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腐れ縁は永遠に? 最終章

 それはある日突然、体育の後の移動途中で告げられた。

「俺、澄川さんに告白する」

「・・・え?」

 俺は一瞬何を言われたのか理解できず、その言葉を告げた声の主・・・青山の方を向いた。

「ごめん、こんなこと言われても困るよね?」

 そう言って取り繕いながら僅かに笑みを浮かべる青山。訂正する様子もなく、俺の耳に入ってきた言葉が聞き間違いなどではないことを証明した。

「でもこれは、荒沢くんには先に言わないとって思ったんだ」

 何か言おうにも、口が開いたまま何も言葉が発することができず、身体も動かせない。そんな中でも青山の口から告げられる言葉だけは耳に入ってきて、俺はただただそれを聞いていることしかできない。

 そもそも俺は何でこんなに動揺してるんだ。今までも有希目当てで俺に擦り寄る奴らはいた。でも改めて考えてみると、有希に告白すると宣言されたのはこれが初めてだからそのせいなのか。それとも相手が青山だからだろうか。青山はこの高校に来て初めてまともに話せる相手で、有希目当てで近づいてくる奴らのような下心を感じたことはない。それにも関わらず、有希に告白すると宣言されて動揺したのかもしれない。

 そうやっていくつも考えられる理由は浮かんだが、そのどれもが自分を無理矢理納得させようとしてこじつけているとしか思えず、胸の奥に引っ掛かる感覚は消えなかった。

「・・・何で有希?」

 ようやく口から出たのはそんな言葉だった。あまりに単調で、時間稼ぎにもならない短い言葉。そんな雑にも思える俺からの問いかけに青山は静かに答えてくれた。

「まぁ、入学して初めて見た時から可愛いなって思ってた。けど澄川さんは荒沢くんが好きって分かって、あんな可愛い子に好きな人がいてもおかしくないよねって早々に諦めたよ」

 青山は有希に一目惚れをして、有希の想いを知って諦めた。あまりにも早い失恋だったのにも関わらず、青山は落ち着いた声色を崩さない。多分、まだ続きがあるのだろう。

 その後、青山の口から有希に好意を抱くようになった核心とも言える理由を告げられ、それを聞いた俺は思わず息を呑んだ。

 有希目当てになる奴らは皆外見だとか愛想だとか、そんな上っ面な所しか見ない連中ばかりだった。けど青山は違う。一度は外見で判断したものの、その後に有希の内面を見て好意を抱いている。俺以外で、有希のことをちゃんと見てくれて、それに好感を抱いてくれていることを嬉しく思う。

 それに有希も青山と話している時は何だか楽しそうで、俺やクラスの連中に向けるものとは違う、また別の意味を含んでいそうな表情(かお)を見せていた。最初こそ驚きはしたものの、それは青山が俺と普通に話している奴だから、他の連中とは違って下心がないからだと勝手に思っていた。でも改めて思い返してみれば、有希が青山に見せる”あの表情(かお)”を俺は見たことがなかった。

 今まで有希は何をするにしても一緒で俺から離れようとせず、いつも俺を追いかけ回すくらいに俺しか見ていなかった。しかしその反面、有希が他の奴と話す時はいつも普段とは違う自分を装って接していて、その時の有希は誰に対しても同じような表情(かお)だった。そんな有希が青山にだけ俺にすら見せたことのない別の表情(かお)を見せている。それを特別な感情を抱いていなければ一体何だというのだろう。

