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メトセラの子ら

亀です。いつもいつも更新がのろくて申し訳ありません。

俺は、氷点下の月に降り立った。マイナス120度。極寒の地だ。俺が、ここに降り立ったのは、アテナ様から、この衛星に、生命が存在し、その生命体が、いずれ、我々の助けになると言われたからである。しかし、こんな寒いところに生命が存在するのだろうか。光はそれほど強くなく、太陽面を向いてさえ、気温の上昇はそれほど見込まれない。そして、太陽が沈んでしまえば、そこは極寒の地と化すのだ。


「ダダ!」

「はあ?この分厚い氷の下だと?どうやって、その下に行くつもりなんだよ?」


はあ、とガブちゃんがため息をついた。顔を左右にふっている。悪かったな、アホで。


「ダ!」


ガブちゃんが離れてろ、と指示する。と、突然、目からビームを出したよ。なんだ、これ?激しく溶けていく氷の層。しかし、蒸発したかと思うと、大気に触れて、氷となり、それがあたりに降り注いで幻想的な光景になっている。


「ダダ!」


え、飛び込めだって?


俺が、飛び込むと、もうすでに、穴はふさがりつつある。何十メートルもある氷を貫通させるなんて、ガブちゃん・・・・・。


すると、中の水は冷たいと思いきや、ぬるかった。どうやら、下に行けば行くほど、温度が高いようだ。なるほど、この海の中に、生物が存在しているのか。


「ダダ!」


ガブちゃんが、指差した先には、透明なクラゲのようなものがひよひよと漂っている。これか。


俺は、全身に力を込めて、そのクラゲを進化させてみた。すると、なぜか、恐れ入っているようだ。俺は、更に力を込めて、話せるようにしてみた。


「神様、ありがとうございます。」

「悪いけど、みんなを集めてくれないか。みんなも進化させてあげるから。」


そして、衛星の中の住民、全てを進化させることに成功した。


「ダダ!」


なに?神の水はあげないのかって・・・・・ガブちゃん、どこでそれを・・・・・・。黙っていてね。お願い・・・・・・。


「神様、ありがとうございます。ありがとうございます。」

「いやいや、感謝する必要はないよ。将来、君たちの中から、必ず、俺たちの助けになるものが出てくると言われてここにきたのさ。」

「神様を助けることができるもの・・・・・・・。」

「ああ、英雄が出現し、そして、いずれ神に並ぶということだよ。まあ、遠い遠い未来だけどね。俺たちは、今から、未来に飛んで、その英雄を迎えにいくんだ。だからお別れだよ。」

