表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
86/290

緑の親指

寝てばかりいてはいけません。

せっかく俺がハンモックの上で目を閉じて思索にふけっているのに、せっせと乳魔人が、草取りに励んでいる。時々小声で歌もうたっている。うるせー。


どうもこのミリカには、庭師としての才能があるらしく、特に歌が草花の成長を助けていいとのことだ。確かに、こいつがきてから花が美しく咲くようになっている。


「あ、ご主人様、申し訳ありません。起こしてしまいましたか。」

「なんのことだ。俺は寝てないよ。目を閉じて考えにふけってるだけだし」


ミリカは、ふっと笑う。何もかも、お見通しというような笑い方だ。ちょっとムカツク。


「本当だよ。ほら、今から猫カフェにいくとこだし。」

「そうですか。」

「そうさ。」


カフェに戻ると、静かな時間が流れていた。この時間は、セオドアやケイトのような剣士は仕事で出払っているし、冒険者もダンジョンで忙しい。この時間にいるのは、家事に一息ついて、お茶を飲みに来た猫好きの奥さん達か、筋金入りの猫カフェ好きだ。そういう客は結構静かにお茶を飲み、猫ちゃんを眺め、ときどき、猫ちゃんを遊ばせてあげるだけでいたって静かなものだ。


「あ、店長、どうしたの?ここに来ても何もないの。」


ランちゃんが言う。確かに、俺はこの時間には邪魔なだけだな。じゃあ、ちょっと買い出しにでも行くか。


「買い出しはもううさみーるの店長がやってくれてるの。」


ああ、寝ている間にこんなにも俺は無力に。とほほ。スミス殿のところにいったら、るーたんが、スミス殿を手伝っていた。いいアシスタントぶりだ。じゃましちゃ悪いな。


俺の行き場は結局、ここだけかと、俺は戻って来た。


「お帰りなさい。」


ミリカが微笑む。


「まあ、行くところがあるだけましか。」


俺は一人ごち目を閉じた。ミリカの歌が心地いい。ぐぅー。


お越しいただきありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