 ならば俺は共通の知人として間に割って入って、2人が結ばれるように後押しするべき・・・と分かっているはずだった。

 それなのに納得したくない俺がいる。どうしても認められない、認めたくないと意固地になる。何故そう思ってしまうのかは分からない。

 有希の想いをとっくの昔から拒み続けているから俺がどうこう言えるはずもないし、止める権利もない。本当に想っているのが青山ならば、後押ししてやるのが俺の役目だ。

 納得しきれなくても、このままではどのみち、有希は”俺”という檻から出ることができなくなる。

 それならばいっそのこと・・・


「・・・分かった。時間を作る」


 俺から解き放たれて・・・青山と結ばれるべきだ。



「大地!帰ろ!」

 放課後。俺が帰る準備をしていると、いつものように有希が俺の元に駆け寄ってくる。

「・・・おう」

 俺はなるべく不自然にならないよう心掛けながら、素っ気なく答えつつ席を立つ。

「有希、ちょっと寄り道していいか?」

「ん?いいよ?どこ行くの?」

「ちょっと図書室に」

「図書室?何か借りるの?」

「・・・まぁな」

 普段有希に誤魔化しや嘘を言わない弊害が出たのか、自分でも情けないくらい不自然になってしまった。

「ふうん・・・まぁいいよ。いこっか」

 有希はそんな俺の態度を不思議に思いながらも了承してくれた。この後のためとはいえ、有希を騙してしまったことに罪悪感を覚える。

「青山くんまたね!」

「あ、うん、また・・・」

 有希が俺の前の席にいる青山にも別れを言うと、青山は言い淀みつつも返事をし、俺と有希は教室をあとにして図書室へと向かう。


 図書室があるのは俺たちの教室のある建物とは別で、保健室や職員室、視聴覚室などといった教室で固めれた第一棟。移動教室のある授業でも中々赴く機会がなく、クラス委員でもなければ読書家でもない俺には立ち寄る理由がない場所だ。

「そういえばどんな本借りるの?エッチなやつ?」

 それを十分に知っている有希が不思議がらないわけがなく、早速と言わんばかりに訊いてきた。

「んなもん置いてるわけねぇだろ」

「それはつまり、あったら借りるってことだよね?」

「・・・」

「いや否定してよ」

 普段と変わらない俺達らしい会話。客観的見ればそう思えるかもしれない。けど、俺からしてみれば違うし、有希も気付いている。俺達の間に流れる不穏な空気を。それでも有希はこの空気を変えようとするかのように話題を振り続ける。けれど俺はまともに取り合わず、淡々と流すだけにとどまる。

 教室では自然体で居ようとした俺も、足を進める度に段々と余裕がなくなり、既に露骨すぎるくらい挙動がおかしくなっている自覚がある。いつ有希に指摘されてもおかしくないのだが、有希は一向に指摘する気配がない。多分これは敢えて指摘してないだけで、真意を探ろうとしているのだろう。それを分かっていても何もしない俺は、有希に申し訳なく思いながらも、図書室に向けて歩き続ける。

 もしかしたら、有希とこうしていられるのは最後かもしれないのに。


「澄川さん!」


 静かな廊下で有希の名を呼ぶ声が僅かに響く。声を聴いただけでも、緊張していたのがよく分かる。力み過ぎて、もう少しで上擦りそうになったことも。

 俺と有希が後ろを振り向くと、声の主である青山が、肩を揺らしながら息を整えていた。

「青山くん?」

 隣で不思議がりながら青山を見つめる有希。それに対して俺は、青山とは逆に緊張が解れていた。

 やっとか・・・。

「俺、先行ってるわ」

「え?ちょっ、大地?」

 有希の呼びかけにも応じず、青山の邪魔にならないよう俺は足を進める。

「澄川さん。聴いて欲しいことがあるんだ」

 自分に向けられたわけでもないのに、青山のその言葉を聴いてチクリと胸が痛む。

 階段前に差し掛かると、俺は2人の死角になる場所で立ち止まって壁に寄りかかる。別に青山の告白の行く末を聞き届けてやろうとか、そんな良心なんてない。寧ろこれから有希に告げられる言葉は聞きたくないし、今からでもここから離れたいと思っている。それでも俺は、自然とこの場に立ち止まってしまっていた。盗み聞きになってしまうが、どうか許してほしい。

「澄川さん、俺・・・」

 緊張交じりで言葉を発する青山。顔を見ずとも、その真剣さが伝わってくる。

「入学して初めて澄川さんを見た時、凄く可愛い子だって思った。目鼻立ちが整ってて、他の人とは違う雰囲気があって・・・上手く言葉にできないけど、兎に角可愛いって思った」

