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死神の後継者  作者: むえ
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冬香の事情

本日2話目です。

それから俺は牢屋から助けたエルフの少女を抱え、急いで螺旋階段を登った。上まで登ってしまえば地上では何故か疲れないので、外に出てからは全力で川まで走った。


「おい、とりあえず水を飲め。そのあと食べ物をやるから。」


エルフの少女は無言で急ぐように川の水を飲み始めた。すると少女は泣き始めた。俺はその姿を見てとりあえず安心した。


「ここまで来れば大丈夫だ。安心しろ。」


優しい口調で話しかけると、エルフの少女は倒れてしまった。驚いて近づくと寝息を立てていた。俺はそれから少女の髪、身体、服を洗って置いた。綺麗に身だしなみを整えてみると驚くほど美少女だった。身長は165cmくらいで胸はそれなりに大きかった(多分Dくらい)。金髪も見違えるほど綺麗になり、水で洗っただけなのにサラサラになった。


余談だが身体を洗うときもちろん裸は見てしまった。そんなことで欲情したりはしない。欲情したりは、しない。少女の裸を見た背徳感があったので、バレないように洗った服を乾かしてすぐに着せておいた。



「おっ、やっと目を覚ましたか。体調はどうだ?」


エルフの少女が眠りに入って1週間がたっていた。


「えっと…ここは…どこですか?あなたは誰ですか?」

「……質問を質問で返すなよ…。えっと俺は藤原冬香でおまえを地下からここまで連れてきた人だよ。」


エルフの少女は混乱しているようで、俺は呆れたように答えると少女は泣き出した。


「あの、ここまで運んでくれてありがとうございます。おそらく何十年もあそこにいて、もう死ぬまで出られないと思っていました。本当にありがとうございます。この恩は必ず、私の生涯にかえてもお返しします。」

「それはいいんだけどさ、おまえ名前は?なんであんなところにいたんだよ。」

「私はライラといいます。事情を話す前に確認を取りたいのですが、トウカ様とお呼びしてもいいでしょうか?」

「ああ、自由に呼んでくれ。俺もライラと呼ぶぞ。実は俺はここのことをほとんど知らないんだ。だからこの世界の事をいろいろ教えて欲しいんだ。」

「?どういう事情かは分かりませんが、私にわかる事ならなんでも答えますよ!」


どうやら俺のことは安全だと判断してくれたらしい。


「とりあえずなんであんな所にいたんだよ。なんかやらかしたのか?」

「実の所私もよく覚えてないんです。確か普通に冒険者をしていたはずなんですが…。」


表情を見ても嘘はついていないだろう。犯罪者を助けたとなれば、ここでの俺の人生がお先真っ暗になるかもしれなかったので少し安心した。


「おまえ今冒険者って言ったか?冒険者ってのは魔物を倒したりする仕事か?」

「それだけとは言いませんが大体あってます。私からも一ついいでしょうか?」


俺に何か質問があるらしい。川で汲んだ水を飲みながら頷いて答えた。


「冒険者はこの世界のどこに行ってもある職業なんです。それを知らないのはどうしてなんですか?トウカ様は何処からここに来たんですか?」


ごもっともな質問である。普通知っていて当然のことを知らなかったんだ。ここで本当のことを話すべきかどうか。今の俺みたいなのが珍しいことなのであれば、黙っておいたほうが身のためだろう。確認してみるか。


「おまえは転生とか召喚魔法とかって聞いたことがあるか?」

「召喚魔法については聞いたことはあります。魔物や動物を使役したら使える魔法でしたよね。無属性魔法で希少だそうですね。」

「召喚魔法で人を召喚することはできないのか?勇者召喚とかはないのか?」

「勇者…召喚…聞いたことがないですね。勇者自体はこの世界に1人だけが持っている職業ですが。」


ラノベとは違うらしい。転生は聞いたことがないだけかもしれないが可能性は低いだろうな。転生って基本的に赤子に生まれ変わるんだもんな。


「あの、結局何をおっしゃりたいのですか?話の筋が読めないのですが。」

「…おまえは今後どうするつもりだ?今後どうやって生きていく?」

「何ですか突然。私は恩人であるトウカ様についていくつもりです。」


この世界にでの知識があまりにも足りない。ライラを信頼していっしょに生きていくほうが今のところ安全か。ここで俺の意思は確定した。


「さっきの質問は、俺みたいな事例があるのか確認したかっただけだ。実は俺はトラックに轢かれて死んだんだ。それから何故かここで生きているんだ。」

「とらっく?聞いたことがない単語ですね…。死んだんだはずなのに生きている?すみません、理解が追いついてません。」

「俺もわからないんだからわかる必要はない。ただ、このことは他人には一切話すな。これはお前を信頼して話しているんだ。わかったか?」


俺は少し圧をかけて言い放った。ライラが少しこわばると口を開いた。


「も、もちろんです。恩人に対して裏切るようなことはしません!」

「それならいいんだ。ほら。これでも食っとけ。地下で見つけたやつだが味は良かったぞ。」

「ありがとうございます。それから服と身体を洗ってくれたようですね。手間をかけさせてしまってすみません。」


少し圧をかけてしまったので話を逸らして誤魔化そうとした。そしたら今になって自分が綺麗になっていることに気づいたらしい。


「それくらいは構わない。(俺の目の保養にもなったしな。)」

「それと一つ気になったのですが…。私ってトウカ様の恋愛対象に入りますか?」

「ブッ!?」


突然言われた告白にのんでいた水を吹いてしまった。そんな突然赤面されながら言われても困るわ!まあ冷静に返答しよう。


「…恋愛対象には入る。だが俺はお前を助けただけでそれ以外は特に何もしてないだろ。おまえちょっとチョロすぎるんじゃないか?もっといい人がいるだろうから俺はやめとけ。」

「入るならいいんです。絶対惚れさせますので!」


何故か彼女に気合が入った。

そして俺は彼女候補が1人できた。

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