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第52話 リトライ。

 

 さて、どうするか。

  

 まひるにはブロックされている。

 スマホのメッセージでやりとりすることはできない。


 電話もかけたが、繋がらなかった。


 ほのかに協力してもらって不意打ちすることはできるが、自分の意志で会ってもらわねば、その先が難しいだろう。

 

 アナログに手紙を使うか。

 なまじスマホなどの文字よりも、手元に残る手紙の方が読んでくれる可能性が高い気がする。


 内容はどうするか。

 まひるのことを考える。

 

 俺はまひるのことが好きだ。

 これは理屈じゃない。


 15ヶ月近い時間を一緒に過ごして、はっきり確信できている。


 あの時の「キモい」という言葉の状況も分かった。あれは実際にまひるの口から出た言葉だが、周りの悪意により、ボタンの掛け違いが、取り返しのつかない程になってしまった。


 まひるは高校の時に、十分な制裁を受けていると思う。そもそも、俺がまひるをシャットアウトしたことも、すれ違いを悪化させた原因なのだ。


 そして、俺のためにキレイになってくれた。

 大学での再会なんていう、曖昧で分からないもののために。


 学祭にいったとき、いや、それ以外でも、気づけば、まひるはいつも俺のことだけを見ていてくれた。


 それなのに俺は……。



 だから、手紙の内容はこうだ。

 

 『話したいことがあります。△△日の10時に◯◯駅で。ずっと待ってます』


 ◯◯駅には、レトロな観光名所ということで待ち合わせ連絡板が残っている。何かあった時、役にたつかも知れない。待ち合わせは、◯◯駅がいいだろう。



 詳しいことは、会ってからで。

 文面はシンプルな方がいいと思う。


 色々と謝らないといけないことはあるが、まずは、まひるに対する気持ちをそのまま伝えよう。

 

 きっと、一度きりしかないチャンスだ。悔いが残らないようにしなければ。


 郵送だと、手紙が届いたのかがよく分からない。だから、まひるの家に行ってポストに手紙を入れた。


 少しでも読んでくれる可能性が上がることを願って。


 数日経ったが、まひるからは何の反応もない。

 あいかわらず、ブロックされたままのようだ。




 待ち合わせの当日になった。

 

 昨日はよく眠れなくて、早く起きすぎてしまった。シャワーもして朝食もしたが、まだ手紙の時刻までは数時間ある。


 まひるは手紙を読んでくれただろうか。

 待ち合わせには来てくれるだろうか。


 分からないことだらけだ。だけれど、来てくれることを信じて、自分のやるべきことをやるしかない。


 家にいても落ち着かない。

 早めに出て、現地で時間を潰すか。


 家を出て、鍵をしめる。


 すると、スマホにメッセージが入った。


 先輩かな?

 ……もしかして、まひるかな?


 

 スマホの画面を開いてみる。

 すると、あおいからのメッセージだった。



 「お兄ちゃんが死んじゃった。わたし1人で変になりそう。ナギさん、お願いします。うちにきてください」

 

 えっ。


 あまりに唐突な内容で思考が追いつかない。

 お兄ちゃんって、深村みむら先輩?


 気づかなかったが、あおいから何度か着信が入っていたようだ。


 頭の中が真っ白になった。



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