損して得取れ
癒しが必要です。猫成分が圧倒的に足りません。
「で、うさみーるの売り上げが上がらないわけよ」
サーシャがいつもの愚痴をいいに来た。
「仕方ないから、セットメニューの値段をあげたら、更に売り上げが下がったの。もうこうなったら、うさちゃん指名料を取ろうかしら、それとも…」
一体どこの水商売だよ。アホか。
「お前は、商才に長けているとは思うけどさ、ガメツすぎんだよ。」
「はぁ〜〜〜?ガメツくて何が悪い!所詮この世は金よ、金!」
恐ろしい、どんな教育受けてきたんだこいつ。
「あのなぁー、そういう態度が客離れの元だぞ、よくいうじゃん、損して得取れって。お客さんは、さあ、癒しを求めてんのよ。それがお前みたいな料金体系じゃ、どこでどんだけむしられるかわからんから、安心できないだろ。癒しと反対なんだよ!」
「あんたも綺麗事並べているけど、いたいけなランちゃんコキ使って、猫ちゃんもこきつかって、まったり搾取しながら生活している支配者階級なのよ。立て、若人!」
こいつ、いっちゃってるよ。こうなったら、分からせてやるか。
「わかった。そうしたら、売り上げの勝負をしようぜ。1週間でどっちが売り上げが多いかやってみようぜ。それでわかるだろ。俺たちは何も変えないけど、お前らは、好きな方法でやってみな。」
「キー!!!!何よ、その上から目線。むかつく!やってやろうじゃないのよ。」
こうして俺たちの勝負が始まった、っていうか、俺は何もしないけどね。
うさみーるでは、メニューの更新と、ビラくばり、初回割引クーポン券など涙ぐましい努力をした。そして、指名料の導入、足型1回銀貨1枚など、細かく売り上げをあげようとした。バカめ!
俺がやったことといえば、ハンモックに揺られることと、アイスコーヒーをすすることであったとさ。
「う、うそ!」
「嘘じゃねえよ。これが現実だ。さあ、思い知ったか。」
売り上げは、ほとんど拮抗していたが、わずかに猫カフェの方が上だった。
「言ったろう、癒しは何物にも変えがたい財産だと。俺たちが提供しているのは、心なんだよ。人を動かすのは、おもてなしの心そのものなんだ。」
「わ、悪かったわ、今回ばかりはわたしの負け…」
そこにケイトがやってきた。
「タ、タクト殿、この猫ちゃんの毛入りおもまり、もう10個追加してくれ!これが一つ金貨1枚なんて、なんて安い。それにこの猫ちゃん、特別散歩券ぽっきり金貨2枚も20枚追加でお願いする!」
「タ〜ク〜ト〜!」
その後、怒り心頭のサーシャにぼこぼこにされました。
嘘はいけませんよね。