表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
94/384

04_02 始めての敬礼


 ブラディア国使節団を乗せた船と皇国戦艦が船団を組み、港の外まで曳航えいこうされていくのを眺めていた。

 皇国戦艦は補給と追加の乗員を第四港に待たせているのでそのままで問題ないらしい。


「いっちゃったね」


「そうだな。無事にブラディアと皇国の間で同盟が結ばれても、大使と子爵が戻るのは半年後。それまで”白狼の聖域”には大隊の三百十二名が加わる訳か……」


 僕らはそれきり沈黙し、船団が遠ざかるのを眺めていたかった。


「……そろそろ現実をみていただけますか?」


 ……眺めて、いたかった!

 スズさんの無慈悲な指摘で僕らは振りかえらずにはいられなかった。

 視界の先の広場には僕らと一緒に下船した皇国軍人四十名一個小隊が綺麗に整列していた。


「じゃあ、まずはギルドに冒険者登録しに行こうか」


 言った瞬間、スズさんから殺気が飛んできた、怖い。


「ザート、皇国人って上下関係厳しいから、毅然としないとスズさんみたいに反抗的になっちゃうよ」


 再びスズさんから殺気が。

 今のリオンの失言も僕が責任とらなくちゃいけないのか。


「……わかった。それっぽく振る舞ってみるよ」


 観念して彼らの元に向かう。


 船中での大使のお願いはすべて本気だった。

 皇国軍人はブラディア国支援のため、王国をはじめ、ブラディア外でも活動する必要がある。

 しかし軍人という身分では身動きが取りづらい。

 そのために冒険者の身分と、統率する組織を必要としていた。


 一方、子爵も僕らがクランを立ち上げるという話は把握していたらしい。

 皇国の姫が立ち上げるクランなら、皇国を含めたティルク人が大量に集まるだろうと予測し、準備していたとの事。

 その一環で僕らはいつの間にか銀級五位になっていた。怖い。

 

 こうして大使と子爵の思惑は一致し、”白狼の聖域”は元軍人の彼らをかかえる事となった。

 

 現在グランベイにいる元皇国軍人は整列した四十名とスズさんとバスコという小隊長で四十二名。

 あと二百七十名がクランに所属するのか。


 何この大規模クラン。

 子爵は人材を送ると言っていたけど、僕らに運営できるんだろうか……って弱気になったらいけないんだった。

 目に力を込め、バスコ小隊長の前に立つ。


「敬礼!」


 バスコさんの声とともに四十名が僕らに敬礼してきた。

 ちょっとこの場ではやめてくれないかな!? 

 ほら、周りで働く冒険者の目もあるから!

 バスコさんに向かって押し戻すような手振りをするとバスコさんがうなずいてくれた。

 よかった。空気を読んでやめてくれるみたいだ。


「傾聴!」


 敬礼が休めの姿勢になっただけだよ!


(ザート、手短にあいさつだけすれば大丈夫だよ)


 簡単に言ってくれるなリオン。

 手短なあいさつって……


「僕はクラン”白狼の聖域”のリーダー、銀級五位冒険者……ザートだ! すでに船上にて君らの活躍は目にしている! 共に戦おう、クランは皆の加入を歓迎する!」


 声が固いけど、なんとか言えたぞ。

 後はスズさんに振ってしまおう。

 何か副官的な感じに使えって大使に言われてるし。

 威厳ありそうな感じでスズさんに顔を向けたらチッって音がした。

 舌打ちじゃないよね?


「まずギルドに向かう! 到着次第、建物前で待機! クランリーダーに敬礼!」


 四十一名が一斉に右胸の前で手の平を見せてきた。

 

 やめて! さっきの僕の手振りは敬礼じゃないから! 


【お願い】

お読みいただきありがとうございます!

本作に少しでも興味をもっていただけましたら、ぜひブックマークし、物語をお楽しみ下さい!

【☆☆☆☆☆】をタップし、【★★★★★】にして応援いただけると嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
こちらもぜひお読みください! 異世界配信ファンタジーです!
【異世界配信どうでしょう?バズらないと昇天しちゃうから皆見て!】 
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