天の光は全て星
鈍亀です。すみません。更新がままなりません。しかも今回短いです。もうしわけありません。
石だらけの月だ。大気は薄く、生命を育むにはあまりに弱々しい。
「お父さん、地下に生命反応を感じます。」
ポルックスが教えてくれる。
地表には、水が見られなかったが、しかし、地下に逃れ、染み込んだ水が空洞を作り、そこに弱々しくしがみついている生命が震えていた。鞭毛が動いているのが見える。どうやら、この月の生命体の生き残りのようだ。どうやら、間に合ったようだ。
俺は、ポルックスに頷いてみせて、力を注いだ。
「お父さん、もう少し力を注いで。」
俺は、頷いて、さらに力を注いだ。すると、生命体が鞭毛を動かしてこちらに寄ってきた。俺に触ると、鞭毛の揺れが、信号になっていたので、それを言葉に変換した。
「神様、ありがとうございます。」
「間に合ったようだね。よかった。」
俺が触れると、その生命体が受け継いできた先祖からの記憶が流れ込んできた。これこそが、アルテミス様が、俺にこの生命体をすくうようにおっしゃった理由だ。しかし、残念ながら、俺たちが求める情報はそこにはなかった。わずかに、原初の創造の神がこの種族を救ったことがかすかな記憶として受け継がれているにすぎなかった。しかし、それにしても、これは小さな一歩ではあるが、さらなる階梯を登る細い道であることは確実であった。
「この月は、もう少ししたら、あの巨大惑星の重力で崩壊してしまう。」
俺は、空に不気味に見える大きな惑星を指して言った。
「旅立つときがきたようだね。」
「いいえ、神様、我々は、ここで生まれ、ここで育ちました。また、再び神様に会えただけで幸せです。あとは、ここで消えたいと思います。」
「しかし・・・・・。」
「私は、この星最後の生命体です。そして、私の種族の記憶を神様に、渡すことができました。もう思い残すことはありません。」
「そうか・・・・・・。」
「神様・・・・・。」
「なんだい。」
「本当にありがとうございました・・・・・。」
俺は、生命体をそっと撫でて、ポルックスに合図した。俺は、最後に生命体を見つめて、そして、別れを告げた。
その夜、ハンモックに揺られて天を仰いだ。満天の星だ。空にある全ての光が星だと思うと頭がクラクラする。そこに生きる人々の一人一人に人生があり、生活がある。そう思うと体が震える。浸みのように見えるのは、銀河だ。
俺は、今、答えを探している。そして、それはどこかにあるのだが、それがどこかにあるのかは、よくわからない。あのように、孤独であっても誇り高く最後の種族の1人として消えることを選択した生命体もいる。俺は目を閉じ、しばし、黙想した。目を、閉じても、目の中に光が見える。そして、それは柔らかくやさしく俺を照らしていた。
いつもありがとうございます。亀更新が続きます。申し訳ありません。