眠れない理由/余白/
眠れない理由/
この夜を吸いとり
花瓶にいけた百合は
次々と
輝くばかりの純白となり
咲いていったのです
余白/
ため息の余白に
水色の絵の具を
溶いてのせよう
どこまでも
滲んでいくそれに
せせらぎを
つけ加え
いくつもの
支流を走らせよう
かなしみの隣に
舟をおき
行き着く場所は
知らずとも
ずっとそばを
漕いでいこう
草木の
青い香りを
くぐり
月の白く
漏れる光を
浴びて
子守唄とともに
流れ出たなら
広々とした
さびしさの中で
息を吹きかけた
手のひらのように
あたたかでいよう