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梅島杏花はまじめじゃない  作者: もけぺん
3/3

1話続き

ガタァァァァンと音を響かせて扉が開くと、先程までのザワザワした喧騒が一気に消えた。皆がこっちを見ている。


今だ。ギャルを轟かせるんだっ

杏花は腹を決めた。が。


…………やばい、緊張してきた。


「おっ、おはざーす!」


駄目だこれは、これはただの体育会系だ。

しかもみんなシーンとしたまんまだ。はずい。


杏花は固まった。


まずい、今になってなんか堅物真面目が回復してきやがった。

(駄目だ、杏花なんか言い繕え、これは無理だただの痛いやつだッ 今からでも遅くないから真面目に生きろっ)


リカバリーしなければ。でもこいつの言いなりにはなりたくない。


「あっ、お、おはよっ☆遅れちゃったなぁーーっ

私の席どこか教えてくれる?」


とりあえず目の前の席に座っていた女の子に、言葉の端に星を作り、手でピースを作りながら聞く。

−ギャルの極意その1-

 とにかく明るくいく。

の実践。これ、ギャルだろうか。キャピ系ギャルと考えればいいのか。ギャル道正しいだろうか。


「あっ、えっと、梅島杏花ちゃん、だよね!杏花ちゃんの席は出席番号順で後ろから二番目だから……窓側の後ろから二番目のとこだよ」


やっさっしい……!!にこにこ笑顔で教えてくれた。

眼鏡かけて前髪を下ろして後で結んでいる。

聞くと、陽仲楓(ひなかかえで)という名前らしい。杏花は1人感動する。


この後はクラスの委員会決め、掃除等があるようで。

杏花は楓に言われていた席へ行く。

へぇ、屋上と同じでここもぽかぽか、つくづく立地がいい、最高、などと考えながら席に座り、前後と右とのコミュニケーションを図る。

-ギャルの極意その2-

第一印象からキャピる


「おはよっ!私、梅島杏花だよー!よろしくね☆」

とりあえずこんな感じだ。第一印象がキャピれれば、見た目がギャルなので、誰がどう見ても正真正銘ギャルである。







杏花は、中学の頃は堅物真面目の極みで、自分から挨拶などしなかった。だが、割愛するが色々あってこれじゃ駄目だと思い、中学3年卒業式後にギャルに転職したのだった。

だが、ギャルというのはとても難しい生き物だったようで、春休み中ずっと1人で特訓していたが未だ脳内で(イケメンの)天使と悪魔がバトルする始末。ギャルになりきれない。


そこで、ギャルの極意なるものを自分でまとめて、それを実践し会得し、新たなるギャルの極意を求めるために香南高校へとやって来たのだった。


そんな訳で今まで2つのギャルの極意を実践し、前と右へのギャル的挨拶を終え、後ろを向いたのだが。






……いない。

後ろの人が、いない。

36番が存在して、席があるのに、いない。

極めつけに、かばんが置いてあるのに、いない。

皆教室にいるのに、コイツだけいない。




杏花は右隣を向いて、

「え……この人トイレ行ったんだよね、そうだよね朝からいないとか言わないよね」と震えながら尋ねた。


アタマの中をあの悪男が踊りながら通り過ぎていく。まさかアイツだとか言わないでほしい。


「え………あ、えっ…と」

右隣のミディアムヘアの髪の女の子は、言いづらそうに笑顔を作る。


「え…………あの、もしかしてこのバックレ人間、黒髪短髪ツリ目仏頂面だったり…しないよねっ」


冷や汗を際限なく垂らしながらも素晴らしいキャピ笑顔で、女の子に確認。



「……………あ、あはは」


……アイツか。あの悪男か。あの悪男が私の後ろなのか。


「その人、私が学校に来た時にはもういて……普段、中学校の頃までずっと一番最初に学校に来てたの。でも、今日抜かれたの初めて」



いや、そんなに早く学校来るならちゃんと授業受けたらいいのに。来た意味。


それよりも。


「アレが、私の後ろ………」

初日からこんな感じでは、やっていける気がしない。


いや無理、生理的に無理ぃぃい!!!

キャピの皮及びギャルの皮が崩れかける程ショックを受けた。

杏花のアタマの中では、踊りながら悪男がどんどん近づいてくる。


会っただけでわかる。ソリが合わない。ギャルと辛辣影男だ。北極点と南極点の差。


先程あれだけ話してコイツはダメだと思った直後にこれ。

杏花は、繰り返す悲しみとショックに翻弄される。

ただ嫌味な奴なら別にいい。

だが、ヤツは杏花の野望を知っている上、屋上での彼女の葛藤を一つ残らず聞いていたのだろう、素の杏花を知っている可能性がある。

危険人物だ。屋上でのやり取りを周りにばらされるかもしれない、最悪の問題児。


「……あ、ありがとぉ…っ☆」

右隣の子に力を振り絞って精一杯ほほえみかける。

女の子はポッと顔を紅くして

「ううん、お役に立てて良かったよぉ」と言って前に向き直った。


杏花は一息つくと机に寝そべった。

初日から憂鬱………。





「ねぇ」



なんだ、この学校は私が寝ようとした瞬間に人が邪魔しにくるシステムなのか、と疑うくらいバッチリのタイミングで、杏花は話しかけられる。


「んー?どしたん?」

ここで面倒事を起こしあの悪男のような問題児をわざわざ増やすのは最悪なのでこう答えるしかない。

-ギャルの極意その3-

優しくいこう

に沿っていく。

顔を上げると、そこには堅物真面目を着たような男子が立っていた。


あっ無理なタイプ発見。ソリ合わん。中学までだったら仲良くなれたか。


そんなことを出会って0.1秒で思った杏花は、それを決して顔に出さず笑顔を崩さずに相手の言葉を待つ。


いいよ、私、ギャル道いけてる。


「君はさ………



初日くらい遅刻しないで学校来なよ!!!」


……思った通りだった。


「ごめんねー教室わかんなくて上まで行っちゃって……でももうわかったから大丈夫☆ありがとー!」

明日からも遅刻するつもりだけどね。これは心に留めておく。


すみません、まだこの回書き足します!

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