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05_28 魔人との連戦

 

 祭壇を後にした僕らは、魔人が多数発生していた事をギルドに報告するため、中央幹線路に向かった。


 リュオネをかかえ、飛び石で長城の上空まで飛び上がる。


「……ん?」


 第五出城からこちらに向かって、白い炎が一つ飛び出てきた。

 あの速さは人じゃない。


「リュオネ」


「うん、準備しとく」


 同じ方角をみていたリュオネが顔を引き締め、腕の中で魔鉱拳銃を準備する。


 リュオネの炎はこぶし程度だ。

 それに対して高速で走ってくるなにかは、姿がみえないほど白い炎で埋め尽くされている。


 白い炎が半透明になるくらいに調整すると、炎の中から赤黒い影が現れた。

 顔の部分にあるのはさっき見たのと同じ黄昏色の双眸。


 一気に中央路の上に駆け下り、相手の進路に立ち塞がる。

 ここを通せば第四十字街が被害を受けてしまう。


「魔人がまっすぐこちらに来る。初撃はそっちのタイミングで撃ってくれ。僕がとどめをさしに行く」


 膝立ちになり魔鉱拳銃を構えるリュオネにむかって言うと、こちらも曲刀を出して構える。


「いくよ!」


『ヴェント!』


 発砲音を合図に飛び出す。

 相手も近づいているので適度に加速していくと、丁度目の前でリュオネの魔弾が炸裂し、白く光るファイアアローが魔人を捕らえた。

 そう思った瞬間、魔人の炎が一瞬大きくなり、ついで白く光るロックウォールがファイアアローを跳ね返した。


『ヴェルサス!』


 ロックウォールの手前で急停止すると、魔人がロックウォールを飛び越えてきた。

 タイミングを計り、着地寸前の魔人めがけて曲刀を振り抜く。

 魔人は断末魔の叫びを上げ、身体から首と右手を離し転がっていった。


 敵と味方の魔法を見る限り、白は魔力か魔素か。

 だとすると白い炎はやっぱりそのたぐいだろう。


 後ろを振りかえると、リュオネの手にある凝血石を中心に、半透明の白い炎が燃えていた。

 

「ザート、収納お願い」


 リュオネが凝血石を差し出した瞬間、リュオネの隣に転がっていた魔人の身体が一気に起き上がった。


 まずい!

 魔人の身体は”起き上がる”のを二人とも忘れるなんて、油断だ。

 リュオネが射線にかぶって魔法が使えない。


「リュオネ伏せろ!」


 叫んだ瞬間にはリュオネを襲おうとふりあげられていた魔人の左腕が白く発光した。

 そして魔人がそのまま崩れ落ちて動かなくなった。

 地面に倒れ込んだリュオネが目を見開いたままこちらにたずねてきた。


「ごめんザート、油断した……でも今のは?」


「わからない、魔人の左腕がリュオネの後ろに見えた瞬間に白い光がでて、すぐに消えて、魔人の身体が崩れ落ちた。……それから、今確認したけど、魔人を覆っていた白い炎も消えている」


 シルトの件で、身体に魔素があふれた結果、人が魔人になるとわかっている。

 首と身体を切り離しても”身体が起き上がる”のは、身体の側に残っている魔素のせいだと考えると説明がつく。

 おそらく僕はそれを収納したのだ。しかも見ただけで。

 浄眼という名前は魔素を浄化するからかも知れないな。


 リュオネとそんな話をしていると、また第五出城から新手がでてきた。

 うそだろ、第五出城で何が起きてるんだ!


「リュオネ、四十ジィ土弾、ロックニードル!」


 僕はリュオネを待つことなく、浄眼を使って魔鉱銃のチェンバーに魔弾を装填し、狙いを定めずに数回撃った。

 リュオネも加わり撃つと、ギリギリ近くで五体の魔人が全部倒れ込んだ。


「ふぅ……五体一気に来ていたら危なかったかもな」


 銃剣を用意していたけど射撃だけでかたがついてよかった。


「リュオネ、一体だけとどめをささないで残してくれ。さっきみたいに魔素を吸えるか試したい」


 首を切っていない、一体の瀕死の魔人から魔素だけの収納を試みる。

 魔素を吸っている感覚はあるけど、頭部の凝血石から魔素が供給されるのか、いつまでたっても身体から魔素が消えることは無かった。

 次は銃剣で首を切り離し、まず身体から魔素を収納し、頭部の凝血石にも同じ様に試してみた。


「ザート、できた?」


 リュオネが死体から冒険者証をとってから心配そうに訊いてくる。


「いや、やっぱり身体を凝血石から切り離さないとだめみたいだ。凝血石クラスの魔素を一瞬で抜くことはできなさそう」


 もしできたなら戦わずして勝つ、なんてことも出来たけど、そううまくはいかないらしい。

 さて、ここまで来たら引けないな。


「リュオネ、第五出城にはどうも魔人が複数いるみたいだ。直接助けにいくか、第四十字街まで戻るか、どっちが良いと思う?」


 リュオネは一瞬ためらったけど、すぐに出城の方角を見据えた。


「第四十字街には見張りもいる。さっきみたいに地上からやってこられても戦闘か足止めはできるはず。それより第五出城の状況を確認してから両側の山岳要塞か港湾要塞の金級冒険者に応援を頼んだ方が良いんじゃないかな」


 確かに、一度出城の状況を確認したい。

 僕が飛び石を使えば空中に脱出できるし、もしかしたら出城の生き残りを救出して戻れるかもしれない。


「わかった、出城にいこう」


 僕らは装備を確認し、第五中央出城にむかって駆けだした。




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