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第1話 ちょっと前置きを踏まえて

初投稿です。駄文ですので、お暇つぶしに……


◇◇◇


オレはこの魔力という不思議な力のある世界に転生してきた。

もう三十年も前になる。


三十才は、十五才で成人を迎えるこの世界の人族ではいいかげんかなりのおっさんだが、ちょいとした事情もあって、これまでのほとんどを修行(対症療法だが)に費やしてしまった。

まあ引きこもりという名の修行である。


三十年という年月が長いのか短いのかは、種族によるだろう。

エルフならまだようやく子供を抜けたところ、龍族などでは赤子のレベル。

ただ人族では、やはり「おっさん」である。


しかも、まあ能力はそこそこあるのだが、今回の諸々のドタバタの成り行きによっては、もしかしたら世界の命運も左右されるとあっては、この世界に生きる者として少しは頑張らざるを得ず、少々はチャンスもあったものの未だ独り身である。


というのは実は言い訳で、タイトル(称号)の関係もあり、そういった機会を作れなかった、作る強大な勇気(邪心)もなかったんだと反省している。

そんなタイトルを選んだのは自分自身なのだから、もう半分以上諦めてはいるが、一人で野営ばかりなんぞをしていると、時々こんなんでいいのかと思ってしまう。

要するに意気地なしで、かつ結構うじうじと気にしている。

世間体を気にしてるのではなく、何となくこのまま老いたくない、という気持ちだ。

でも多分老いていくのだ。


◇◇◇


元の世界、地球においてオレは、工科大を卒業し、地元の自動車部品会社をリストラされた、普通のモノづくり愛好家であった。

ゲームをやりながら、ロボでスライムらしきものをどう作るかなどと夢想しつつ、片道二時間半かけてアキバで材料(ゲーム、フィギア)を買うために、小料理屋のバイトなんぞをしていた、自称フツーの何々愛好家オタクであった。


まあ、モノづくりのおかげで、学生時代は、共同作業という名の青春デスマーチ的な徹夜の制作作業などもあり、作業に時々参加するお決まりのコミュ障の紅一点に振り返られもせず、両親が先に逝った時のバタバタなんぞから、故に完全なヒッキーにはもなれず、遺産の方はなんとか大食いせずに、リストラ後も、バイト程度で材料(ゲーム、フィギア)が相応にコレクトできていたのは僥倖だった。


そんなわけでって、どんなわけかわからないが、いつまでも万が一の親の遺産(ボロ家と片方の生命保険)を頼りするのもなんだかと思い、軽く再就職しようかと思い立ってもまだ行動しなかったその矢先、二十六才でいわゆる死亡フラグが立ち、そして転生して三十年、現在五十六年に登る。

ミロクフィギュア(仏像系)の説明書にはミロク様は五十六億七千万年後の娑婆に顕現されると書いてあったけど、オレの五十六年もけっこう長かった。


うん、けっこう長かった。

僧侶になろうと思った。

もう僧侶とかのタイトル(称号)も持ってるけど…。

世界が滅びなかったら、これからもっと長いかもしれない。


◇◇◇


しかも、こんなに頑張って、今回たとえ諸々のドタバタを上手くこなしても、実は大きな意味でそれがどういう風に世界の命運を左右するのかは、オレにはまったくわからないし、わかるつもりも実はあまりない。


そんな諸々の事情を言ってきた厄介どころの方も、まあ、オレをプチ洗脳してるだけではないか、とも思ってしまうという状況もあり、ともかくも、オレは自発的善意か自発的悪意でなければ動かない。動けない。

何をしても自己責任で自己評価だ。


だから頑張りといってもあくまで自己評価なので、世間的評価を真に受けるわけじゃない。

要するにやることは自分勝手で、その結果は他人に丸投げだ。

矛盾だらけに、できるだけ居心地のいい場所や未来を夢想してるだけだ。


でも多分幕末の志士の中にだってそういうやつがいたはずだ。

信じて何かをしたからといって、それが成功しても、必ずしも自分の信じたような結果になるとは限らない。

返って目的を果たしてもこんなはずじゃなかったと思うことの方が多いはずだ。


…といって…何かを信じなければ生きてはいけないのが、また人(獣人とか魔族含む)というものだろうか…とも考えてしまう。


だが、後ろめたくも、実は夢想しているだけで、たいして何も信じてないオレが、そうやって信心を語るとは甚だおこがましいなどと、殊勝なことを考えつつ、オレは鼻白みながら起き上がる。


ああ、また鼻がむず痒くなってきた。

親がつけたキラキラもどきネーム(ホントはサッカー選手の名前だったそうだが)に影響されてか、前世からオレはアレルギー体質だった。

ひとっ走り対症療法(修行)だな。


さて、あの城で最後か…。

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