胡蝶の夢
鈍亀です。更新が限りなく遅くなっております。すみません・・・・・。
「お母さん、今日のご飯、何?」
俺は母親に向かって叫ぶ。すると、台所で料理をしていた母親がいきなり振り向く。
「お前だよ!」
そして、包丁を振りかざす。
「わわ!」
俺はハンモックから跳ね起きる。なんてこった。昔々よく日本にいた時にみた夢をここでも見るとは。それにしても、久しぶりにみたぞ。
すると、俺は、すぐそばにうずくまっている黒いものに気がつく。そいつが振り向く。
「みいつけた。」
そしてニヤリと笑って、包丁を振りかざす。
俺は、パニックになりながらも、猫ちゃんを全力で召喚した。そして、裏声にひっくり返った声で、言う。
「ココ太郎、そいつを殲滅して!」
「まかちて!」
ココ太郎は、ものすごい力を溜め始める。すると怪人はパニックになって叫ぶ。
「タンマタンマ!ちょっと待って、そんなの食らったら本当に死んじゃう!」
「アホか、もとよりそのつもりだ!」
「や、やめてください!」
そして、その黒い物体は、変な生き物に姿を変えた。
「お前は、貘かよ!」
「そ、そうなんです!」
「おい、ココ太郎、消さなくてもいいぜ!」
「わかりまちた!よかったな、ご主人ちゃまが、とめてくださって。」
俺は、貘に話を聞くと、どうも、おいしそうな魔力を持った人間から、ずっと力を吸い取ってきていたが日本での俺の味が忘れられず、ずっと探していたとのことだった。
「お前のせいで、いつもひどい悪夢、見ていたんだぜ!」
「す、すみません。」
「だいたい、単に、魔力を分けて欲しいなら、言えばいいんだよ。ほら!」
俺は魔力を分けてやった。すると、貘がものすごい勢いで、食べ始めた。底なしだ。
「ちょっと待て!この魔力、どこに流れていってるの?」
「ご主人様のところだす。」
「へ?ご主人様って、誰?」
「ヘスティア様だす!」
ヘーちゃん様、何してくれてんねん!俺が急いで階段を駆け上がると、満腹状態になったへーちゃん様が、満足げに、お腹を叩いていた。
「あ、タクト、ごちそうさま!」
「へーちゃん様、言ってくれれば、こんな使い魔を通じてじゃなくて、直接魔力を差し上げましたものを!」
「でも、それじゃ、おもしろくないでしょ!これが、ゲームだからいいのよ!」
しまった、ヘーちゃん様、無類のゲーム好きだった。そういえば、あのコレーちゃん様の無理難題のゲームも楽しめるほどだからね。
次の瞬間、へーちゃん様が、俺に言った。
「さ、目覚めなさい!」
俺は、心臓がバクバクしながら、ハンモックから飛び起きた。今までの全部夢だったのか?そんなことないよな。
俺は、へーちゃん様のところへ向かった。
「へ?貘?何それ?」
「え、へーちゃん様の使い魔で、魔力を吸い取る・・・・・。」
「なんで、あたしが、そんなことしなくちゃいけないの。面倒くさい。魔力が欲しかったら、直接言うわよ。」
「そ、そうですよね。」
「そんな面倒なことは、せずに・・・・・・こんな風に奪うんだよ!」
いつの間にか、ヘーちゃん様は、包丁を持った、殺人鬼へと姿を変えている。
「ハハハハハハハハ!」
「ぎゃー!!!!」
俺は、自分の絶叫で目が覚めた。
「うるさいわねー!」
「あ、サーシャ、夢を見ていたんだよ!」
「へ?どんな夢?」
俺は、ベッドの上でぐっしょり汗をかいている。
「そ、それが、殺人鬼が、俺を殺そうとする夢で・・・・・。」
「変な夢。」
「ちょっと待て、サーシャ、お前いつ帰ってきたんだ?」
「へ?どういうこと?」
「確か。神になって、この家は離れたはず・・・・・」
「よくわかったな。クククク。」
サーシャはいつの間にか、黒い殺人鬼へと姿を変えていた。
「うぎゃー!」
「クククク!死ね!」
次の瞬間、ココ太郎が、飛び込んできた。そして、全てを消し去った。
「タクちゃま、だいじょぶ?」
「あ、ああ。」
「なーんだ。もう出てきちゃったか。さすが、ココ太郎!やるわねー。」
へちゃん様が、拍手をしながら、でてきた。
「ひどいですよ!ヘーちゃん様。」
「ごめんごめん。でも、スリル満点だったでしょ!」
「ええ、もう、どこからが夢で、どこからが現実かわかりませんでした。」
「あれ?これが現実だと思ってる?まだ夢の中かもよ?」
俺は、その瞬間、目覚めた。汗で服がぐしょぐしょだ。どうやら、寝てしまっていたらしい。
「ご主人様、お目覚めですか。」
「あ、ミリカか。ココ太郎みた?」
「ココ太郎?」
「ああ、俺が召喚した・・・・・・まさか。あれも・・・・夢?」
「なんだか、悪夢を見ていたようですね。」
「あ、ああ。なんだかひどい夢を見ていたようだ。長い長い夢を・・・・・。」
「じゃ、もう一度おやすみなさいませ。私が、頭を撫でていて差し上げましょう。」
俺は、ミリカに頭をさすってもらった。そして、これも夢だったら、どうしようと思いながら、再び夢の世界に戻っていった。ぐぅー。
いつもありがとうございます。これからもよろしくお願いいたします。