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ラシーヌのために

よだかの星、大好きです。

「あんたにいいものやるわ!」


そう言ってサーシャがくれたものは、『ラシーヌのために』だった。


「あ、何ゴミ箱に投げ捨ててんのよ!」

「こいつのおかげで俺たちがどんな酷い目に合わされたか、知ってんのかよ!」


俺が顛末を話すと、サーシャの目がギラギラと輝き始めた。ヤバイ!主に俺の平穏な日々が!


「あんた!何やってんのよ!こういうときに、稼がないでいつ稼ぐのよ!ドアホ!」


酷い言われよう。


「じゃ、リリーが、えーとこの何だ、ファンクラブのネットワークに詳しいわけね。」


あれよあれよ、と紙芝居とアリ(コタロー)のサイン会の日取りが決まった。俺の許可もなく。ケッ!


兄にこれほど、詰られようとも誹られようとも、アリは、全く考えを変えませんでした。女神様がアリに与えた美しい心は、どんなことが起こってもその輝きをなくすことはなかったのです。


王は悩んでいました。どちらの王子に国を任せても、立派にやっていけることを直感で王は見抜いておりました。しかし、王になれるのは、ただ一人。王は悩み苦しみました。第1王子は、前妻の子、そして、第2王子は、後妻の子でした。どちらも見目麗しい子供で、性格こそ違え、どちらも王として恥じない名君になるだけの素質をひめておりました。


「アリ様」「アリ様、おいたわしい」「よよよよよよ」


なんだかな〜。くだらん。そういう顔をしていると、紙芝居を読んでいたサーシャがこちらをキッと睨んだ。おお、こわ。


王様は、ラシーヌの瞳に託すことに決めました。これは大賢者ガウラン様が作られた真実の心を映し出す宝石で、ガウラン様が、なんと2年もの月日をかけて、その力を注ぎ込んだ秘宝でした。ラシーヌは、ガウラン様が唯一愛された美しいエルフの貴族の美しい娘で、種族がちがうということで、愛を永遠に引き裂かれた相手でもありました。


「ううう、素晴らしい、素晴らしいですぞ、ガウラン様。」


タール爺、自重しろ。


「ううう、すごいのわし、すごいの、天才じゃの!わし。ラシーヌ、ラシーヌやぁあああああ!」


ガウラン爺さん、うるせえ!あんた、こんなに高潔な人物じゃないだろ!うるせ〜!


心やさしき王妃様は悩みました。そして、初めて、王妃様の心に鬼が宿りました。我が子を王にしたいがため、王妃様は、ラシーヌの瞳をすり替え、毒を塗った偽物を台座に起きました。これに触れると誰もが死んでしまうのです。彼女は知っていました。最初に触れるのが第1王子であると。


こ、こえーよ。なんで鬼がやどるんだよ。そこは、悪魔に囁かれたとかでいいだろ!


しかし、それを影から第2王子が見ていたのです。王子様は、こうつぶやきました。


『『『『『『『僕のせいで、こんなにも善良な人の心がゆがんでいく。ああ、心優しき女神様、慈悲深き女神様、どうぞ私をあなたの所へ連れてって下さい。』』』』』


これ、俺しってる!宮・賢・のよだかの星だろ!!!!しかしなんでみんなこれ、コーラスしてんだよ。どんだけ好きなんだよ!!!!




王妃が立ち去ると、王子は、そっとラシーヌの瞳に口付けしました。そして涙ぐんだ目をあげて空を見ました。そうです。これが王子の最後でした。そして、息絶えた王子を女神は抱えて天界へと招きました。そこで、王子は星になって静かにみんなを守っています。王は絶望し、第1王子に全てを託しました。王妃は自分の行いを悔いて修道院に入りました。第1王子は、弟のことをいつまでも忘れず、立派な王になりました。空を見てください。あそこです。第2王子の星は今でも私たちの頭上に静かにひかりかがやいています。


「ひでえ話だ!!これ、完全な盗作だ!」

「黙れ!」「うるさい!」「死ぬか。こわっぱ」

「ひぃいい。す、すみません。すみません。」


ああ、俺がよだかの星になるところだった。


そして、サイン会が始まった。コタローは、げっそりイヤそうだが、サーシャが監視しているので逃げられない。なむ〜〜〜。それにしても、1枚のサインにつき金貨3枚だってさ。どんだけだよ、サーシャ!!!!

サーシャ最強説!

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