ムスカリ
〜フェンリル王国・ジンハウス〜昼
アン「何がいいでしょうか・・・」
ナナミ「むむむ・・・・」
2階からビリーが降りてくる。
ビリー「おはよう」
アン「あっビリーさん」
ナナミ「ビリーおじさんもう昼だよ」
ビリー「休みの日ぐらい別にいいだろう。それより何を考えてるんだ」
ナナミ「ジンおねえちゃんにプレゼントを渡そうと思って!」
ビリー「ジンに?あいつ誕生日だったけ」
アン「違いますよ。ナナミがジンさんにいつもの感謝の気持ちをプレセントにして渡したいそうです。」
ビリー「感謝か・・・おまえら・・・よし俺ものった!」
ナナミ「やった!」
ビリー「ジンにはお世話になってるからな。つまるところ渡すプレゼントを考えていたってことだな」
アン「そうなんです。ビリーさんは何かいい案ありますか」
ビリー「そうだな・・・年代物の狼酒なんてどうだ?」
アン「それビリーさんが飲みたいだけじゃ・・・」
ビリー「ばれたか」
ナナミ「今度ナナミにも飲ませて!」
ビリー「ダメだ!大人になってからな」
ナナミ「ブーケチ」
ビリー「ケチとはなんだケチとは!なぁアン!」
アン「僕もまだお酒飲めないので」
ビリー「そういえばそうだったな」
ジンハウスの扉が開いた。
ジン「ただいま。何の騒ぎだ」
アン・ビリー・ナナミ「!」
ナナミ「今日は一日中騎士団会議じゃなかったの?」
ジン「まぁいつものことだが、人が集まらなかったからな。昼間で終わったんだ」
ナナミ「そうだったんだ」
ジン「それよりなんのさわぁ・・・」
ビリーがジンの言葉を遮り、口を開いた。
ビリー「いやー今日の晩御飯のことでも揉めててさ!今から買い出しに行ってくるよ。3人で」
ジン「3人で?」
アン「は、はい!食べたい物がバラバラでそれなら市場にいって決めようってなって」
ナナミ「ジンおねえちゃんは何か食べたいものある?」
ジン「私はなんでもいいが・・・」
ビリー「よし!決まりだな!では2人とも出かけるぞ!」
アン•ナナミ「はい!」
アン•ビリー•ナナミ「では行ってきます!」
ジン「あぁ、お、おい」
~フェンリル王国・市街地~昼
ビリー「危うくバレる所だったな」
アン「ヒヤヒヤしました」
ナナミ「ナナミ緊張で倒れそうだったよ」
ビリー「とりあえず市場でいいものを探すか」
ナナミ「そうしよう!」
アン「晩御飯買い忘れないようにしないと・・・」
3人は市場を巡った。
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ビリー「狼酒を試飲出来るなんて最高だな!」
ナナミ「ナナミにも飲ませて」
アン「2人とも!」
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ナナミ「こんな置物どう?」
ビリー「なんだそれ」
アン「蛙ですか??」
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アン「ハンカチなんてよくないですか」
ビリー「確かにありだな」
ナナミ「ナナミも賛成!」
アン「じゃあ・・・」
ビリー「いや、あいつのことだ。貰ったハンカチを汚したくないからと言って使わずに大切に保管するかもしれない」
ナナミ「確かに・・あるかも」
ジン「そんな一面が・・・」
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アン「中々決まりませんね」
ナナミ「以外にプレゼントって難しいね」
ビリー「大切な人へのプレゼントなんて難しいものさ」
???「あ、ナナミ」
ナナミ「あ、フーラ!何してるの?」
フーラ「ママに頼まれて買い物のお手伝いしていたの?ナナミは?」
ナナミ「市場でジンお姉ちゃんに渡すプレゼントを探してるんだ」
フーラ「そうなんだ。あっ初めましてフーラです。」
ビリー「ビリーだ」
フーラ「これが噂のビリーさん」
アン「噂・・・」
アンは身震いした。
ナナミ「ナナミがビリーおじさんの話をするとき顔は怖いけどすっごく優しい人って言ってるんだよ」
