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梅島杏花はまじめじゃない  作者: もけぺん
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入学式から1週間くらいは皆カッコつけてたりするよね

梅島杏花(めじまきょうか)

16歳

香南高校1年1組35番

出身中学 北条東中学

身長 158センチ

体重 46kg

趣味 読書、筋トレ、サブカルチャー

好きな言葉 ギャル






1話

桜が舞う中、ハイヒールのローファーを鳴らして1人の少女が歩いていく。

少女は紺色と水色の色彩のセーラー服を着ていた。

髪は明るめの茶髪でポニーテールにして高めに括っている。黒のニーハイ、膝上10センチくらいに切ったであろうスカート、少し空いた胸元、軽く引いたリップ、ホワイトピンクの小さなイヤリング。



梅島杏花、今日から香南高校1年生。

校門に辿り着くと、彼女は上を見上げた。



さあ、華のJK下剋上の始まりだ。





香南高校。K県Y市に位置する、私立高校。偏差値62とそこそこ高い高校で、トレードマークは青を基調とした制服。

中高一貫校で、体育祭と文化祭が有名。

大学進学率もそこそこ良いと聞く。



そういった事を考えながら、梅島杏花は

校舎に入り、下駄箱で1-1-35と書かれているスペースに黒いローファーを入れる。



昇降口の隣にある階段に人が流れていくのを見やり、

生徒の流れに沿い、階段を上る。

そのまま流れて流れて………




流れ着いた。誰もいない。







つまり、迷った。入学初日に迷った。



生徒の流れに乗ってる時に幾つも教室を通り過ぎたが、1年1組なんてのはなかった。

思えば多分階段を上る必要は無かったのかもしれない。

一番最初の学年の一番最初の組。

1階にある可能性も無くはない。



しかし、今いるのは多分4階の隅っこ。

目の前には5階に繋がる階段がある。もしかしたら1年1組は5階にあるのかもしれないという希望も持ってみる。



そしてまさかの

今は8時29分、ホームルームが始まる1分前。



ここで、

5階にかけるか、1階にかけるか。という選択が生じた。


究極の選択である。入学初日から死活問題発生。


梅島杏花は悩んだ。そして。



「……JKが1階とかは嫌だ!!きれいな景色が見たいんじゃぁぁぁあ!!!」



実に私的な理由で5階に突き進んだ。




結果。


「屋上……」

彼女は屋上に突っ立っていた。


考えたらそりゃそうだ。1年1組、一番手前にあるのが大体。2階3階にあるとしてもとにかく一番最初に位置するクラスなのだ。他のクラスを差し置いて一番上に来ることはそうそう無い。


