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アン、王国の頂点に立つ!

悲惨なことは、予期せぬ時にふいに私たちを訪れるのです

「ええええええええええ!正気かアン!お前!」


アンが今年の王立歌謡選手権に出ると言い出した。頭がバカかお前!


「アンちゃん、ちょっと冷静になってよく考えよう!死人を出したくないでしょう」


これはサーシャ。さらっと酷い悪口。


「なにをおっしゃっているのか、わかりませんが、王様の誕生日のためのお祝いの歌を私以外の誰が歌えるというのです?」


バカかお前以外の誰でも資格があるわ!!!!

「あなた、わかってるの?この選手権の日には、この国の貴族の方々だけではなく、この国の王族以外の王族の方々や果ては司教様もいらっしゃるのよ。何かあってからでは、遅いわ!やめなさい!」

「いいえ、失礼ですが、オーナーもマスターも、私が有名になってこの店を離れることを心配されているのでしょう?私は有名になっても、皆様のことを忘れませんわ。ふっ」


なんだその上から目線。ムカツク!!!!ちょっと腹たったので、アンのためのサンドイッチにからしを多めに練り込んでやったわ!ふはははは。まあ後でいつもよりパンチがあったって好評だったけど。ちくせう!


店が終わってから俺たち集まって作戦会議を行っていた。しかし、なにもいいアイディアがうかばない!


「こうなったら当日あいつを簀巻きにしようぜ!」


俺が俺の最大必殺技を提案したがあっさり却下された。うーん、こうなったら、女神様にご相談するしかないか。


「アルテミス様。お願いがありまする」

「わかりました。ではまず相談料をいただきましょう!」


アルテミス様に抱きつかれてゴッソリ魔力を抜かれた。いつもより多めに取られたような気がスル。マジで気絶しそう。


「さ、よく聞くのです。実はあなたのスキルの取り寄せを使えばいいのです。彼女の声と、有名な歌手の声を取り替えてしまえばいいのですよ!」

「あれ、でも交換はもうできないんじゃ?」

「恒久的には無理なのですが、一時的でしたら、まだ可能です。でもよく聞きなさい。これには、時間制限があって………」


マズい、気が遠くなる。まあ、なるようになるか。ぐぅ〜って、あれ?これ気絶と違うかいいか、ぐぅ〜〜〜〜。



ついに、王立歌謡選手権の日がやって来た。


アンが歌うのは3回、ちょろいな。じゃ、もう面倒だから交換しておくか。俺にも目処はついている。隣の国のオペラシンガーのミリカの声と交換だ!ポチっとな!


結果は劇的だった。アンの1回戦のブロックの相手は全員もう歌うことを放棄してしまった。それほど素晴らしい歌声で、会場をすすり泣きが埋めた。


「ほら、これが私の実力です!おほほほほ!思い知りましたか。」


なんて上から目線、ムカツク。しかし我慢だ我慢だ!サーシャも殴りたそうに、拳を握りしめている。


「そんなに、私のサインが欲しければ、後からくれてやりますことよ!おーほほほほ!」


アン、あいツ、いつか泣かす!俺は心の復讐帳に彼女の名前をしっかり刻んだ。


2回戦は、すごい盛況で、本来ならいないはずの貴族の方々もお忍びでいらしていた。そして、アンは、有名なクラシックの曲を歌い始めた。するとどうだろう、彼女の周りをキラキラと精霊が飛び回り始めた。


みんなすすり泣きはじめた。2回戦どころか、3回戦に出場予定の全員が拍手して、彼女が優勝と決まった。いいのかこれで?????


決勝戦がないかわりに、彼女の特別コンサートが決まった。


会場は人でいっぱいだった。そして、誰もが忘れられない、伝説のコンサートが始まった。


それは、司教様のお祈りで始まった。厳かな雰囲気の中、アンのコンサートが始まった。


始まる少し前、隣にアルテミス様が立った。


「あ、やっちゃったねぇ〜」

「え、どういうことですか。女神様」

「気がついてないの。リンク途切れているよ。だから、時間には気をつけろっていったのに。寝ているから………」

「てへっ。俺はポケットから耳栓を取り出して静かに装着した。阿鼻叫喚を尻目に俺は逃げ出した。」


「か、神様。迎えに来てくださったんですね〜」「爺さんや、久しぶりじゃのう!」「お父さん、お母さん、今そちらにいきます。」


女神様のおかげで悲惨なコンサートの記憶は消された。しかし、人々が気分が悪くなった記憶は残り、その後、あれはバイオテロだった、とか、集団食中毒だったとの憶測が立った。


アンには、拳骨3発を食らわせておいた。涙目で抗議されたが、サーシャもその後、追加で3発殴った。


まあ、この悲惨な事件はどう考えても、俺のせいじゃないよね。そうそう、アンのせい、アンのせい。ぐぅ〜〜〜。


後日談だが、隣の国のオペラシンガーのミリカが、コンサートを急遽取りやめて、引退したそうだ。これも、俺には関係ないよね。ぐぐぐぅ〜〜〜。


読んでいただきありがとうございました。

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