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五話 森の名は魔女王の庭

 という訳で、魔女王アルカナ・マギナが住むという、魔女王の庭と呼ばれる森に早速やって来た俺たち。

 しかし、そこは魔獣の巣窟でもあった……!


「『(おう)()(おう)(せん)赫々(かっかく)せよーー、『(はなぶさ)紅蓮(ぐれん)』』……!」


 強襲して来た熊みたいな魔獣は、オッカスの火を纏った剣の斬撃により倒れた。

 この世界の魔獣は死体が残らないタイプのようで、最期は塵となって霧散していった。


「ありがとう……ありがとうオッカスさん。俺、オッカスさんには感謝してもしきれない程に恩を感じている」


「何を大袈裟な事を。言ったろう、貴方の剣となり、盾となると。これぐらいは何でもない」


「幸人さんは熊がきっかけで死んだ事があるので、仇を取って貰った気分なのです」


 アメッコの補足通りである。

 もちろん、今の熊は何の関係もないし、そもそも僕の死因に熊は何の関係もない。


「死んだ事がある……? まあいい、それより二人とも、あまり私から離れるな。また魔獣が襲ってくるかもしれない」


 そう言いながら燃えてる剣を手に。俺に近寄るオッカス。


「……ひ、ひぃ……」


「……? どうした幸人? なんだ、まさか火が怖いのか?」


「幸人さんは火が原因で死んだ事があるので、火がすっかり恐怖の対象になったのです」


「死に過ぎではないか? 普通、人は一回しか死ねない筈では……?」


 と、そんなこんなで道中、襲いくる動物に似た魔獣をオッカスに倒して貰いながら魔女王の元へ進んだ。


「お、アメッコ、あの鶏みたいなのは何て魔獣だ?」


「あれはただの鶏です」


 ただの鶏かい。


「何でこんな魔獣が蔓延る森に普通の鶏がいるんだよ。すぐに魔獣の餌になっちまうぞ、あの鶏」


「知りませんよ。魔女王さんのペットとかで、脱走したのではないですか?」


「ペットかどうかは知らないが、確かにマギナは鶏を飼っていたな。魔術用の血液要員だったか」


「怖ぇ……」


 魔女王の名に偽りなしといったところか。

 手土産に連れてってやろうかと思ったが、以外と足が速くて捕まえられなかった。


「幸人さん、いつまでも遊んでないで行きますよ。鶏さんにサヨナラして下さい」


「う、うん。()()()()()()()()()になるな……」


 コケコケ鳴く鶏を置いてその場をあとにした俺たち。

 その後も、オッカスに先導され、森の奥へと入っていった。



             ⭐︎



「ようやく辿り着いたが……参った、問題発生だ」


「わたしのお家にご用の方は、この問題を解いてね♡……とのことです」


「問題発生って文字通りの意味かい」


 到着した先には大きな空き地が広がっていて、立っている看板にアメッコが読んだことが書いてある。


「マギナめ、問題を変えたのか。前のは答えを知っていたのだが……」


 この問題を解かないとマギナには会えない、とオッカスは言う。

 そしてその肝心の問題というのがーー。



 ”この森に白鳥が二つある事を示す言の葉を唱えよ”



「……問題というより謎々だな。アメッコ、オッカスさん、分かる?」


「む……すまない、正直ピンとくるものはないな。問題の答えがマギナの家に入る為の合言葉になっていると思うのだが」


「その合言葉を言えばいいという訳ですね」


 問題は何を言うかだ。

 ヒントはやはり前半部分。


「文面通りに考えたらこの森に白鳥がいるって事だろ? とりあえず白鳥を探して捕まえてくればいいのか?」


「そんな単純な事なら問題にならなくないですか?」


「……まあ、そうだな……」


 第一、こんな広い森から白鳥を見つけるのだって大変だ。

 どっかに池や湖とかあればいそうではあるが……。


「この白鳥という書き方が実に曖昧だ。何かの比喩なのだろうか? 例えば白くて空を飛ぶ物とか……」


「……? え、白鳥は白鳥じゃないの? ()()()だよ()()()


「ああ、幸人さん。そう言えばこの世界に地球で言う所の白鳥という生物はいないのです」


「あ、そうなんだ」


 となればオッカスの言う通り、白鳥は何かの指す比喩の可能性が高いか。


「この森には何度か足を運んでいるが、白くて空を飛ぶ魔獣は見た事がない。魔獣の事ではなさそうだ」


「雲何てどうですか? 白くて空を飛んでいます。あ、でも二つよりも沢山あるから違いますかね」


「飛行機だな」


 そしてこの後も色々と思いついた案を出し合ったが、これだという答えには辿り着かない。

 あと、やっぱりこの世界に飛行機は存在しないらしい。


「待てよ? そもそも白色はいいとして、何で飛ぶ物に限定しているんだっけ?」


「白鳥、つまり鳥は空を飛ぶ物だろう? これが何かの比喩だとすれば、白色の空飛ぶ何かと考えられないか?」


「いや……シンプルに白い鳥のことなんじゃないか」


「だが白い鳥なんて、この森にはいないぞ?」


「さっき鶏がいただろ。他に鳩とかいたらそっちかもしれないけど」


 白色以外の鶏がいたら違うかもしれないが。


「そうか……確かそうだ。鶏も鳥だったな。飛んだ所を見た事ないから鳥だという事を忘れていた。あと、はととはどんな鳥だ?」


「俺の世界にいた白い鳥だよ」


 この世界には『人類の象徴(アーク・シンボル)』はいても『平和の象徴(ピース・シンボル)』はいないらしい。

 だからどうしたという感じだが。


「ですが、それだと単位が違います。鶏ならばニ羽と数えますが、文面では二つとなっています」


「あー、言われてみれば」


 そういうのがヒントになるパターンはよくある。

 となると、鶏……生き物ではなく、物ということになる。

 白鳥はやはり何か物を表している線のが強いか?


「いや、確かマギナは鶏のことを一つ二つと数えていた気がする。彼女にとっては食料か血液タンクという物の認識なのだろう」


 大多数の人からして鶏は家畜だけど数える時は一羽二羽だと思うがな。


「ですが重要なのは言の葉です。鶏だとして結局、何と言えばいいのでしょう? ある事を示す……というのがよく分かりません」


 三人で悩みながら答えとなる合言葉を考えるが、やっぱりそれらしき解には至らない。

 大分だれてきて、俺も正直面倒になってきた頃。

 飽きて集中力がなくなったせいか、しょうもないことばかり考えてしまう。


「鶏……白鳥が二つ……そして今いる森の名は魔女王の庭……あ、この状況! ()()()()()()()()()、だ! はははははははは!」


「面白くないですよ?」


 ーーピンポーン。


 と、その時、何やら玄関のインターフォンの様な音が虚空になった。


「な、何だ今のは?」


「どこからともなく聞こえましたね」


 俺とアメッコが謎の現象に辺りをキョロキョロする。


「今のはマギナの家のチャイムだ。合言葉を言わないと鳴らない筈だがーーあ」


「あーー、そういう事ですか。幸人さんの寒いギャグセンが役に立ちましたね」


「はあー? 笑いを司る女神を腹筋崩壊させたギャグセンが寒いと言うのかね」


 俺がアメッコと睨み合っていると驚く事に、周りのただの空き地だった景色が花畑に変わり、大きな屋敷が現れた。

 ここが魔女王の家のなのだろう。


「おお……()()が急に一変した。()()()を引いたおかげだな。ははは」


「そういうとこですよ?」


 もちろん、ウケを取れないのは癪なので、笑わなかったオッカスを笑わせておいた。

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