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1.4日目【テスト受けてみた!】究極の回復魔法!? ルリの能力がヤバ過ぎた!

 「それじゃルリさん、ゆっくりで良いので何か話しかけてみて」


 ミツバがルリに促す。杯をじっと睨み付けている妹の姿はなんとも奇妙だった。


 「えっと、私の名前は琴乃木ルリです。それで、好きなものはモンブランで苦手なものは炭酸です。あとは……」


 「……」


 杯は何も喋らない。当然といえば当然だが、水面は微かな揺らめきを保っていた。


 「私はまだ14歳なので、将来の夢とかやりたい事はまだ決まっていません。でもお兄ちゃんや周りの人達に支えられてここまで過ごしてきました。そんな楽しい日常がこれからも続けば良いなって思ってます」


 「ルリ……」


 よく出来た妹の言葉に感動していると、水の動きがピタリと止んだ。と、思った次の瞬間、渦を巻きながら激しく杯の中を駆け巡り始めた。


 「なんだ、どうなってる!?」


 「大丈夫! このままルリさんは杯を見つめていてください」


 青の液体が杯を飛び出し、表面張力の限界を超え、空を舞うように踊っている。その踊りはまるで民族の儀式のようであり、この光景をスマホで撮れないのか悔しくてたまらない。


 「………………」


 動きが止まった。水で出来た踊り子達が杯に帰っていく。


 「……貴方は」


 「「し、喋った!!」」


 「貴方はとても清らかな心の持ち主です。美しい。澄んだフルートのような声色がその内を表しています。是非とも容貌をこの瞳で確認したいものだ」


 瞳があるんかい。


 「優しき人よ、『女神の慈しみ』を授ける。貴方の真なる強さがこの力の道導とあらん事を」

 

 その言葉を聞いてミツバが叫んだ。


 「女神の慈しみ!?」


 「なんだ凄いのか?」


 「凄いなんてものじゃないよ! 古式魔法の一つだ。回復系統の究極の型と言ってもいい。Sランクのパーティにも古式魔法を使えるのはほんの一握りしかいなかったはずだよ」


 そりゃ凄い。だか当たり前だ。


 俺たちは異世界に招かれた言わば『選ばれ者』なのだ。相応の力を頂いて当然! 妹が回復なら兄はおそらく……。


 「剣、刀、そんなあたりか……」

 

 「どうかした? ワンさん」


 「なんでもない、良かったなルリ。珍しい力らしいぞ」


 「う、うん。よくわからないけど怪我とかを治せるのかな?」


 安堵の表情を浮かべるルリの肩に手を乗せる。


 「次はお兄ちゃんの番だ。なーに安心したまえ。勇者ワンの名前にふさわしい能力を貰ってくる」


 ルリに代わり、杯の前へゆっくり近づく。


 青の水がまた揺らめき始めた。


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