるく、パッチリとした目は、二重で、輝いていた。雪のよな白い肌は、より一層彼女を引き立てるのだった。
彼女は、生まれてすぐに母を亡くし、父も早くに亡くなった。
けれども、彼女の目には、これからの未来と、限りない可能性が、鮮やかに彩っていた。
お婆さん、お祖父ちゃんにかこまれ育った環境は、理央の心の闇をうち払った。
いつまでも、楽しく過ごしたかった。
手紙がきて、三年が経ったある日、村の人間は、イケニエを差し出すのを辞めた。
ザアザアと降り注ぐ雨のもと、十人が殺された。
理央のまぶたからも、涙が雨の如く落ちていった。
理央のお婆ちゃんとお祖父ちゃんが殺された。
誤字などがあったら、注意をお願いします。