ガウラン様の国宝級の魔道具
ガウラン様、マジ有能!
「うそ!もうレベル163なの?」
リリーは泣きそうだ。レベルをやっと死ぬ気で40までにしたのだ。自慢しに来たら、こっちが謎の数字になっていたら嫌な気分になるだろう。俺だってそうだ。でも、これは、もう、太陽が西から東に向かって進むのと同じぐらいの真理なのだ。あれ?東から西だっけ?まあ、なんだ、アキラメロ!
「そんなことより、聞いてくれよ。このかき氷のスイカバージョン、どう思う?」
「うーん。まずい。さっき出してくれたメロンバージョンの方が100倍うまいと思う」
お前もか。ブルータス!だれがおれのスイカバージョンを好きになってくれるんだ!!!よく考えたら、メロンもスイカも瓜みたいなものだから味はおなじではないかっ!!!!
そして、王様は、告げたのです。平和が戻ったのは、賢者ガウラン様のおかげであると!
俺たちのやり取りをを尻目に、サーシャは紙芝居を続けていた。
「おおお、すごいです!ガウラン様!このタール、感服いたしました!」
タール爺さん、相変わらずガウラン様の信者だな!
「ああ、わしすごい!えらい。さすが、天才じゃ!」
「ガウランさま、すごいのん、えらい!そんけいするー」
おお、ガウラン様の自己賛美はいつものこととはいえ、るーたんも参戦してしまった。
『ガウラン様は信者を増やした!』『るーたんは、ぼおっとしている』
「るーたん、ガウラン様、そんけーしたん!すごい!!」
「ほっほっほっ、もっとほめなさい!そんな良い子には、これをあげよう!」
「これなーに。」
「口寄せの指輪じゃ。3回までなら、呼びたい人を呼び出すことができるわしの最高傑作じゃ!」
うわ、さすがガウランさま、自分の召喚術を他人に付与する魔道具を作成していたのか!この手の魔道具の利点は、普通の人でも、魔法を指輪を使って使えるようになるということだ。この場合は、世界最高レベルの召喚術が人間限定であるとはいえ、3回までつかえるのだ。いやはや、欲しい人には本当に欲しいアイテムだろう。
オークションに出したら、いくらになるんだ!!!勇者の召喚や、古の英雄の召喚だってできる指輪だ!王国の宝として、代々受け継がれるべきレベルの宝ものではないか!!!
俺は、足がガクガク震えた。ガウラン様、王国歴代最高最強の召喚士という二つ名は伊達ではない。しかし、こんな大切なものをるーたんに授けるとは耄碌していないか????
「ガ、ガウラン様、それはちょっと子供が遊ぶのには高価すぎるような」
俺はカタカタ震えながらガウラン様に意見した。これだけで、下手したら、家が10軒以上買えるぞ!それも、宮殿レベルのが。
「どうせ、人限定で3回しか召喚できないんだからいいよ」
「いやいやいやいやいやいやいや。るーたん返しなさい!」
「やーなのー。これるーたん。ガウラン様にもらったん!」
おれは顔が真っ青になった。これはやばい。あとでよく言い聞かせて返そうと。
ハンモックで気持ちよく寝ていると、急に硬い床に投げ出された。うわ、なんだ。
「るーたんお腹すいたん。パパ、サンドイッチ作って!」
お前俺を召喚したんかい。しかもそんなつまらないことで!!!うわああああ、本当にこれで3回のうち1回を使ってしまった。ごめんなさい。ごめんなさい。国の宝をサンドイッチごときに使って。俺は誰の足をペロペロしなければならないか頭の中に、リストを作成し始めていた。
その後、サンドイッチを作ってから必死の思いで重い体を引きずってハンモックまで戻った。しかし、ハンモックに体を投げ出した途端、そこは硬い床だった。また、呼び出されたのか????
「飲み物わすれちゃいやーなん、サンドイッチ、パサパサするん」
失礼な!俺のサンドイッチはしっとりしているわ!というかアホー!!!!!国の宝が、サンドイッチと飲み物で消費されてしまった。こ、これで2回か。あと1回は死守しなければ!
ところが、その夜、洗い物をしていた俺は風呂に呼び出された。そこには、みんなが裸でつかっていた。当然、俺は体中の血を失って倒れてしまった。これで3回目。どうしよう!
すると、指輪はするっとるーたんの指から落ちてしまった。
サーシャが、体を隠しもせず、しげしげと指輪を覗き込む。
「あ、これ、充電式だから、あんたが充電したらまた使えるわよ!」
俺の今日の心労を返せ!!!!俺はそう考えて意識を手放したのだ。
結局タクトしか呼び出しませんでした。