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第9話 それでもやっぱり。


 次の週の土曜日。

 朝に早起きして車を洗う。


 そして、まひるを迎えに行った。


 乗り込んできたまひるは、コーヒー色のチェック柄シャツに太めのデニムのパンツを履いている。シャツの中のニットからは、すっきりしたウエストがチラ見えしていた。


 深めにかぶった黒いキャップが、また似合っている。

 久しぶりだけど、やっぱり、まひるは可愛い。


 少しドライブした後、ホテルに入った。

 ホテルに入ると、まひるは、途端に甘えん坊になりベタベタしてくる。


 俺はランチのことを忘れていたことに気づく。

 「ちょっとお腹がすいたな。なにか頼む?」


 すると、まひるはゴソゴソとして、大きめのカバンから何か出した。


 「これ。お弁当。この前お金使わせすぎちゃったから、作ってきたんだ。一緒に食べてくれますか?」


 お弁当箱をあけると、タコウィンナー、ほうれん草のソテーと玉子焼き、おにぎりが入っていた。シンプルだけど手作りのお弁当。


 思えば、女の子にこういうの作ってもらうの初めてかも。

 今までは、勘違いされるのがイヤで断ってたからな。


 まひるが、アーンして食べさせてくれる。


 なんかカップルを通り越して新婚さんみたいで気恥ずかしいけれど、お言葉に甘えて食べさせてもらった。


 もちろん冷食はないし、おにぎりのシャケもちゃんと焼き身をほぐしてくれている。


 ご飯がひと段落して、まひるにお弁当のお礼をいう。


 「おいしいよ。まひるの旦那さんになる人は幸せ者だとおも……」


 言い終わる前に、まひるが唇を重ねてくる。

 まひるは唇を離すと、少しだけうわずった声で言った。


 「いまは、そういう話はいいの」


 すると、そのままベッドに押し倒されてしまった。まひるは、ちょっとだけ恥ずかしそうに肩紐を外しながら言う。


 「おにいちゃん。そのままが好きなんでしょ? いいよ。くる前にシャワー浴びてきたから、そのままで」


 「いや、今日は朝から洗車したりで俺が汗かいてるから……、俺がシャワーあびたいんだけれど」


 すると、まひるの目が、オモチャを見つけた仔犬のように輝く。

 

 「わたしとのデー、……約束のために洗車してくれたんだ。嬉しいっ。んじゃあ、おにいちゃんのは、わたしがお口で綺麗にしてあげる……」


 まひるが俺の前に跪いて。

 そして、また前回のように弄ばれて蹂躙された。


 しかも、今回は会えない間に我慢してたせいで、前回よりも早くなってしまいそうなんだけど。



 「……んっ」

 まひるがびっくりして声を出した。


 落ち着くのをまって顔をあげたまひるは、舌で唇のまわりをぺろっとする。


 「おにいちゃんのいっぱいでむせちゃったよ。今日も美味しいよ。ねぇ。わたしも欲しい。おかわりちょうだい」


 そういって、まひるが馬乗りになってくる。


 「ちょっと、続けては……」


 まひるはお構いなしに、俺の首元を舐めながら前後に身体をさするような動きをする。


 これだけ可愛い子におねだりされると。

 ……どうやら、俺の身体は対応可能だったらしい。


 自分をみくびっていたようだ。

 俺よ、ごめん。


 その日も、数ヶ月分くらいしちゃって、頭がクラクラしながら帰った。   


 まひるを都合のいい駅まで送って、車で帰る。

 ハンドルを握りながら、まひるについて考える。


 まひるは、本当にいい子だ。そして、賢い。

 おれが不快に思うことは先読みしてくれて言わないし、俺の言葉が足りなくても意をんでくれる。


 正直、この子のことを好きにならずにいることの方が難しい。


 だけれど、いい子な分、不信感をもってしまう。


 こんな子がなんでセフレなんて関係を望むのか。

 恋人を作る気なら、秒でできると思うんだが。


 どんな事情があるのだろう。


 ‥…気づくと、セフレの範疇はんちゅうを超えている自分がいるのだ。


 その度に、「エッチしたいです」という、まひるの短文のメッセージを見て思い直す。


 『うん、この子は、セフレ以上を求めていない』

 自分の立ち位置をわきまえるようにしないと。


 俺らの関係は、どちらかが恋愛感情をもったら終わってしまう約束なのだ。


 俺はそう自分に言い聞かせて帰るのだった。

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