波乱の予感
背中が痒いとき、猫ちゃんでもいいから掻いて欲しいです!
猫カフェに、見たこともない客が入ってきた。その瞬間、背中がゾクっとした。こ、こいつ、出来るぞ。
「ふふふ、どうやら、少しは出来るみたいだねぇ。僕の実力がわかるなんて、その歳で大したものだ。おや、おかしな魔力も感じるね。君、本当に見た目通りの年なのかい?」
こいつ、瞬時に俺の正体までも見抜くとは、何者だ。もしかしたら、魔王軍の手練れ、もしかして魔王その人か?
「ククク、それにしてもここはおもしろいところだ。セオドア殿がいる。ケイト殿がいる。そして、ガウラン様、現王立召喚士タール殿、そして、王女様ときた。君?反乱でも起こしてこの国乗っ取るつもりかな?それとも、内部から王になって、この国を切り取るか?させないねぇ。この私が。ふふふ」
俺の額に玉のような汗が出てきた。こいつ、何者だ。
「アーサー殿、お戯れはそのへんになさいませ。」
ケイトが俺たちに気がついて近づいてきた。
「タクト殿は、そのような男ではござらん、でももしそうだったら、年間パスを無料でよろしく。」
最後の部分は小声だった。アホか!
「おいおい、ここでの揉め事は、こまるぜ。いくら、あんたでもな。アーサー!」
セオドアもきてくれた。
「ククク、そんなつもりはないですよ。ただね。私は、かわいい、妹のようないとこに会いにきただけです。」
「アーサー、何をしに来たのです!けがらわしい!帰りなさい!」
王女様がやってきた。
「メグ、なんて、ひどいいいようだ。僕と君の仲じゃないか!」
「そういうところが嫌なのです。大体、旦那様に誤解されてしまうじゃないですか。けがらわしい!マーガレット王女と呼ぶのです!」
「でもメグ!…マーガレット王女。」
「いくらあなたが公爵で、王族の血を引くとはいえ、あなたは、私たちの臣下なのです。でしたら、そのようにふるまいなさい!」
アーサーは悲しそうな顔をした。
「く、これで勝ったと思うなど、ちくしょー、やーいおまえのかあさんデーベソ!」
単なるやきもちだったようです。
でべそ、って今でもいうんですかね?