ガウランの秘密
ここまでのあらすじ:も、もう腕があがらねえ。これが最後のバッターだ。くっ!もうこの後、この腕が使えなくなっても構わない!神よ、力を!!!!
「タクト様〜、タクト様に会いたいという方たちがいらっしゃいましたよ〜」
シェールが呼びにきてくれた。最近はうさみーるの方からシェールがきてくれるので楽になった。反対に忙しくなった(というかシェールのおかげで楽になっていた忙しさが元に戻った)アンがぶつぶつ文句を言っているが。
「ありがとー、シェール。」
「いえいえ、タクト様のためですから。」
ジーっと俺を見つめる。その眼差しが熱い。怖い。俺はごまかして来客に会いにあった。
「おお、タクト殿、新しい神殿の仕事はいかがかな。」
「これはタール殿、それにガウラン様まで、なんとお珍しい」
タール爺とガウラン様がやってきた。この時間は、まだカフェの方で猫ちゃんを撫でている時間なので、ちょっと驚いた。
るーたんはポチと遊んでいたが、ととととと、と駆けてきて、ガウラン様に抱きついた。
「ガウランさまー!」
「おお、よしよし、良い子じゃな。良い子じゃな。それにその服。なかなか似合ってるぞい!」
「ほんとうー」
るーたんは嬉しそうだ。ところが、いつもはベッタリくっついて離れないぽちが固まってダラダラ汗を流している。
「どうしたんだ?ぽち。大丈夫か。」
「や、やべーよ!おま、あ、あいつ誰だかしってんの?」
「ガウラン様だろ?」
「で、俺は誰だ?」
「ぽちだろ?」
「ちげーよ、おま。俺、魔王」
おおおおおお、すっかり忘れてた。そういえば、このわんわん、魔王だったな。忘れてたー。やべー。健忘症かな〜?
ガウラン様がちらっとこっちを見た。キラっと目が光ったような気がする。タール爺さんも気がついたようだ。
「そこにいるのは、アレクサンダーか。お前、ガウラン様にお前のお爺様に挨拶せんか!」
えええええ?????なにそれ、初耳なんですけど。
「く!俺は誇り高き魔王、じじいなんぞに従う……」
「ぽちー、がうらんさまに、いやなこといっちゃだめなん!」
ぽちが途端に小さくなる。おいおい、さっきの威勢はどこに行った。
「こ、こんにちは」
「息災かの、アレクサンダー。あまりおいたが過ぎると、めっするぞ!わはははは」
ガウラン様、余裕だ。反対にぽちはちょっと青ざめてぷるぷる震えている。あ、漏らしやがった。誰が掃除すると思ってんだ。
「おーいシェールー!」
「なんですか、タクト様。」
「悪いけど、ぽちが粗相をしたから、片付けてくれないか?」
「わかりました。いますぐやります。」
ほら、こんなふうに、シェールが酷使されることになるぞ!
二人はちょっと見て回ってカフェに猫ちゃんを撫でに戻った。
後で、ぽちに聞くと、詳しくは爺さんではなくひいじいさんらしい。
なんじゃそれ?
ガウラン様がまだ若いころ、激戦の末、女魔王を追い詰めたらしい。
「おい、もうあきらめろ。これで終わりだ。」
「く、まだ負けたというわけでは!」
「まあもうわかっているんだろう。まあ、最後に俺ができることなら、なんでも叶えてやるぞ、ただし、俺に死ねとか、世界をよこせとかいうのはダメだがな!」
「わかったわ。じゃあお願いがある。しかもあんたにしか、この願いは叶えられないかも」
「おう、言ってみな。」
「私と子供を作って!」
「お、おおお?」
「あたしがこの世界を壊そうと思ったのは、イチャラブの奴らを滅ぼしたかったからよ、リア充、死すべし。でも。あんたが、あたしに子供を産ませてくれたら、もうなにもせず、あんたとの子供を育てることに余生を捧げるわ!」
えーとガウラン様って、好きな人いなかったけ?ただ一つの愛?
「おお、いたぞ、ラシーヌ様な。これ試験にでるから覚えとけよ。まあ、冗談はさておき、ガウランは愛はなかったが、その地に3年とどまって、子供をなしたぞ、それがばあちゃん。」
ほお。
「で、ばあちゃんもガウランに召喚された勇者に倒されそうになったけど、駆け落ちして子供作った。それが俺の母さん。」
「えーと、お前の家系、みんな異種結婚じゃん!」
「だからどんどん弱くなってるんだろうが、アホか。」
えーとそんなことで威張られましてもー。まあいいや。
「まさか、ガウラン様に子供がいたとはねー」
「たくさんいるぞ!」
「へっ?」
「あいつ、いろんなお姫様とか貴族とかの娘助けてるじゃん」
「うん」
「助けるじゃん。女が恋におちるじゃん。子供ができるじゃん。」
ええええーなに、そのめちゃくちゃな論理。
「ともかく、ひどい時はガウラン、10人以上の女と一つ屋根の下にすんでいたらしいぞ!」
「なんだよ、単なるリア充、歩く下半身。節操なしじゃんか!」
「似てるよ。」
「はあ。」
「あいつの若い時、お前にそっくり。みんなそう言ってるよ。
えええええええー俺は軽く引きこもった。
お越しいただきありがとうございました。