第23話 エプロンの力は偉大です。
家に帰ると、まひるが食事の準備をしてくれる。
まひるは、「ちょっと待ってて」というと脱衣所に行く。出てくると、裸にエプロン姿だった。
そして、昨日の話しの通りに、エプロンの端っこをピラピラしてくれる。
前から思ってたけれど、こいつって妙に生真面目だよな。エプロンについても、夜鍋してかなり学んだっぽいし。
たぶん、アホなんだと思う。
クズ先輩もだけど、愛すべきアホだ。
だけれど、ごめん。
今回ばかりは、日本の最高学府の頭脳の無駄遣いだと思うぞ?
まひるは顔を真っ赤にしている。
「恥ずかしいから、あっち向いてて……」
おいおい。
お前は何のために脱いだんだ?
それにしても、いつも、あれだけ奔放プレイをしておいて、今更恥ずかしいとか。乙女心はわからん。
俺はテーブルで少し休ませてもらった。
まひるは、キッチンでお米を研いでくれている。
ジャッジャッという音が心地よい。
裸にエプロン。
本当にいい眺めだ。エロのことはおいといて、純粋にずっと鑑賞していたい。
米を研ぎながら、まひるが時々こちらに向いて色々と話してくれる。その度に背中の広背筋が微かに浮き出て美しい。
「えっと、ナギ君、いつもお風呂入るなっていうから……、だから今日は、来る前にシャワー浴びてないんだ」
……こいつ分かってるじゃん。
俺は、麻薬捜査犬になったつもりで、まひるの周りをクンクンしながら歩く。
うーん、石鹸の匂いしかしない。
つまらん。
こんなのでは、俺のEDさんの心音は戻らんぞ!!
これじゃあ刺激が足らんよ。
「なぁ、まひる。ちょっと石鹸の匂いじゃ没個性だと思うから、直接、局所的に嗅いでもいいか?」
まひるがさらに頬を赤くして答える。
「ダメにきまってるでしょ!!」
ちっ。
「おまえさ。前から言いたかったんだけど、性奴隷とかいってるくせに、俺のお願いを聞いてくれたことなくない?」
「そ、そんなこと……」
そうなのだ。コイツはいつも好き勝手に自分が楽しんでいるだけで、俺の性癖に付き合ってくれたことなど殆どない。
「図星だろ?」
「ううぅ」
「ってことで、よろしく!!」
「わかりました……でも、後ろからはイヤだから、前からにしてください」
謎の拘りだな。
まぁ、どちらでもいいけれど。
そういうと、まひるはこっちを向いて貴族令嬢の挨拶のようにエプロンを持ち上げる。
すると、つるんとしていた。
つるんとしていたんだ!!
本来あるべき、草原がない。
おれは指差しして聞いた。
「なんでないの?」
「もうっ、指差さないの!! えっと、大学の友達が男の子を元気付けるならこれが一番だって」
……お前の交友関係大丈夫か?
最近の大学生の性事情はどうなってんのよ。
すると、今度は、まひるが俺の下半身を指差す。
「ナギ君。そ、それっ……」
ん?
あっ!!
あらま。この子ったら、まんまと女子大生の罠にハマっちゃって……。
勃ってるね。
やった。復活だ!!
その後、盛大に男神様の復活祭が行われたのは言うまでもない。
盛り上がり過ぎて、また遅くなって、家で食事をしている時間がなくなってしまった。
食材は明日に使ってもらうとして、軽くコンビニで買って、車で食べながら帰る。
「ごめんな、また遅くなっちゃったな」
「大丈夫。ナギ君が元気になって嬉しかった」
「風呂入ってる時間もなくなっちゃったし……」
まひるは少し照れくさそうに笑う。
「それは、むしろ嬉しいっていうか。ううん。なんでもない」
まひるが続ける。
一瞬の間を置いて。
センターコンソールにお行儀よく両手を揃え、身を乗り出すと、ちょっと申し訳なさそうな顔をする。
「……またナギ君にお願いがあります。わたしの大学の友達に会って、彼氏のフリをしてくれませんか?」




