鏡の中のタクト
亀です。更新が遅くて申し訳ありません。
俺がやっとできた城を納付しに行くと、カトリーナが迎えてくれた。
「お父様、相変わらず素敵な出来ですね。」
そうだろうそうだろう!今回は自信があるのだ。褒めろ褒めろ!ふはははは!
「素晴らしい出来なんだなぁ。すごいんだなぁ。」
俺は褒められて伸びる子なんだ。くくく、もっと褒めるがよい!
ところが、スミス殿から思わぬ依頼があった。
「というわけで、今回のフィギュアには鏡をつけたいんだなぁ。」
うーん、鏡か。さくっと取り寄せはできるけど、ちょうどいい大きさのはないし、かといって、本気で作ったら、完全に足が出るし。そうだ。スプレーで自作してごまかすか!これだったら、ものすごく安く作れるからね。
すると評判がよく、結構売れた。しかし、後ですごい問い合わせがきた。それは、俺が作ったアクリル板を鏡面加工した鏡を売って欲しいというものだった。それに応じたのが悪かった。
なぜか、鏡は、こちらでは、銀貨5枚もするのに俺が作った鏡は銅貨3枚ということで、みんなが欲しがったのだ。えーとなんでだ?このアクリル板の鏡、傷つきやすいし、普通の鏡よりも良くないのに・・・・。
俺が考え込んでいると、紅茶を優雅に飲んでいたマーガレット王女がその疑問に答えてくれた。
なぜに紅茶?猫カフェは、コーヒーが売りなのにな・・・・・。
「それはじゃな、鏡を割ると不幸が訪れると考えるものが多いからじゃな。大抵、鏡は代々使うものなので、途中で割ったとなったら、その家が途絶える前兆ではないかと考えてしまうからじゃ。このあくりるじゃったか、それだと割れんからな。それに、こんな、いろいろな大きさの鏡や手鏡なぞ、存在しなかったしな。」
なるほどね。そんな理由があったとは。そういえば、地球でも、そこまでじゃないが、鏡を割るのは、演技が悪いってされているしなぁ。どこでもやっぱり鏡についてはいろいろあるんだな。
というわけで、その日から、俺は毎日、アクリル板と鏡面スプレーと格闘する日々が続いた。今回ばかりは、取り寄せで完成品を手に入れて売るわけにはいかないので、ストレスがたまる。うーん。ちょっとまて。俺のまったりライフを返せ!
俺が夜一人で巨大な鏡を作っていると、向こうからにゅっと手が出てきて、俺は鏡の中に引き入れられた。なんだなんだ?
「よう、俺!」
「は?何これ?」
「俺は、鏡の中のお前だな。」
そう俺が話しかけた。最近俺は、俺づいている。なんなんだ・・・・・・。全俺が俺に夢中だ・・・・。
「こっちは、なんか刺激がなくてさ、ちょっと困ってたんだよ。悪いけど、今日1日、立場を交換してくれないか?」
「お、交換する交換する!」
俺は、鏡の中の世界で、刺激のないまったりした時間を過ごした。ああなんて天国・・・・・・・。
1日たって、鏡の外の俺は泣きながら入ってきた。
「なんだよ、この表の世界、なんてひどい世界なんだ。もう二度と行きたくないよ!」
「こっちは素晴らしかったぞ。まったりゆっくりのったりしていて、もう、ぐーすか休んだよ。」
「刺激のある世界って大変なんだな。あんなに、女性達にベタベタされて、ゴリゴリ神経を削られて、その上、仕事がたくさん・・・・・やってもやっても終わらないなんて・・・・・・・まあ、鏡の外の俺、これからもがんばれよ!」
鏡の中の俺は、ベッドに倒れ込むとグーグー寝始めた。よほど疲れたんだな。気の毒に・・・・。
俺が外に出ると、頼まれていた鏡がほとんど仕上がっていた。ありがとう俺!素敵な休みをありがとう俺!
ところがだ!夜、なぜか、みんながベタベタしてくる。なぜだ!あいつもしかして、手が抜けないやつだったのか!おかげでみんなから、ちゅうされて、唇がふやけたぞ!うーん。
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