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不思議なツインの物語
【41才・紗代子・Tokyo】
冷や汗が、出た。
右脇を触っていた紗代子は、そこに2センチくらいはあると思われる、しこりをみつけたのだ。
なぜ脇にしこりがあるのか・・・。
直感的に、紗代子は乳がんかもしれないと感じた。
慌ててその左手が、右の乳房に触れる。
乳がんは、唯一自分で触れることのできるがんでもある。
・・・
右の乳房に、わずかに小さな異物を感じた。
紗代子は、再び血の気が引くような感覚に襲われた。
【31才・ステファン・Paris】
近いうちに、それが決行されるはずだと、妻が言った。
僕は、その言葉を聞きながら、まるで別世界にいるような感覚を覚えた。
妻が言うことは、現実味があるようでいて、
まるで別次元の話しのようでもある。
これから、僕たち家族4人は一体どうなってしまうのか?
ステファンは、ただただ不安で、怯えた子供のように妻を見つめた。