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04_04 拠点竜の巣を内見する


「白狼の聖域が登録した拠点は竜使いにはぴったりの場所なのよ」


 アンジェラさんが、これから拠点を案内してくれるというので、ギルドをでて南岸の磯まで歩いていく。

 拠点登録の書類は子爵とスズさんが用意したので、僕らは初めてみるから楽しみだ。

 ヤトマリというらしい港の南の磯には真竜となったビーコとオルミナさんがいた。


「クラン登録お疲れ様。今度は秘密基地までの空の旅となりまーす」


 なんだかオルミナさんのテンションが高い。

 これは期待していいんだろうか。


「さ、皆さん乗ってください」


 既に先頭に乗っているオルミナさんの後ろには鞍がならんでいる。

 アンジェラさんにうながされて僕とリオンが乗ろうとするけれど、一人の足が前にでない。


「クロウ、やっぱり宿に戻ってるか?」


 クローリスは前回ビーコに乗ったときの恐怖で空を飛ぶのが怖くなったらしい。


「い、いえ、乗ります! 乗りますけど、ちょっと待ってください……」


 あんまり待てないんだけどな。

 先にショーンとデニスが待ってるし。


「ザート、クロウの後ろに座ってあげて。私はクロウの前に座るから」


「ああ、僕ならいざという時に拾いに行けるからな。そうしようか」


「拾いに行くとか怖いこと言わないでくださいよ!」


 文句を言って、しまいには抱えろとか無茶を言い出したので、適当な革紐のわっかを胴に回して僕が持つ事になった。

 皆が乗ったところで伏せていたビーコが翼を広げて飛び上がった。


 急上昇したはずなのに身体が揺れない。

 やっぱり竜のつかう魔法の類いで飛んでいるんだろう。

 羽ばたく様子も鳥の羽ばたきというよりは海で見た平らなエイという生き物に似ている。

 この辺りはリヴァイアサンの影響を受けたせいだろうか。


「じゃあこのまま拠点まで飛ぶよー」


 ビーコがゆるく旋回して高度をあげていく。

 南岬を上から見下ろすと、頂上ちかくに木が生えていない場所が見えた。

 確認するとビーコは吸い込まれるようにその場所に向かった。


「はーい到着」


 足をつけた場所はどうやら天井が崩落した洞窟らしかった。

 見上げると、少し秋めいた空と緑がまぶしい。

 アンジェラさん達に付いていくと、洞窟はしだいに人工物めいてきた。

 漆喰が塗られて普通の家とかわらない。


「はい、こちらが当館一押しの眺望でございまーす」


 オルミナさんが開けたドアの向こうには、昼下がりの太陽に照らされた北岬砦がよく見える抜群の眺望、そして南方の植物に囲まれたウッドデッキでくつろぐショーンとデニスの姿があった。


「お、ようやく来たな。ここ最高だぜ」


「このデッキチェアがワシの尻をはなしてくれんのだ。今日はもう動けんな」


 ジョッキを片手にゲラゲラ笑う二人。

 できあがるの早すぎじゃないか?

 

「ここはギルドの持ち物だから貸すには条件があるわ。たまに空路で届け物をして欲しいの。それなら月三十万で貸すわよ」


「月三十万でこの物件が!」


 言ってからチラッとこちらに流し目を送るオルミナさん。あざとい。

 アルバトロスの面々が乗り気なのはわかった。


 竜使いはいるといないとではクランが出来る事に格段の差がつく。

 複数の拠点にばらけているパーティが短時間で連携をとれるのだ。


「あらかじめ業務内容を指定してから、最大週一回、指名依頼を無料で受けるという形ならうけます」


 案の定、アンジェラさんは眉間にしわを寄せ値を上げてきた。

 これは金額の問題ではなく条件自体をのみたくないんだろう。


 アンジェラさんを疑いたくはないけど”時々”、”届け物とか”で”口約束”をしたくはない。

 定期的な海棲魔獣の掃討、なんかでただ働きはごめんだ。 


「ギルドマスターに相談してみます」


「僕もレーマさんにお土産があるので、今から行きましょう」


 レーマさんへの手土産は沈没船から引き上げた”ティ”にしよう。

 結果、条件はきっちりと最低限にしてもらった。

 だいたいビーコがその気になれば、一日で三十万は楽に稼げる。

 ギルドとしてはそれだけでおつりが来るのだ。


 レーマさんが愛して止まない”ティ”を飲みながらした交渉は実にスムーズだった。


「そういうわけで、拠点”竜の巣”は家賃十万ディナで借りる事になりました」



 戻って皆に報告したらなぜかドン引きされた。

 リオンは笑顔でうなずいてくれたから、リーダーとして間違ってはいない。

 そう思おう。



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