世紀の魔術師
〜フェンリル王国•ジンハウス〜昼
ジン「では行ってくる」
ビリー「晩飯は適当に用意しておく」
ジン「頼んだ」
アン「ありがとうございます」
そういってジンとアンはナナの所に向かった。
ビリー「もう一眠りだな」
〜フェンリル王国•郊外にて〜昼
アン「ナナさんはフェンリル王国に住まれてないですね」
ジン「なんでもが群衆が苦手らしい。後魔術の実験もするから人里離れた郊外に住んでいるらしい」
アン「そうなんですね。確かナナさんって魔術が凄いんでしたよね」
ジン「ティーン大陸で数少ない大魔術師の1人だからな」
アン「聞いたことあります。4大魔素を自由に使う事が出来る人に与えられる称号ですよ」
ジン「あぁ。間違いなくフェンリル王国周辺でナナに右に出る者はいないな」
アン「そういえばナナミは今日もナナさんの所に行ったんですか」
ジン「また朝から出かけてたよ」
アン「ほぼ毎日ナナさんの所に行って魔術の修行しているってビリーさんが言ってました。なんか姉妹みたいですね。名前も似てますし」
アンが笑いながらいった。
ジン「みんな言うよ。そういえばアン、まだフェンリル王国内部を全然見てないよな」
アン「まだ見てないですね」
ジン「じゃあ明日騎士団に向かう用事があるからフェンリル王国を案内しよう」
アン「ありがとうございます」
〜フェンリル王国郊外•ナナの家〜昼
ジン「ナナミ!」
ナナミ「あ、2人とも来たんだ!今、水の造形魔術を学んでるの!」
そういってナナミが魔術で蝶の造形を出した。
ジン「すごいな。ナナミ」
ジンが微笑んだ。
???「それが噂の新しい隊員さんですか」
ナナミの後ろで椅子に座っていた女性が立ち上がり向かってきた。
ジン「やぁナナ。紹介しよう。アンだ」
アン「初めましてアンといいます」
ナナ「ナナです」
2人は自己紹介をした。
ナナミ「ジンお姉ちゃん!こっち来て!見せたいものがあるの!」
ジン「あぁ」
ナナミがジンの手を引っ張った。
ナナ「とりあえず家の中は汚いのでテラスにどうぞ。ハーブティー持ってきますね」
アン「ありがとうございます」
アンはテラスに腰をかけ、ナナはハーブティーを持ってきた。
ナナ「ハーブは心を落ち着かす効果があるんですよ」
ナナがハーブティーを飲み、一間おいて言った。
ナナ「アンは神を信じますか?」
アン「へ?」
ナナ「単純に気になって。君みたいな青年と話す機会があまりないので」
アン「うーんいたらいいなって思います。そっちの方が楽しそうなので」
ナナ「楽しそうですか。中々面白い解答ですね。参考にします。そういえば今日はビリーは来なかったんですね」
アン「昨日任務にいったので今日は寝て過ごすって言ってました」
ナナ「相変わらずですね」
アンとナナは談笑し、ジンが戻ってきた。
ジン「ハーブティーいただくよ。ありがとう」
ナナ「朝一番で取れたハーブです。美味しいですよ」
ジン「心が休まるな」
ジンが真剣な表情でいった。
ジン「ナナ。本題だがアンは魔術の才はあると思うか?」
ジンが真剣な表情で聞いた。
ナナ「その件で来たと思っていました。出会った時から感じていましたが、限りなくないかと」
アン「えっ」
アンは絶句した表情をした。
ジン「そうか」
ナナ「えぇ」
アン「・・・」
ナナはアンの方を見ていった。
ナナ「ハーブティーは心を落ち着かせるんですよ」
アン「あ、ありがとうございます。ナナさん凄いですね。短時間で魔術の才を見出すなんて」
ナナ「オーラを感じとっているだけです。でも簡単な魔術なら習得出来ると思いますよ」
遠くからナナミの声が聞こえた。
ナナミ「3人とも来て!見せたいものはあるよ!」
ナナ「はいはい。今行きますよ」
そういって3人はナナミの所に向かった。
ナナミは魔術の造形で色々な物を造り披露した。
そして日が暮れ、3人はジンハウスに帰る事にした。
ナナ「では3人ともお気をつけて」
ナナミ「バイバイ!ナナお姉ちゃん!」
ナナ「復習を忘れずに。また明日」
ナナミ「はーい!」
ジン「また来るよ」
アン「今日はありがとうございました」
ナナ「魔術の相談ならいつでも聞くよ」
3人は帰路についた。
ナナ「後は頼みましたよジン。それより・・・」
ナナは深刻そうな顔をした。
〜フェンリル王国•ジンハウス・広間〜夜~
ナナミ「ただいま~」
ビリー「帰ってきたのか」
ナナミ「いい匂い!!!」
ビリー「もうすぐ出来るから待っといてくれ。後ナナミ帰ったら手洗い・うがい!」
ナナミ「はーい!」
ナナミは洗面台に向かった。
ビリーは違和感に気付いた。
ビリー「あれアンは?部屋に行ったのか。全然気付かなかったぞ」
ジン「ナナに魔術の才が無いって言われてなら」
ビリー「それはまた・・・」
ジン「ちょっと行ってくる」
ビリー「頼んだ」
〜フェンリル王国•ジンハウス・アンの部屋〜夜
アン「・・・魔術が使えないか」
アン「せっかく騎士団に入って・・・村の皆に送られて・・」
アンはひどく落ち込んでいた。
ジンがドアをノックして言った。
ジン「アンちょっと外にでないか」
アン「す、すいません!は、はい」
〜フェンリル王国•ジンハウス周辺~夜
ジンとアンはジンハウスの後ろ手にある土手に腰をかけた。
ジン「落ち込みすぎだ」
アン「すいません」
ジン「安心しろ。私だって魔術は使えない」
アン「えっ!?」
アンは驚いた。
アン「でも前ビリーさん言ってました。風みたいに早く動けるって・・・」
ジン「私は代わりに心術が出来る」
アン「心術?」
ジン「魔術の仕組みは知ってるな」
アン「一応知ってます」
ジン「簡単に言うと魔素というのは外的要因、つまり自然エネルギーを体に取り込み四大魔素の内、自分の得意な魔素に変換し魔術を放つ。心術とは自然エネルギーを取り込まず、魔素を自分自身で練り上げ、心術を放つ。これが魔術と心術の違いだ」
アン「初めて知りました」
ジン「魔術と心術は似ているが全くの別物だ。魔術は才の部分が大きいが心術は誰でも習得出来る。まぁ魔術と違って能率的に悪いから広まってないだがな」
アン「でも僕に出来るでしょうか。そんな修行したことないし」
ジン「私が教えようアン。必ず君を立派な騎士に育てよう。約束する」
アン「ジンさん!!」
ジンとアンはジンハウスに戻った。
~フェンリル王国・ジンハウス・広間~夜
ビリー「お、帰ってきたか」
ジン「ずっと待っていたのか」
アンとジンが驚いた。
ビリー「ナナミが待つって言い出してな」
ナナミ「みんなで食べる方がおいしいもの!」
ナナミはアンの所に駆け寄った。
ナナミ「アンお兄ちゃん大丈夫?」
アン「大丈夫!ごめんねナナミ。ありがとう」
ナナミ「良かった」
ジン「では食べようか。ご飯が冷めない内に」
一同「いただきます」
4人は談笑しながら一夜を過ごした。