「か、神様。ありがとうございました。私は、ラザルス、いつの日にか叶うことがあれば、またお会いしたく存じます。」

「わかった、また、会える日まで。」


そして、俺たちは、100年後に飛んでみた。


「おおお、か、神様、再びお会い出来る日がこようとは・・・・・・・。」


そこにはよぼよぼにはなったが、まごうことなきラザルスがいた。


「ラザルス、元気だったかい。」

「はい、もうすっかり年老いてしまいました。最早、神様のお顔もよく見えませぬ・・・・・。しかし、こうして人生の晩年に再び神様にお会い出来るとはなんたる僥倖。」

「随分、文明は進化したようだね。」

「はい、まだこの氷を貫いて、宇宙に飛び出すことは叶わないのですが、それもいずれ・・・・・。」

「そうか。会えてよかったよ。また。100年後にここに来るよ。いずれまた会おう。」

「神様、なにからなにまでありがとうございました・・・・・・。」


俺たちは、ラザルスに礼を言うと更に100年後に飛んだ。


「おおおお、まさか、言い伝えが本当であったとは!」

「ラザルスが、言い伝えを残しておいてくれたんだね。」

「はい、神様。私は、この国の王をしておりますロングともうします。」

「まだ、英雄は現れていないのかな。」

「まだでございます。」

「そうか。では、また、100年後に来ることにするよ。」

「お待ちください。できましたら、長老、ラザルス様のお墓に・・・・・。」

「わかったよ。」


俺たちは、海底に作られたラザルスの墓に頭を下げた。


「・・・・・・神に祈っていただき、長老も本望でしょう・・・・・・・。」


ロング王の声はこころなしか震えていた。


「では、また。」


俺たちは100年跳躍した。


「おう・・・・・・生きてこの日を迎えられるとは・・・・・」


そこには年老いたロング王がいた。


「ロング王!」

「もう王ではございませぬ。王政を廃して、今では国民を代表する者がこの地を治めておりまする。」

「そうか。まだ英雄は・・・・・。」

「まだでございまする。」


俺は、巨大な海中都市をみて、ため息をついた。100年ごとでは、感覚が短いのかもしれない。


「次に来るのは200年後だね。」

「200年でございますか。伝えておきます。」

「ロング王も達者っで・・・・・・・。」


俺たちは、跳躍した。するといきなり、巨大なビームで迎撃された。


「ダダダ〜!」


ちゅるちゅるとビームを吸い込むガブちゃん。


「ダ〜!」


満足げである。


「ま、まさか本当の神!」「ま、まさか・・・・・・」


そこには、多くのクラゲが俺たちを待っていた。


「なんなんだよ。手荒い歓迎だな。」

「ま、まさか、本当の神!」

「そうだってば。君たちを進化させて、英雄をこの星から連れて行くのが、俺たちの使命なんだってば!」

「そ、そんな。伝説が本当だったなんて・・・・・。」

「たった500年ぐらいで、もう事実が忘れ去られちゃうんなんてちょっとダメだね。」

「す、すみません。」

「まあ、いいや。悪いけど、ロング王の墓に案内してくれるかな?」

「ロング王、ああ、あの最後の王ですな。こちらです。」


俺は絶句した。粗末な墓がそこにあった。


「お前ら、いくらなんでもこれは、酷いだろ!」

「す、すみません。しかし、王なんてものは、人気が・・・・・。」


俺は力を込めて、墓を隆起させて、となりのビルと同じぐらいの大きさのモニュメントにした。ついでに、ラザルスの墓も大きくしておいた。


「これを崩したら、神罰を与えるからな!」

「ひぃ!く、くずしませぬ!」

「よし、200年経ったら、また来るからな!」


俺たちは200年後に飛んだ。


モニュメントされた墓はなんと観光地になっていた。


俺たちはカメラに歓迎された。なんだなんだ。


「ご覧ください、我々を創造した神は存在したのです!そして、ここに神に挑戦するは、英雄ハリマン!」


おお、英雄か。よかった。しかし、本物かな?俺が、ガブちゃんに、視線を送ると、ガブちゃんが、ダ、と頷いた。


「な、なんと、英雄に立ち向かうのは、あの赤子のようです。無謀です。」


なかなか強いが、俺たちが求めている本当の英雄ではなかったようだ。ガブちゃんが、ふーと息を吹きかけただけで、きゅうーと飛ばされて、気を失ってしまったのだから。


「俺たちが、探している英雄は、本当の英雄だ。こんな偽物ではないぞ。また、200年経ったら、こよう!」


俺たちは跳躍した。


すると、俺たちを迎えたのは、巨大なロボットであった。


「ついにこの日がやってきた。体を全て入れ替えて、機械となった俺こそ、本当の英雄だ。」

「もしかして、お前、ハリマン?」

「いかにも、とはいえ、ハリマンであった部分は、頭脳だけだがな。いざ尋常に勝負!」


しかし、ガブちゃんが、指先一つを振っただけでダウンしてしまった。


「バ、バカナ!!!!」


それを見ていた人々も、嘆息する。まさか、英雄が・・・・・・・。


俺は、気の毒になって、巻き戻しを使い、ハリマンの体も再生してやった。


「恥じることはない。もし、自分が英雄でなければ、英雄を育てるといい。待っているぞ。それでは、また、200年後に会おう。」


俺たちが跳躍すると、そこには、年老いたハリマンが、跪いていた。


「神よ、私は言われた通り、弟子を育てました。そして、私の命ももうあと数日、しかし、英雄を育てましたぞ!」


その弟子を見て、ガブちゃんは、叫んだ。


「ダダダ!」


確かに、この小さな子供が、英雄らしい。俺は更に力を込めて、人型に変えた。


「私は、英雄ハリマンの最後の弟子、ラザルス!」


おお、ラザルスの名前をとったのか・・・・・・。俺は少し感動した。


「俺はお前を待っていた。さあ、ついておいで、神々の国へ連れて行こう。」


それを見届けて満足したのかハリマンはゆっくりと崩れ落ちた。これが英雄の最後であった。


俺は、大きなモニュメントを作り、そこにハリマンを埋葬した。


そして、そこで出会った全てのものに、別れを告げた。俺たちを愛してくれたもの、恐れたもの、全てが今となっては懐かしい。



「アテナ様、連れてまいりました。こちらは、ラザルスです。」

「待ってたわ!さあ、行きましょう!」

「へ?ど、どこへ?」

「決まってるじゃない!コレーちゃんのところよ!」

「ええええ、嘘!」

「本当よ!」


コレーちゃんは、ラザルスをじろじろ見た。ラザルスは緊張で足が震えている。俺もだけど。


「よし、合格!ありがとう!」

「どういたしまして!これで、私たちをちょくちょくゲームに呼ぶなんてことしないでね!」


は?どゆこと。


あとで聞いたら、コレーちゃん様は、自分のパートナーになりそうな立派なショタを探していたそうだ・・・・・・。ちょっと待てや!俺、そのために駆り出されたんか!


「そうよ、あんただって、しょっちゅう、コレーちゃんに呼び出されたくないでしょう!」


た、確かに。許しておくれ、ラザルス。君は、俺たちの幸せの礎となったのだ。


ところが、後日、コレーちゃん様と、ラザルスが、ラブラブで猫カフェに来て、パンプキンパイを食べていったのだ。ラザルスも俺に久しぶりに会えて嬉しいのか、涙を流していた。よかった。嬉しいんだね、今の生活。よかったよかった。最後に、口が、たすけて、というように動いたような気もしたが、気にしない、気にしない!


いつもコメント、ブックマーク、大変励みになっております。ありがとうございます。これからも、よろしくお願いいたします。

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