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猫様は偉大なり

猫様は神ですな。

「おとなしく幻獣をよこしやがれ」


月に1、2度は、こういうバカな輩が現れる。気の毒に。


「無視すんなよ。よこせよ!

「うーん、あんまり大声でそんな物騒なことを言わないほうがいいですよ。ひどい目にあいますよ」

「何わけわかんないこといってるんだよ。お前なあ….ひ、ひぃ!」


後ろから現れた筋肉ダルマが男を片手で持ち上げた。2mを超える大男だ。日本でもこのおっさん大きいが、平均身長が1m60cm前後のこの世界では特に巨人だ。肉ダルマだ。そのまま店の外に投げられた。気の毒に。


「おう、坊主、大丈夫だったか?」


こいつ…このお方こそ、王国が誇る騎士団第1分隊隊長セオドアだ。しかも大の猫好きだ。暇な時はいつも入り浸っていて、娘さんもドン引きだ。奥さん曰く、娘さんが結婚して寂しくて寂しくてふらふらしていた寂しさを埋めてくれたのが猫らしい。なんだかよく分からないけど。こいつの22歳になった娘さんも最近は、孫と遊ばずにここに入り浸っているセオドアを引っ張り出すのを半ば諦めているらしい。最初は、猫カフェ作ったこと恨まれたけど。


カラン、とドアが開いてケイトが入ってきた。しかし、セオドアを見て嫌な顔をする。


「これは、これは、誰かと思えば、王国2の素晴らしい剣士ケイト殿ではないか。犬派を公言するお主が一体何をしに来た。」


何をしに来たって知っているくせに。だって、こいつら常連だから。自分の席つき金貨10枚の特別年間パス二人とも持ってますから。それなのに、いつもこれだ。なんたる茶番。


「くっ、確かに犬派だが、ここは王国、自由民たる臣民が何をしようと自由のはず。それに王国2番の剣士というくだりは訂正していただこう」

「ほう、大口を。王国武闘会で前回優勝したのは、誰だったかな。」

「くっ、き、貴公だ」


ギリっと歯を食いしばり、ようやくケイトが絞り出す。


「じゃあ、準優勝は?」

「おれ….わ、わたくしだ」

「ははは、では、その前の武闘会の優勝者は?」

「き、貴公…」

「その時の準優勝は….」


あほらしい。ここ何年か、ずっとこいつらが優勝、準優勝だ。前年の優勝者は、勝ち上がってきたやつと最後に戦えばいいだけだし、ケイトもシードで試合数は少なくていい。そのため、決勝戦はいつもこの2人で、もう誰も本気ではこのイベントに挑戦しなくなっている状態だ。


「し、しかし来年こそは…」

「貴公は確か去年もそう言っていたな、いや、一昨年も、その前も、そしてその前….」

「わ、わかった。くそ、気分が悪い。タクト殿、コーヒーを。そして、この男にも、コーヒーを。私からのおごりだ。」


なんの茶番だ。毎回繰り返されるバカなやりとり。まあ、いいかもうかっているしな。


召喚獣の猫が寄ってきて、前足を慰めるようにポン、とおいてくれた。やれやれ。


猫様と一緒に行動していると、寝る時間が長くなりませんか。

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