模擬戦と魔眼
俺はひたすら教えてもらった魔法を1時間以上続けて撃ちまくった。それを始めてからだんだん身体がだるくなってきた。
「トウカ様はすごいですねぇ。よくそんなに長い間魔法が撃てますね。人の魔力なんか20分間全力で撃ったら魔力欠乏症で倒れますよ。」
「はあ、はあ、はあ。ここで1ヶ月くらい住んでいるが初めて疲れを感じた。」
「でもだいぶ魔法が上手くなってきましたよ。あと3日ぐらい続ければ私を超えられそうです。」
「それはよかった。もうちょっとやったら今日はやめるわ。『アイス…』」
「トウカ様!?」
魔法を撃とうとしたところで意識が途絶えた。
「…ん。あれ?俺は確か魔法を撃ってたはずじゃ…。」
今起きた俺は魔法の練習をしていたことしか思い出せなかった。もしかして魔法を撃っていたのは夢だったのか?楽しい夢だったなぁ。
「あ、起きたんですね。だいたい30分くらい寝てましたよ。もう体調は大丈夫ですか?」
「俺はどうして寝ていたんだ?」
「覚えてないんですね。単なる魔力欠乏症ですよ。魔力を使いすぎて内部魔力が0になちゃったんです。魔法を撃つときは、自分の魔力量を考えて撃ってくださいね。」
どうやら夢ではなかったらしい。魔力が無くなると30分も眠ってしまうのか。戦闘中なら絶対に死んでいた。これからは気をつけないと。
「トウカ様の魔法は外では十分通用すると思います。なので私からの提案なんですが、トウカ様の魔力が回復しきったら模擬戦をしませんか?」
「模擬戦か。たしかにやってみる価値はあるな。戦闘経験を積んでおいて損はないだろう。」
「わかりました。魔力は使っていなければ勝手に回復します。ただ眠った方が魔力の回復が早いので、眠ってくれていいですよ。」
「そうさせてもらうよ。」
それから1時間くらいして目を覚ました。身体は軽く、寝る前の怠さは無くなっていた。一度無くなった魔力は回復しきっていた。
「よし、模擬戦しよう!」
「やる気満々ですね。ちなみに私は風魔法だけで戦いますので、それでバランスをとりましょう。」
俺は魔法を使った戦いが楽しみでテンションが上がっていた。それと使える魔法を全て使っていいなら、ライラは3属性使えるので有利になってしまう。俺は1属性しか使えないのでそれに合わせてくれたのだろう。
「そう言えば魔法の回避方法ってどうするんだ?」
「普通は魔法に魔法をぶつけて相殺します。あとは普通に回避するとか、装備に属性魔法耐性をつけるとかですね。では、かかって来て下さい。何年前かわかりませんが冒険者やってたのでそう簡単には負けませんよ!」
「じゃあいくぞ!手始めに『アイスボール』!」
起きてから最初の魔法なので一番簡単な初級魔法を使った。
「こちらも『ウィンドボール』!あれっ!?魔法が撃てない!?どうして!?きゃあああぁぁぁ!」
ライラは『アイスボール』を『ウィンドボール』で相殺しようとしたのだろう。だが何故か魔法は出なかった。
「おい!大丈夫か!」
「はい、なんとかかすり傷だけです。『ヒール』」
初めて見たがおそらく光属性の回復魔法だろう。それより無事で何よりだった。もし中級や上級魔法を使っていたら、軽症では済まなかっただろう。それにしてもどうして魔法が出なかったのか謎である。
「どうしてでしょうか。こんなこと初めてです。『ヒール』は問題なく使えたのに…。原因はトウカ様でしょうか?」
何故か突然疑われた。たしかに今まで戦闘で魔法が問題なく使えて、俺との模擬戦だけ魔法が使えなかったら疑われて当然だ。俺には心当たりが一つもないんだが。
「もしかして…。トウカ様その右目はいつからその色なんですか?」
「え?これはこっちにきてからだな。知らない間にこうなってたんだよ。」
「もしかしたらトウカ様の右目は魔眼かもしれないです。」
魔眼とは、自分の魔力が長い間目に流れ続けるとできるものらしい。自らの意思で作ることもできるそうだが先天性のものもあるらしい。ただ魔眼を作ろうとして失敗すると、失明や魔力が極端に少なくなったりする副作用があるらしい。
「俺は何もしてないぞ。知らない間にこうなってたんだから。」
「そうですよね…。でもそれは魔眼に間違いないです。右目だけ魔力が濃く感じます。その魔眼の能力はこれから調べていきましょう。」
「そうだな、せめて味方には発動しないようにしないとな。」
それから魔眼の実験が始まった。なんと3時間も続いた。この実験で目に魔力を流したり止めたりしたので魔力操作が一段と上手くなった気がする。
ちなみにこの実験の結果はこちらだ。
・俺の魔眼は、効果距離内で指定した相手は攻撃魔法の使用が出来なくなる
・効果距離は使う魔力量で変わる
・支援魔法や回復魔法は対象にならない
・強い魔法は撃つことはできるがからなり弱い魔法になる
こんなかんじだ。
「魔眼って面白いですね。存在はよく聞くんですが実際には初めて見ました。あまり持っている人はいませんからね。」
「はあ、はあ、そうなのか。かなり疲れたが魔眼についてわかったならまあよしとしよう。」
ライラのやつ最初は俺のペースに合わせていたのにだんだん要求が難しくなって、その上急かしてきやがった。俺が何度キレそうになったことか。
「これでトウカ様の魔眼についてはわかりましたね。それじゃあ魔眼なしで模擬戦をしましょう!」
「今日はやめようぜ。実験で疲れた。俺は寝るぞー。」
「ちょっと!これじゃあ私の気が済まないんですよ!元冒険者が魔法初心者に負けたんですよ!そんなの私のプライドが許しません!ちょっとまだ寝ないでください!ねえってば!」
今日、ライラはテンションが上がるとキャラ変わることがよくわかった。
俺はライラの言葉を無視して眠りに入った。
次回は話が短いので2話投稿予定です。