 言葉だけ聞けば口説き文句に聞こえるが、口調がたどたどしくて危うささえ感じられる。それでも青山は止まらない。言葉一つ一つに想いを乗せて口に出す。

「少しだけど、クラスで荒沢くんとも交えて話すようになって楽しいって思ったし、明るい笑顔が眩しいとも思った」

 話しているうちに緊張が解れてきたのか、少しずついつもの青山に戻りつつある。

「そんな中でも澄川さんは、荒沢くんと話してる時の方が何倍も輝いて見えた。見てるだけでも荒沢くんのことが好きなんだなって思えて、荒沢くんも満更じゃなさそうで。そんな2人の間に、俺が入り込む余地なんてないって思った」

 気持ちが落ち込んでもおかしくない内容にも、青山は俺に話していた時と同じように、声色を崩さず語り続ける。そして、俺に話した有希を好きになった理由・・・決め手となったことを告げた。

「でもこの前、荒沢くんが舌打ちされたのを澄川さんが怒って、立ち向かっていった姿を見て、カッコいいって思った」

 以前クラスで起こったいざこざ。あれには豹変した有希の姿に怯える者、心酔する者、見たことのない一面に驚愕する者がいた。しかしそんな中で・・・有希に、本当の意味で恋に落ちた者もいたんだ。

「自分の好きな人に悪意を向けられたことを、まるで自分のことのように感情剥き出しで、あんな風になれるのが凄いと思った。そんな姿に惹かれたんだ」

 そうだ。他の奴らとは違い、有希の内面、普段とは別の姿を見ても尚、有希のことを好いてくれる奴がいる。俺とは違って、素のままの有希を受け入れてくれる。

「俺とじゃ釣り合わないし、荒沢くんの代わりにはなれない・・・」

 自分のことを悲観しながらも、伝えることをやめない青山。

「だけど俺は!澄川さんの隣にいたい!」

 それでも頑張ると、並び立てるようになるという、青山の想いが込められた言葉。それはあまりに真っ直ぐ過ぎて、眩し過ぎて、胸の奥に突き刺さった。


 そして同時に俺は、自分の気持ちに気付かされた。

 

 今思えば簡単な話だった。見て見ぬフリをしていただけで、気付かないフリをしていただけで、本当は最初から分かっていたことだった。それでも初めて抱くこの感情を理解できなくて、自覚できなくて、青山の言葉が無ければ気付くこともできなかった俺の本当の気持ち。

 でももう遅い。後戻りできないところまで来てしまっている。後押しすると決めたはずなのに、この先を考えるだけで胸が締め付けられる感覚が襲ってくる。それでも耐えようと唇を噛み締め、爪を掌に食い込ませながら、止めどなく溢れる気持ちを押し殺すことしかできない。

 しかし俺は、強過ぎる想いを抑えきることができず・・・・・・決壊した。




 ダメだ、それ以上は言わないでくれ・・・。




「澄川さん・・・俺と、付き合ってください」



 虚しくも、俺の心の声は届くはずもなく、青山は有希に想いを告げた。



 時が止まったかのようにも思える無言の空間の中、吹奏楽が奏でる音色と、野球部がボールを打つ甲高い音が廊下に響いていた。

 賽が投げられたのにも関わらず、有希も青山も一言も言葉を発することはない。その長い沈黙には宣告を先延ばしにされているような息苦しさを覚え、鼓動が耳にも響いてきそうなほど大きくなっている。

