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カラオケの日

カラオケ大好きです。

「整いました」

「い、いきなりなんですか。」

いつものように、午前の仕事を終えて、定位置のハンモックで目を閉じて思索に耽っていたところ、急に女神様達が出現した。普通に隣に住んでいるんだから歩いてきてほしい。


「と・と・の・い・ました」


笑顔の底のプレッシャーがすごい。


「は。はい」

「タクトとかけましてと、日照りの日と、ときます」

「そ、そのこころは。」

「空桶(カラオケ!)」


カラオケかい!ってどこでやるんだ????この世界にはないぞ!!!!


「神界!いや〜、邪神ちゃんと女神ちゃんに呼ばれちゃって」


俺の心を読んだアルテミス様。


「ええええ、邪神と女神って、この世界の神かい!!!!」


その大声を聞きつけて、ぽちがすごい勢いで飛んできた。その後をおたおたと、るーたんが追いかけてやってくる。


「ご、ご主人様だと!やっとご主人様にお会いできるのか。長かった!長かったぞ!ふはははは!」

「はあ、はあ、いきなり、早いよ、ぽち。どうしたん?」


るーたんは、息を切らせている。ぽちは大興奮だ。尻尾が千切れんばかりに振られている。


「さあ、私もつ、連れて行くのだ。これで、このいまいましい街ともお別れだ!!!」

「えーいいけどー、多分、あったらガッガりするよ〜」


アルテミス様がおっしゃる。

「やーん、ぽちいっちゃいやん。」


ぽちもその声を聞いてすこし寂しそうだったが。


「仕方ないのだ。俺は魔王、邪神様のためにこの世界ともいつか決別しなくてはならぬ存在だ。」


アルテミス様は肩をすくめて俺の方に向いた。


「じゃ、タクト、いつもの!」


アルテミス様と、アテナ様が俺に抱きつく。ごそっとエネルギーを奪われる感覚がする。


ちょっとクラクラする。ちょっと待て。アテナ様、ちょっと取りすぎてませんか?


「おいしいから、ちょっと多めにとった!」


なぜそこで、ドヤ顔なんだ、アテナ様。


それにしても神々しい。アテナ様もアルテミス様も、人間にはない美しさ、神々しさがある。姿だけ見ていたら本当に美しい。まさにこの地上に降臨した女神。これで中が、ポンコツでなけれ


「タクト、シメるよ!」「死にたいか?」


いえいえ、女神様、私は永遠のあなた方のしもべであるまする。ペロペロ。土下座からのサンダル舐めだ。もはや前の世界でもこの世界でも、サンダル舐め選手権があったらぶっちぎりの1番になる自信がある。


「さ、移動するから、手をつなぎなさい」


ぽちは、さっとるーたんに抱かれた。仲がいいな、お前ら。


俺たちはそれぞれの手をつないだ。なぜかアテナ様とアルテミス様が、さささっとそのまま俺に抱きついたのは謎だ。


目の前が白くなったかと思ったらいきなり目の前がカラオケ屋だった。実に普通のカラオケ屋だ。


アルテミス様が、どこからか、財布を取り出して、メンバーズカードを探し出した。


メンバーズカードあるんかい、すげえな神界!


すると向こうからラブラブなバカップルがやってきた。きゃははうふふ、うるせえな。すると、しゅったっと、ぽちがるーたんの腕から降りて、タタタタと男の方にかけていく!


「邪神様〜おなつかしうございます!ま、魔王は、魔王はぁああ!」


すると、女の方が、キャー!!!と声を出す。


「るっちん!い、犬!」

「だ、大丈夫だよ、メーちゃん。」

「るっちん、犬、ばっちぃ」

「おい、魔王、お、お前な、メーちゃんを驚かせんなよ!」


は?どういう状況。


「あーん。るっちん。こーわーいー!」

「メーちゃんは、僕が守る!キリッ」


この三文芝居、いつまで続くんだ。すると男がこっちに向かっていう。


「もう、アテナちゃん、アルテミスちゃん、メーちゃんが犬が嫌いなこと知ってんじゃん!」

「そうよそうよ、るっちんのいうとおりよぉ。連れてこないでヨォ。」


二人とも超絶イケメンと超絶美女だが、頭が残念なような・・・・・・・・この世界の神々もポンコツか。


するとこちらの心を読んだようで睨んでくる。ひーこわい。俺はアテナ様とアルテミス様の陰にささっと隠れた。


「さ、部屋に入ろうぜ、お前らついてくんなよ。ここで待ってろ!」


男がいう。仕方ない。なんだかぽちが落ち込んでいるので、るーたんが抱きしめた。


4人が部屋に入った。とすぐ出てきた。何か忘れ物か?


「歌った歌った!楽しかったな。」

「じゃ、またね。アテナちゃん。アルテミスちゃん!」


ぽちは切なそうに男の顔を見る。少し、ととと、と歩み寄ろうとする。


「なんだよ、お前もう用なしなんだよ。ついてくんな。しっしっ」


男に追い払われて立ち止まるぽち。女が、男に抱きつきながら女神様たちに手を振る。


二人は一瞬で掻き消えた。どういうこと?アルテミス様が、ぽんと俺の頭を叩く。どさくさに紛れて少し魔力を抜くのがやめてほしいが。


「こうなるってわかってたんだけどねー」


どうやら、女神は犬が大嫌いなので、夫婦喧嘩の時、嫌がらせに邪神がぽちをけしかけていたらしい。子供か!それにしてもあの短い時間の中で人間の時間でいうと3日3晩連続で4人は歌い通したらしい。すごいわー、神、はんぱねー。


ぽちの落ち込みがひどい。目から涙をぽろぽろ流している。まるで捨てられた子犬のようだ、犬だけに。


るーたんが抱き上げて頭を撫でる。俺もぽちの頭をぽん、と叩く。


「お前さ。うじうじしていないで、俺たちの家に帰ろうぜ。」


ぽちがこちらを見る。尻尾がすこしだけゆれる。


「いいのか。俺、魔王だぜ。犬だし。」

「いいさ、もうお前も家族だろう。さあ、帰ろう。」


また、行きと同じように、帰りも俺を抱いたアテナ様とアルテミス様。そしてぽちを抱えた、るーたんと手をつなぐ。着いたら、いきなり目の前が真っ暗になった。



気がつくと、アテナ様と、アルテミス様が俺をベッドに寝かせていた。もうすこし薄暗くなってきている。


歌いすぎて、お腹が空いたから食べ過ぎちゃった。テヘっとかわいくアルテミス様。後ろを見て口笛を吹いているのがアテナ様。ごまかそうとしている。


やれやれ。まあとにかく今日も一日終わったな。今日は久しぶりにコロッケにするか。ま、せっかくだから、もうちょっと横になっているか。ぐぅー。

PS4のカラオケの曲、増やしてほしいです!

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