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1.1日目 【タダ乗りしてみた!】巨大都市FOOM!? ギルドを探しに行ったらまさかの事態に!!

 「ちょっとお兄ちゃん! もう少しそっち寄ってよ!」


 「これが限界だ! 俺の顔見てみろ。荷物に潰されてクシャクシャになってるだろ」


 「わ、笑わせないで。あとスマホは今は仕舞って! 外の景色なんて何も見えないでしょ!」


 「大丈夫だって、インカメにしてるから」


 「潰れた顔面撮ってどうするのよ!」

 

 俺たちは今遊覧船に乗っている。正確に言えば客の荷物に紛れ、無賃乗船をしている。


 ……。


 なんで?




〜〜〜




 「ほぇー、お2人はそんな遠いところから来たんですね」

 

 簡単な自己紹介を終えると、ポピーが深く頷いた。黒髪の少女、名前が本当にポピーだったらしい。とすると、花飾りは名前が由来だったのか。


 「それで、ポピーはお使いに来たんだよね?良かったらしばらく道案内をお願いしたいんだけど……」


 「ごめんなさい、あまり時間がなくて……」


 「そうだよな、悪い。そうしたらこれから俺たちがどこに行けばいいかアテはあるか? 出来るだけ情報が集まりそうなところがいい」


 伏し目がちだったポピーが顔を光らせた。


 「それだったら『FOOM』に行くのが1番ですよ!」


 「「FOOM?」」


 「はい、この国の物流や経済を支える巨大都市です。冒険者ギルドもFOOMに存在します。ギルドなら有益な話がたくさん聞けると思いますよ」


 ギルド! 最高にバズりそうな響きだ。


 「FOOMにはどう行けばいい?」


 「ここ2番街なら直通の遊覧船が出ています。大通りをひたすら東に歩いていれば川が見えてきますので、そこから船に乗船することができます」


 「東に歩いて川を探せばいいのね。お兄ちゃんどうする? ん? お兄ちゃん?」


 「今聞いた話だとこの世界にはギルドなるものが存在するそうです! 冒険者が募り、依頼を受け、モンスターを倒す! 次の動画ではギルドの採用試験を受けるとこから始まりそうです! みんな、このチャンネルを登録して俺ら『勇者ワンと賢者ルリ』の活躍を応援してくれよな!」

 

 「ダメだありゃ……。とにかくありがとうポピー! わたし達FOOMに向かってみるから!」


 「あ、あの!」


 忙しなく東へ向かう2人を眺めるポピー。彼女のポケットのポケットからコインが擦れるような音が鳴った。


 「あの人たち、お金持ってるのかな……」

 



〜〜〜




 揺れが止まった。隙を見て遊覧船に乗り込んでから40分程経っただろうか。外の雰囲気が変わり始めたのを肌で感じる。


 「ルリ、たぶんFOOMに着いたぞ」


 「ねぇ、お兄ちゃん」


 「うん?」


 「どうやって降りるの?」


 「……」


 困ったね! ルリ、もっと早く言って欲しかった。


 次々に荷物が退けられる。上手く抜け出そうにもタイミングが掴めない。


 ルリがこの世の終わりのような表情を浮かべている。仕方ない、たまには兄貴らしさを見せてやるか。


 荷物の間にちょっとした隙間を作る。これなら通りそうだ。そこから思い切りスマホを滑り飛ばす。


 「お兄ちゃん、何してるの?」


 「合図が鳴ったらすぐ出るぞ」


 「合図?」


 その時、船頭の中心の方から大音量で何かが流れた。乗客員の注目が一様にそちらに注がれる。


 『無限〜大な夢の後の! 何もない世の中じゃ!!』


 「なんだ、なんだ、うるせえぞ!」


 大柄の船員達がさらに騒ぎを盛り上げる。さりげなく荷物から抜け出し、騒ぎの中心へ向かった。


 「おい、このうるさいやつ誰のだ!?」


 乗員の1人がスマホを取り上げ、怒鳴るように当たりを見渡す。


 「あ、ここにありましたか。ルリ! あったぞ! こっちだ」


 「ア、アー、ヨカッタ」


 「なんだお前達のか、うるさいから早く仕舞ってくれ」


 「迷惑かけてすみません。素敵な船の旅ありがとう。それでは」


 小手先の演技がバレるのは時間の問題だ。違和感を持たれる前に早く逃げてしまおう。


 冷や汗を垂らした妹の腕を掴み、俺たちは早々にその場を立ち去った。




 そしてすぐそこは目も絡むような大都市FOOMだった。

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