 有希は何を考え、どう答えを出すのだろう。この告白で有希が青山に抱いている感情を自覚したのなら、有希は首を縦に振るだろう。

 自分勝手だという自覚はある。この10年間、俺は有希の想いを拒み続けているのだから、俺がどうこう言える資格がないのは分かっている。だけど俺は・・・

「青山くん・・・」

 頭の中で思考を巡らせていると、有希は長く続いていた沈黙を破った。

 そしてその瞬間、俺と有希の関係に終わりを告げられたのだと、そう感じた。


「・・・ごめん」


 一言。たった3文字の言葉を聴いた瞬間、俺の中での時間が止まった。

「私、大地のことが好きだから、青山くんの気持ちに応えられない」

 有希の口から告げられた言葉に、俺はじんわりと体内の熱が広がるような高揚感を覚えた。

「・・・そっか。そうだよね?答えてくれてありがとう」

 青山の声色には、悔しさとは別に晴れやかなものも含まれているように思え、脳裏に青山の優しい表情が浮かんだ。

「負け惜しみとかじゃないんだけど、1つ訊いていい?」

 青山は切り替えるような口調で、有希に問いかけた。

「ん?何?」

「澄川さんが、荒沢くんを好きになったきっかけって何?」

 青山の質問に俺は思わず息を呑んだ。

 考えてみれば俺は有希を撒くことに必死で、有希が俺のことが好きな理由を聞いたことがない。というより、訊こうとしたこともなかった。

「それはね・・・」

 一呼吸おいて答えを言おうとする有希。俺はそれを聞き逃すまいと耳に意識を集中する。

「・・・大地にも言ったことないから内緒!」

 予想外の回答に俺は思わずこけそうになったが、何とか物音を立てることなく踏ん張って押し留まることができた。

「え!?荒沢くんも知らないの!?」

 有希の回答に青山も驚いている。確かにずっと好きだと言われ続けている相手が、何故自分のことを好きなのかという理由を知らない方がおかしいのだろう。俺と有希の付き合いの長さを考えれば余計にだ。

「そうだよ。大地から一度も訊かれたことないし、私も自分から言ったことないから」

 普段と変わらない口調で、日常の話題程度の感覚で話す有希。そんないつも通りの空気に戻ったのを感じ、力が入らなくなった俺はその場にへたり込んだ。

「それは・・・荒沢くん酷いことしてるね」

「そうなの!大地ってば私に興味なさ過ぎるの!」

 さっきまでの静かな空気が何だったのかと思うほど温かな雰囲気に包まれたかと思いきや、今度は意気揚々と俺をディスり始める2人。俺がいないからと思って次々に出てくる俺への批判を突っ込みたいのは山々だが、どれもこれも的を射過ぎていてダメージが来る。

「でも・・・」

 有希は言葉を区切ると、僅かな沈黙の後・・・

「それでも私は、大地のこと・・・大好きなの!」

 満面の笑みが浮かぶような、想いを込められた言葉が響いた。

 恥ずかしげもなく告げられた有希の言葉に、俺は心が満たされて、顔に熱が帯びていくのを感じる。

 俺は組んだ腕を両膝に乗せ、その間に顔を入れて蹲った。

 初めての感覚に戸惑いを感じるが、不思議と嫌な気分になっていない。寧ろ喉の奥に引っ掛かっていたものが取り除かれ、スッキリしたかのような感覚。

 今回のことではっきりした。気付くのが遅くなったけど、やっぱり俺は・・・

「もしかして俺、本当は有希のことを!」

「・・・」

「ダメだ!溢れ出るこの想いはもう止められない!」

 絶対今顔を上げてはいけない。そう直感する。

「有希!俺は君のことを愛している!その気持ちに気付くことができた!」

 すぐ頭上で煽るかのように続けられる意味不明な言葉の数々に別の意味で顔に熱が帯びていくのを感じながらも、俺は鉄の意思で顔を埋め続ける。

「さぁ有希!これから俺とバージンロードを・・・」

「マジで黙れーーーーーーーーーーー!!!!!!」

 ダメだった。俺の鉄の意思は熱に負けて溶けてしまった。

「ところで大地?本は借りたの?」

「さらっと冷静になるんじゃねーーーーーーー!!」



 結局俺と有希は図書室に寄ることもなく、いつものように並んで帰途に着いた。

「あーあ。大地に盗み聞きの趣味があったなんて知らなかったなぁ」

「ごめん。それは完全に俺が悪い」

 改めて盗み聞いていたことを責められ、それに俺は何も言い返せず委縮してしまう。

「・・・まぁ、ホントのことを言えばそっちは別にいいんだけどぉ」

「え?いいのか?」

 思わぬ掌返しに驚く俺。じゃあ何で責めたんだって言葉は呑み込んでおく。

「それよりも私がショックなのは別のこと」

「・・・ん?何かあったか?」

 心当たりがなく、思ったまま疑問を口にすると、有希はジト目で俺を睨んできた。

「ホントに分からない?」

「・・・ごめん、さっぱり」

 有希が何に怒っているのか分からないことを申し訳なく思ってはいるが、それで答えが出るはずもなく俺はもう一度謝る。有希は仕方ないというように一息つくと、答えを教えてくれた。

