表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
50/290

冒険者飯

焼きそば、たこ焼き。黄金の組み合わせです。


「うわぁ!おいしそうな匂い!タクちゃま、すごい!」

「タクしゃま、すごいの〜」


俺はいま、焼きそばを焼いている。いま、俺は日本の食文化をこの地に定着させるため奮闘中だ。というのも、散々、みんなに俺のたこ焼き愛を笑われたからだ!ちくせう!


「タクト!あんた、なんでそんなまずい食べ物に時間かけてんの、アホじゃない?」


サーシャ、お前が間違っていたことを俺は教えてやるぜ!


これは俺が開発した、冒険者用の携帯用弁当、ゴージャスバージョンだ。まず、主食は焼きそばだ。これは男らしく、ガッツリ肉も入っている。しかし、女性冒険者が食べやすいように肉は少し小さめに切ってある。そして、キャベツがふんわり甘みを加えている。素晴らしい!それだけではない!なんと、おかずは、ジャジャーン!たこ焼きである!たこが手に入らないので、残念だがチーズ入りである。しかし、粉は俺様が改良に改良を重ねて、そこはサクサク、なかはトローリの絶品だ。


炭水化物、炭水化物の素晴らしい冒険者飯として、この世界に定着していくにちがいない。クハハハハハハ!


さて、明日のためにとりあえず100食作るか。これを、朝、店の前で売るのだ。いつものサンドイッチが銅貨3枚だからこっちは、5枚、いや、6枚で売れるか。ククククク。


俺は、徹夜した。俺が徹夜するなんて明日は雨だと皆が恐れおののいていた。おまえらあたまがばかか!


朝、皆がそれぞれ、朝ごはんを頼んだり、時間がない冒険者はサンドイッチを買っていく。昼に食べたいという冒険者は朝ごはんもここで食べてくれる。ありがたい!


俺はワクワク、冒険者飯が売れるのを待つ。しかし、なぜか出て行くのは、サンドイッチだけだ!どうしてだ????????


「あんた、売れた?」


サーシャだ。


「うううううう、売れたにききききまってるじゃないか。」

「売れてないのね。わかった。気の毒だから2つちょうだい。買ってあげる。」

「……お買い上げありがとうございます。」


ついに朝が終わってしまった。売り上げはサーシャが買ってくれた2つだけだった。残り98個ど、どうしてだ。



どかーんと落ち込んでいると、サーシャがやってきた。


「あんた、何落ち込んでんのよ。それにしてもなんで売れなかったかわからなかったの?」

「ふとりそうだから?」

「女子か!あんた、それどうやって食べんのよ!」

「あ……」

「やっぱり考えてなかったんだ。だいたいそんなに汁が出るもの持っていたったら、カバンのなかベトベトになっちゃうでしょ!」


そうだった。俺ってば、その場で食べることしか考えてなかった。その上、俺はハシが使えるが、フォークだけで、これを食べるのはなかなか至難の技だ。確かに2本の棒はつけたが、よく考えたら意味がわからない。あたまがおかしいのは俺であったか。


あたまにきたので、中身を取り出して猫カフェの客にふるまった。これで認知度が上がればと思ったのだが、みんな残しやがった。


俺の冒険者飯への道はまだまだ遠いようだ。

目玉焼きを焼きそばにのせるのは邪道ですが、やめられません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