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精霊の贈り物

精霊王様マジイケメン。

「つ、ついに完成したんだなー」


ふごーふごーと鼻息が荒いのは俺の心の友。スミス殿だ。俺も今すごく興奮している。というのも。


「ついに、家が完成したんだなー」


といっても本物の家ではなく、シ・バニ・ファミリーの家のようなミニチュアの家が俺たちの前にあった。


これからコストの問題を解決しなくてはならないが、とにかく、量産一歩手前まできたのは大変ありがたいことだ。長かった。


「これもタクト殿のおかげなんだな。」

「いいえ、スミス殿の努力の賜物です!」

「ねえー、るーたんは?るーたんは?」

「も、もちろん、るーたんもなんだな!」


スミス殿がやさしく、るーたんを見つめた。ノータッチ!素晴らしい!


「あああ、ここにこんな家がある〜。」

「ちょっとやすみたーい!」

「うわー、すごい、中まで細かく作ってある!」


いつも乳魔人の周りをうろちょろしている精霊たちがやってきて、俺たちの作った家を誉めそやしている。


「も、もちろんなんだな。そういえば、精霊さんたちの家としても提供できるかもしれないんだな〜。」


となると、営業にいくとしたら・・・・・・あいつか。


「スミス殿、セールスには、あてがありますので、これをお借りできますか。」

「も、もちろんなんだな。われわれの目的は金儲けではないんだな。あくまでも、この製品の普及なんだな。」


そうなのだ。スミス殿は実はここらへんの土地を持つ富豪なのだった。なんで、金物屋をやっているかというと、苦手な金物細工を克服するためやっているとのこと。こいつは本当の漢だ。


次の日、完成したミニチュアの家を持参し、コジローをともなって精霊王の住処を訪ねた。乳魔人も是非、精霊王様にご挨拶がしたいというので、連れてきた。


「精霊王様〜」

「精霊王しゃま〜」


しかし、精霊王は元気なく、膝をかかえてすみでいじけていた。


「ど、どうしたのですか。精霊王様!」


乳魔人が精霊王に聞く。


「ケッいいよなお前ら。リア充、爆発しろ!」


どうやら、無理やり聞き出したら、どうやら精霊王様が、ラップにうつつを抜かしていたのを黒竜が問題にして、黒竜の娘の竜神の姫との仲をさかれてしまたようなのだ。


うーん、気の毒に!じゃお邪魔だから今日は帰ろうかとUターンしようとした。すると、


「気の毒だと思ったらどうにかしろ!」


ガッシと掴まれてしまった。


結局、みんなでお茶をしながら相談することになった。


さて、ここで整理すると、黒竜は、新しいことはあまり好きではない。

竜神のお姫様と精霊王は、よりをもどしたい。そのために黒竜に、精霊王が浮ついていないということを認めさせなくてはならない。しかし何をすればいいんだ?


「それでは、オペラなどいかがでしょうか。元々、精霊王様は音楽を守護する方ですし」


ということで、オペラを開催して、精霊王を助けることになった。家は、そうとう、興味を引いたのか、すぐに200軒分の注文が入った。すごい!


オペラの当日がきた。精霊王様は一人で練習したようだ。どうも竜神の姫にささげるための愛の歌を練習したらしい。


コタローとコジローがととと、と黒竜の方に歩み寄る。


「黒竜のおじいちゃま〜」

「黒竜のおじいゃま〜」

「おうおう、コタロー殿、コジロー殿、息災か。おや、そちらの友人は、今日は糞色の服ではないのか。似合っているのに。」


余計な御世話だ。あ、この黒竜の隣に座っている美しい女人が、竜神の姫にちがいない。向こうが軽い礼をしてきた。おっふ。優美だ。後で精霊王をなぐっておいちゃろ!


そんなこんなでコンサートが始まった。


まず前座はミリカだ。精霊界のホールの中央に進み出たミリカは、美しく、まるで彼女こそが精霊王であるかのようだ。


美しい声に、精霊は喜び、黒竜は目を細めた。姫も楽しんでいるようだ。


さあ、次はいよいよ精霊王の番だ。


厳かな雰囲気の中、美しい音楽が奏でられる。精霊王が息を吸って、中央に立った。


「HEY YO! 聞けよ、お前ら俺の魂、悲しい、俺の気持ち、手持ち、無沙汰で毎日過ごし、考える、蘇る、整える俺のお前への想い。」


お前は頭はバカか!何も前回の失敗から学ばなかったのか!!!!


しかし、いつの間にか隣に戻っていた乳魔人は、すっと立ち上がり手のひらをつけて顔の前に持って行って一言。


「す、すてき、素晴らしいですわ、精霊王様、姫様への想いがひしひしと伝わります。」

と言い放った。そうか?しかし姫様も同じ想いのようで、目が潤んでいる。反対に黒竜は苦虫を噛み潰したみたいだ。どうもこの音楽、男性と女性が受け取る印象はだいぶ違うようだ。


俺は睨まれてふるふると頭を振った。俺じゃありません。俺はまだ死にたくないんだ。


コンサートは大成功だった。しかし、精霊王様は、姫様と仲直りさせてもらえなかったようだ。とはいえ、こっそりデートしているらしい。ケッ!


まあ、ミニチュアハウスが受注できたからよしとしますか。リア充爆発しろ!

リア充ガス大爆発!

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