人生、山あり谷あり
猫ちゃんを撫でていると、いつの間にかカックンと寝てしまいそうになります
異世界猫カフェ「たま」の朝は早い。まず、文句を言いっぱなしの猫ちゃん達に餌をやる。毎日耳元で
「起きないなら、ハサミでちょんぎっちゃうよ」
なんて脅かされたら誰でも一発で目が覚めると思います。もちろん飛び起きますとも。まあ、召喚獣たる猫ちゃん達も、猫カフェでは、それらしく振舞わなくてはならないので、ストレスは溜まる(?)と思うけど。
でもあいつらの仕事って、結局、媚を売って餌をもらって、撫でてもらうだけなんだよな。楽じゃん……。
でも、朝に起きて掃除をきっちりするのは俺のポリシー。だって、床が毛だらけの店で飲み物や食べ物、頼もうと思わないじゃん、お客さん。頼んでもらわないと危ない、主に、俺の財布が。
猫ちゃんに餌をやって撫でて(主人のつとめだとさ)部屋を掃除して、それからやっと、朝ご飯だ。その頃になると、猫カフェ「たま」のウェイトレスのランちゃんも隣からやってくる。前は、もう少し遅かったけど、俺が作るサンドイッチが最高だと知ってからは、毎日、こっちで朝ご飯を一緒に食べる。まあ、俺が寂しいオーナーだとマリアさんが思っているらしくて、気をきかせてよこしてくれているんだろうけど。マリアさん、マジ神。本当の神様より神様らしいよ。ほんとだよ。
7時半には、朝ご飯目当ての常連が来るんで店を開けるんだ。どうやら、近くのダンジョンに行く冒険者達は、朝に空いている定食屋代わりとして初めは来ていたらしいんだが、最近では、どうやら、猫ちゃん達の魔力にやられてしまったようだ。ダンジョンにもぐらない休みの日にも朝から来ているからね。常連客は、
しかし、モヒカン頭の強面の冒険者が猫ちゃんを撫でながら、とろけそうな顔になっているのは、結構シュールだ。しかも、俺の召喚獣の猫達は、結構可愛い生き物だけってわけじゃないから尚更だよな。人生、表があれば裏もあるよね。
猫ちゃんの本気の猫パンチは、痛いです。