ビリー「顔は怖いはよけいだ」
ナナミ「こっちはアンお兄ちゃんだよ!」
アン「アンです。ナナミとはお友達?」
フーラ「うん!よくナナミと遊んでいます。ナナミ魔術が使えてかっこよくて・・・」
ナナミ「いっつもね!ナナミが魔術ショーをしてるんだよ!」
アン「ナナさんに教わって覚えた魔術を披露してるんだね」
ナナミ「そういうこと!」
アンはフーラの胸ポケットに差していた花が目についた。
アン「その花きれいだね」
フーラ「ありがとう」
ナナミ「フーラのお家はお花屋さんなんだよ」
アン「プレゼント・・・花なんてどうでしょうか」
ビリー・ナナミ「確かにいいかも」
ビリー「そう決まれば!」
ナナミ「フーラの花屋へゴー!!!」
フーラ「えっナナミ???」
ナナミはフーラの手を引っ張り花屋に向かった。
~フェンリル王国・市街地・フーラの花屋~夕方
ビリー「色んな花があるな」
ナナミ「だってフーラの花屋だもん」
フーラ「照れるな・・・」
ナナミ「この赤色のお花ジンおねえちゃんに似合うかも」
ビリー「確か前にジンこんな色の花、花瓶に入れていたな」
ナナミ「じゃあこれにし・・・あれアンお兄ちゃんは・・・」
フーラ「アンさんはあっちに」
フーラはアンがいる店の奥を指差した。
アン「枯れない花ですか」
フーラ母「目の付け所がいいね。その花は10年は持つよ」
ビリー「おい何見てんだ」
ナナミ「きれい・・・」
フーラ「プリザーブドフラワー」
店主「あらフーラお手伝いありがとう。お友達?」
フーラ「うん!」
ビリー「なんでただの花が10年も持つんだ?」
フーラ「魔術を使って枯れにくくにしてるんだ」
ナナミ「そんな魔術があったんだ!しらなかった」
アン「これの青の花・・・」
店主「それはムスカリっていうんだ」
アン「2人とも・・・」
ビリー「あぁわかってるぜ」
ナナミ「流石アンお兄ちゃん。目の付け所がいい!」
店主「毎度あり!」
3人は店内に出た。
フーラ「じゃねナナミ」
ナナミ「またね!」
アン「なんか忘れているような・・・」
〜フェンリル王国・ジンハウス〜夜
アン・ビリー・ナナミ「ただいま!」
ジン「遅かったじゃないか」
3人は笑顔でジンに近づいた。
ジン「ん?どうしたんだ?」
ナナミ「ジンおねえちゃん!いつもありがとう!これは3人からの感謝の気持ち!」
ナナミはジンにムスカリを差し出した。
ジン「これは・・・きれい・・・3人ともありがとう!大切にするよ!早速私のデスクに飾ってくる!」
ジンはムスカリを飾りに自室に戻った。
ビリー「ジンがあんなに喜んでいる姿を見るのは久しぶりだ」
アン「ぼくは初めてみました」
ナナミ「喜んでくれてよかった」
ビリー「さてとひと段落ついたし飯だな。あっ・・・」
アン「もう夜ですもんね。あっ・・・」
ナナミ「3人で手を洗いに行こう。あっ・・・」
ジンは自室から戻って来た。
ジン「これから心の癒しになるよ。ほんとうにありがとう。って3人ともどうしたんだ。」
アン「ジンさん・・・」
ビリー「その・・・」
ナナミ「あの・・・」
アン・ビリー・ナナミ「買い出し忘れてました!!!」
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ビリー「よかったぜ。ミュールから弁当を貰っていたなんてな」
ジン「3人が出ていく時に言おうとしたんだが想像以上に早く出て行って言うのが遅れてしまった」
ビリー「不幸中の幸いってやつだな」
アン「ほんとうに助かりました!」
ジン「いつも助けられているのは私の方だよ。いつも3人ともありがとう。」
ビリー「今後は3人でもっとジンをサポートするぞ。さぁジン飲め飲め」
ジン「はは。その言葉期待しておくよ」
ナナミ「泥船に乗ったつもりで任せて!」
アン「それは大船です!」
ナナミ「あれそうだっけ」
ビリー「まったくナナミには困ったものだな」
ナナミ「うるさいな!」
ジン『ずっとこんな時間が過ごせたらいいな』
4人は談笑しながら一夜を過ごした。