この時点で遅刻は確定した。

ならば、


「ギャルたるものならば、遅刻、上等(じょうとぉぉぉう)!!」


入学式から堂々と遅れて馳せ参じようではないか。


それならば1分や2分の遅刻では意味がない。

せめて20分くらいがインパクトが強いはずだ。



「20分とかくらいサボってからいこ」





しかし実は彼女の頭の中では


(まっ、待って駄目だ杏花、初日から遅刻とかだめだろう高校生活始まった時から終わってんぞ!!思い直せ杏花!!!)という堅物真面目のイケメン天使と、

(いいじゃねーか杏花!!お前イケてんぞぉ!!!)というヤンキーイケメン悪魔が闘っていた。


中学の時までは、梅島杏花は基本堅物真面目に従って堅物真面目に生きてきたのだが、高校では一転ギャルになると決めた。

ということは、ヤンキーに従うべきだろう。

杏花は刀をとり、ヤンキーの隣に並んだ。


ただ、堅物真面目を一方的に蹂躙したくは無いので折り合いをつける。杏花的にもただただ不良になるのではギャルではないと思っている。


ので、


真剣では無く木刀で。



「黙らんかい」



すこーーーーーん


両者をはたきとばした。




二人とも地に伸びている。





………このやりとりの所要時間、5秒。




「………んもーーー!!ちっとも時間が進まない!あと20分、どうする私」



杏花は辺りを見回すと、そこそこ屋上が広いことに気づいた。

周るしか手立てはない。



屋上はほぼ何もなくて、百葉箱と、4階に続く階段がある小部屋1つのみ。

実に殺風景。だが、陽当りがよくて風もとても気持ちがいい。


一通り周り終え、杏花は校舎に戻る扉の近くにある百葉箱の前に座り込む。

所要時間5分。あと15分。


「………寝よ」

日が優しく照ってくる、暖かい屋上。


いいサボり場所を見つけた。

眠くなってくる。

このままここで過ごすか……















「どけよ、そこ、俺の」









……いきなり安眠を妨害された。

微睡んでいたところにこれ。せめて寝させてほしかった。時計を見ると、ちょうど8時48分。あと2分だったのに。


上を見上げると、黒い髪でシャープな目のやつがいた。


「嫌です、誰ですかアンタ。私が先に来たんだからここは私のモノ」



「……サボり魔め」


「アンタもね」


「………」


「……………」


「……どけよ」


「嫌だっていってんでしょ」


「……はぁ…」

少し沈黙した後溜息をついた男は、百葉箱の反対側に行き座りこんだ。


「お前、誰。1年か。」


つっけんどんにも程があるくらいぶっきらぼうな口調で言ってくる。


「1年だけど何か。」

お返しに2倍ツンで返す。



「………1年のくせにイキってて、生意気。」



……相手は相当の遣手らしい。かなりイライラする。ギャルだからか。ギャルきめてるからなのか。

入学初日にこれとは、この学校もレベルが高い。




「そういうアンタはどうなのよ」


どうせ2年とか3年で後輩イビリでもしてんだ、この根暗。きっとそうだ。杏花は心の中で第一印象最悪の男に向かって散々悪口を吐いた。



「………1年」



……えっ



「はぃぃい!?

アンタも1年なのかよ!!!同い年じゃんよく先輩ヅラできたわね!

そもそもイキってるっていったってアンタだって入学式サボって今ここにいるんでしょーが!!!一時間目始まってもう20分経つわよ!」



男は少し考えこんだ。

「……確かに」





確かにー、じゃない!天然装ってるのか第一印象最悪男め。



「………行かないのか。20分経った」



「……確かに」


そういえばそうだ。第一印象最悪男、通称:悪男のせいで時間を忘れていた。



というか悪男、アンタさっきの独り言聞いてたのか。



「悪男って何」


きこえてたァァァ


「第一印象最悪男のことよ、入学初日から安眠妨害、ギャル妨害、精神安定の妨害してくれちゃってよくも」


「それはそっちも同じだ。俺は扉の後ろのスペースでアンタが来るまで寝てたんだよ。叫んだりはしゃいだりしてうるせーっての、ここは俺の庭だっ」


「いきなりの長文」



みまわったとき、杏花は校舎に入る扉がある小さな部屋のウラのスペースなんて流石に見ていなかった。

というかそもそも、



「入学式初日なのに俺の庭発言とは」


この人1年だろうに。


「はぁ……ここでサボってたら流石にバレねーだろ、ということはここは俺がいつもいるであろう場所、庭、俺の」


そういうわけか。なら、

「じゃあ、ここ私の庭でもあるのよね」


このワケも通るはずだ。



案の定、悪男の目が死んでいる。


「はぁーー、理屈くせっ。好きにしろよめんどくせー」

悪女(わるおんな)めっ、とかぼやいている。


まあ、別にいい。わるお対わるおんなとか。



「で、悪女、ギャル妨害って何」


梅島杏花イコールわるおんながもう定着したらしい。


別に悲しくなんてないから。読み方的にあくじょなんだけど、悲しくなんてないんだから。別に私はあくじょじゃない。この世界にヒロインがいるならそれは私だっ。と杏花は心の中で必死に自分を保とうとする。


それより、悪男の質問。ギャル妨害について。


「私はギャルになるの。最高のね、カッコいいやつ。それが高校での一番ダントツの目標なのよ。それを達成するために今日は学校を遅刻しようと思ったの。」


「別に何も妨害してねぇと思う」


いや、まだ続きがある。


「あのね、ただ遅れるじゃダメなの。遅刻の度合いが大きすぎても小さすぎても皆にギャル判定なんかされない。『魔の20分』よ。入学当日は、ホームルーム始まって20分経ってから教室に入るのが一番いいの。

現時点、8時53分。過ぎてる。だから、妨害、ギャル妨害。」


「よくわかんねえ」


懇切丁寧に説明してやったのに結局わかんないのか。

いや、別にこんなやつにわかられなくたっていい。悪男はギャルじゃないのだ。


それより。


時間が過ぎすぎた。もう25分経とうとしてる。そろそろ教室に入らなければ、ただのゆるいやつ認定しかされないだろう。

スタイリッシュに、教室に、今すぐに、入らなければならない。


杏花は実にスタイリッシュに立って、

「じゃあね、悪男。私は最高のギャルになりに行ってくるから」

と言い捨てて実にスタイリッシュに去っていく。


「はっ、じゃあな悪女。せいぜい最高の笑われ者になれよ」



かけられる言葉は実に悪口だったが。






結局、1年1組は1階だったのか。

そう思いながら、杏花はスタイリッシュに階段を降りていった。









「……面白いツッコミ族」


こんなふうに評価されていたなんて、梅島杏花は知らなかった。





階段を降りきって、昇降口を通り過ぎ奥の方へ。

一番奥から1つ手前。杏花は1-1と書かれたプレートがぶら下がってる教室の後ろに来た。

扉の窓から覗いてみると、ホームルームが終わったのか先生がおらず、生徒達が自由に喋っていた。


絶好のチャンスだ。先生に怒られない上に入りやすい。


杏花は深呼吸をして、勢いよく扉を開いた。

初めて小説かきます!

飽き性なんで続くといいんですけども、と言って未来の自分を脅しとこうと思います。

あと文ぐだぐだですみません、どうぞこれからよろしくお願いします…!

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