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【天使】養殖(6)

作者: AMAKA

 忍び笑いの声がして、


「まるでドラマのせりふそかり。吐けて快感そかり? 脳内BGMが流れたか? キラキラしたか?」


「【神女】はん……」


 気づかわしげな【天使長】の言葉も無視して、


「怒っておらぬ? さもあらむそかり! なむちら【準民】はいつも歯を喰いしばり、耐えに耐える。耐えに耐えて耐えに耐えて耐えぬいて、あげく結局、きまって最悪にして手遅れなタイミングにてぶち切れる。虐げられた家畜のように」


「ほんだけ『レディーズアンドジェントルメン』ちゅうことでおまっしゃろ……」


「つまり、『めかしこんだつもりの豚』か?」

 

「【神女】はん、もう勘弁しとくなはれ。かりにも協力しよか言うてくれてるお嬢やんらにそら無茶だっせ」


「なぜ? 『肉といえば豚』の豚肉喰らいならもう豚と同体にてはそかり?」


「【神女】はんっ!」


「たわむれそかり。その怒った顔ぞ見たかりき」


 泣きそうな声で【天使長】、


「お頼もうしますわ、なぶらんといておくれやす……対【天使】戦の最中でおまっせ……?」


 楽しげに笑う【神女】は、


「ならば、あとひとつだけ。……汝ら【準民】のなかには、自身の話す【準弁】が『サムライ方言』、とくに『ハタモトジキサン弁』を祖型に造られしことを喜ぶオタンチンもおるようそかりが……汝らは本当に、ただの一度も、疑問に思わざりしそかり? 『八万騎』もの強大な戦力を呼号しながら時代を画するいくさに完敗し、これだけは守るべき最終最大最高の拠点さえ無血で差し出した見かけ倒しどもの使う『負け組の言語』が、なにゆえ『国家標準』とされたのか?」


 ぐっふぅ……。


 ていう、【天使長】の気絶寸前のあえぎ。(『【天使】養殖(7)』に続)

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