「青山くんの告白に協力したこと」

「・・・あ」

 有希にそう言われて気が付いた。俺は有希が本当のところ青山のことが好きだと決めつけ、青山が告白できるような場を設けた。結果としてみれば全くの的外れであり、有希からしてみれば自分の意思を無視して、俺が有希と他の男を引っ付けようとしたと捉えられる。勘違いだったとはいえ、好きな相手にそんなことをされて傷付かないわけがない。

 それに気付いた瞬間、俺は自分の身勝手さを痛感し、心に重く伸し掛かった。有希への気持ちに気付いた今の自分にとってこれ以上に辛いものはなく、きっと有希は俺以上に傷付いているはずだ。

「本当に、ごめん・・・」

 どう言えばいいのか考えを巡らすが、結局何も言葉が見つからず、ただ頭を下げて謝ることしかできない。

 近くに流れる川のせせらぎの音を聴きながら、帰りのアスファルトの上で有希からの審判の時を待つ。

「大地?」

 有希に呼ばれ、俺はゆっくりと顔を上げる。視界に映る有希は腕を組んでおり、ジト目のまま俺を睨みつけていてまだまだご立腹のようだった。

「一応訊くけど、何であんなことしたの?」

 当然の権利として事情を問いてくる有希。俺は自分から訊いてくれるだけマシだと思い、正直に白状する。

 最後まで聞き終わった有希は、深く息を吸ったかと思えば盛大に溜息を吐いた。

「ほんっっっっっと!大地は私のこと何にも分かってないよね!!」

「・・・」

 ぐうの音も出なさ過ぎて何も言えず、今日何度見たか分からない自分の足元に顔を向ける。

「大地?」

 有希に呼ばれて俺は再び顔を上げる。

「私、大地が好きなの!」

 目の前ではっきりと伝えられた告白に俺は目を見開いて息を呑み、同時に胸の奥が熱くなるのを感じた。

「この先何があっても、それだけは変わらない!」

 真っ直ぐで、一切の淀みがない純粋で一途な有希の本音。その想いの強さと、有希自身の気迫に思わずたじろいでしまう。しかし有希はそんな俺に構うことなく、深く息を吸った後に・・・

「だから私!大地を惚れさせるまで、いつまでも諦めないから!」

 俺に指を差しながら、満面の笑みでそう宣言したのだった。


 本当に、厄介な相手に好かれ、厄介な相手を好きになってしまったもんだと今更ながら思う。

 ここで答えを出してしまうのは簡単だが、今有希の想いに応えるのは何だか有希に負けた気がして納得できない。そんなしょうもない見栄を張ってしまう自分がいる。

 だけど、今はまだ場の雰囲気の呑まれているだけかもしれないし、自覚したばかりで、気持ちの整理がついていないのも確かだった。

 ならばもう少しだけ、この関係を続けるのもありかもしれないと思う。

 自分の気持ちに整理がついて、それでも有希が好きだと思えてたら、自分から有希に想いを伝えよう。

 その時にも俺と有希が一緒にいるなんて保証なんてないけれど、何となく俺たちは今後も一緒にいるような気がする。



 俺と有希は、どこまでいっても”腐れ縁”なのだから



腐れ縁は永遠に?-完-

『腐れ縁は永遠に?』を最後まで読んでいただき、ありがとうございます。短くも一つの形として完結した作品ですが、正直に申しますとここまで書いたもの、そして完成にまで至った作品は今作含め”2作品”だけだったりします(笑)

 今までいくつか作品は書いていたりしますが、多忙だったり他の趣味の方に走ったりしたり、それ以前に自他共に認める”飽き性”ということもあって完成にまで至った作品は非常に少なく、連載もの以外で少ない完成に至った数少ない作品は今回より文字数の少ない短編ものばかりでした。しかし今回何年か振りに連載ものを最後まで完成にまで至り、ここまで書き上げられたことには自分でも驚いてます。因みにその連載ものの作品は大学生時代にWordを使って書いたものなので当サイトには載せられません。短編ものは敢えて投稿してないだけでデータとしてはあります。

 また何か作品ができれば投稿したいと思いますが、先程も言ったように自他共に認める飽き性なので当分そんな時は来ないと思います(笑)

 改めまして、最後までの読んでいただきありがとうございました。

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