夢がいつも美しいとは限りません
とほほほほの人生です。
耳元で声がする。
「じゃ、あなたがあの子の世話をすればいいじゃないの!私がどれだけ大変か、あなたわかっているの???仕事仕事で、家にも帰ってきやしない!あんたそれでも親なの?」
「何言っているんだ!あの子が入院しづめだから金がいるんだ。誰が入院費稼いでいると思っているんだ!」
両親が争っている声がする。やめて、やめてよ!僕は叫びたい。でもできないんだ。喘息で息をするのも苦しい。熱がある。熱が身体中を攻め立てている。何か叫びたい。でもできないんだ。だって、これはひどい夢だもの。
涙で枕が濡れている。本当にひどい夢だ。前世の夢を久しぶりに見たと思ったらこれだ。テンションさがりまくりだよ。ちくせう!さがりまくりんぐだよ。
ミケが心配したのか、俺の顔を舐めてくれる。ごめんよ、驚かせたね。
他の猫を起こさないようにベッドを降りて水を飲みに行く。
ミケもついてきたようだ。
そとはまだ暗い。朝露の匂いが立ち込めている。日の出は近い。星が瞬いている。でも、空の端は、朝の予感を感じさせている。
ミケを抱き上げて耳元で囁く。
「見てごらん。もうすぐ朝がくるよ」
息を詰めて光を待つ。そして、その瞬間は誰にも公平に訪れるのだ。朝が静かにやってきた。光が俺とミケを濡らす。気がついたら、またちょっと泣いていたようだ。夢はふいに訪れて俺たちの心を揺さぶる。フェアじゃない。全くもってフェアじゃない。
ミケは何も言わずに涙を舐めとってくれる。って、シリアスだったのに、口に舌を入れてくるのはヤメレ!バカ!だ・い・な・し・だ!
でも少し元気でたかな。ありがとよ。ミケ。
ねこ大好き。