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手押し車と巨大蟻と

亀です。暑すぎます。死にそうなので、図書館に涼みに行こうと画策したのですが、よく考えたら、この近くにそんな小洒落たものはなかったのです。田舎だったのです。木更津総合が勝ったのです。でも船橋も好きだったのです。でも連中が住んでいるところは都会なのです。です!


これからもよろしくお願いいたします。

今日は久しぶりにサーシャが帰ってくるという連絡があった。ミケもサーシャも1ヶ月に1回ぐらい充電をしに帰ってくるのだ。


あさから、ガブちゃんは、手押し車を持って行ったり来たりしている。久しぶりに会うお母さんなんだもんな。それは、嬉しいだろう。


「ダダ!」


手押し車を押しているのを見せる時、どんなポーズがいいのか考えているようだ。


急に光が収斂してサーシャが現れた。ちょっと煤けてる。


「タクト、大変なの。ちょっと来て。」


サーシャは俺をつかんだ。


「ダ!ダ!」

「ガブちゃんも久しぶり。げんきだった。」

「じゃ、行きましょう!」

「ダ・・・・・・。」


せっかく見せたのに、反応が薄いので、悲しんでいるようだ。


「よし、じゃ、ガブちゃんも行くぞ!」


俺はガブちゃんも片手にぷらんと下げてサーシャに掴まった。


ガブちゃんは、ぷらぷらしながらも、手押し車を抱えているので、ちょっとシュールな感じの絵になっている。ちょっとテンションが低い。


俺たちが、着くと、なんだ、これ?


せっかく植えたとうもろこしなどの作物が、蟻の大軍によって、食べられている。


「せっかく収穫の時期になったと思ったら、蟻が押し寄せてきて。」


その蟻だが、なんと小型車ぐらいあるので、普通の人間では立ち向かえないだろう。


「殺すわけにもいかないから、閉じ込めているんだけど、数が多くて・・・・。」


なるほど、見ると、隣の折に蟻が重なって閉じ込められている。多すぎるだろう、下の蟻、重みで潰れるぞ!もう。かわいそうに。


「これはさ、元からたたないとダメだよ。ちょっと女王を探して、話し合ってくるよ。ガブちゃん。悪いけど、ここお願い!」

「ダダ!」


ガブちゃんは、サーシャに手押し車を見せるイベントがこのせいで、中断されたのが、よほど腹がたったのか、蟻たちを手押し車で引き始めた。最初は、ばかにしていた蟻だが、見事に跳ね飛ばされるので、みんな怖気づいてしまったようだ。我先に逃げている。これなら、問題ないな。ここはガブちゃんに任せよう。


俺は巣穴を見つけて、潜って行った。すると、兵隊蟻が向かってきたが、透明な手で、巣から放出してやった。


中深く入ると老人の蟻や子供の蟻、そして、幼虫の赤ちゃんがいた。老人が赤ちゃんをかばって立ち向かいそうになっていたので、俺は、力を注いで、老人と話せるようにした。


「ここに、争いにきたんじゃないよ、話し合いにきたのさ」

「し、しんじられるか!」

「いやいや、最初から倒すつもりなら、この巣ごと爆破しているさ。そんなことしてないだろ。」

「う、うううむ。」

「まあ、女王様のところに連れて行ってよ。悪いようにはしないからさ。」


俺たちは、連れ添って、女王蟻のところにいった。


すると、女王は、卵を産んでいる最中だった。慈愛に満ちた表情である。さすが、女王様だ。


すると、俺に気がついたのか今まで見たことのないような強い親衛隊蟻がこちらに立ち向かってきた。大型車ほどの大きさの蟻で、こちらに何も言わせず突っかかってきた。


俺は透明な手で止めて、女王に話しかけた。


「女王様、話し合いにきました。ちょっとこの連中、止めてくださいませんか。」


俺は、みんなに力を注いで、話せるようにした。


「信じられるか!人間よ。それにセバスチャン、なんです。こんな人間に騙されて!」


どうやら、この老人蟻は、家老のセバスチャンというらしい。


「女王様、しかし、こやつ、老人蟻、子供蟻、赤ちゃん蟻には、危害を加えようともしませんでしたぞ。」


ううん、と女王蟻が考え始めたので、俺は、なお話しかけた。すると、女王が、親衛隊に、話を聞くので、これ以上は突進しないように言ってくれた。


「すると、そちらは、食料を取らないようにと、勧告にきたわけだな。しかしそれはできん。今年は、食料の出来が悪く、人間たちの食料を奪わないと、みんな餓死してしまうのだ。」

「うーん、なるほど、みんな結構食べる方?」

「そうじゃな。相当食べると思って良いぞ。」

「じゃ、これをあげる。1本でいいと思うから、ちょっと離れてて。」


始めはバカにしたように見ていた女王蟻と、親衛隊蟻だったが、芋がぐんぐん成長するのを見て、目を丸くしていた。


「な、なんじゃこれは。」

「特別なお芋さ。」


芋をは、みるみる地下を通じて増えて、最初の芋は、5mほどに育った。しかも、すごい勢いであたりを浸食していく。


「どんどん食べないとえらいことになるよ、みんなを呼び返して、これを食べな。」


女王は、言われた通り、みんなを呼び返して、芋を食べ始めた。この芋は、甘くて、本当に美味しいんだよな。ラッキーだよな。ただ、増えすぎるのが、玉に瑕だ。


ガブちゃんとサーシャもこっちに来た。


「あ、なんとかなったようね。」

「ダダ!」


そこからがすごかった。親衛隊蟻も頑張った。みんな、3日、3晩、食べ続けたが、ついにギブアップの時が来てしまったようだ。


「も、もういい。止めてくれ。まさか、これで我々を滅ぼそういうのではないだろうな!し、しまった・・・・こ、こんな奸計にやられるとは・・・・・・。」

「いやいや、全然違うから。」


俺は余った分をいろいろな食料と交換した。


「これで、うまく食べれば5年ぐらいは食いつなげるよ、それで、もし足りなくなったら、この芋だねを使うんだね。」


女王は身震いした。


「も、もう芋は結構です。」

「そうかな。美味しいのに。」

「ダダ!」

「そうよねえ。」


女王蟻は俺たちを見て、震えた。この時、けして俺たちにはさからうまいと思ったそうだ。失敬だな。


「あ、それから、サーシャ、この星の神様に言えば、また、食料ぐらいなんとかするから、勝手に取りにこないように。」

「わ、わかりました。もう2度とさからいません。」


というわけで、騒動は収まったようだ。


俺はサーシャの充電を済ますと、ガブちゃんを見た。


「ダダダァ!」

「そうねえ歩けるようになってよかったわねえ。」

「ダダ!」


ガブちゃんもやっと手押し車が自慢できて嬉しそうだ。スミス殿の特別性の手押し車だから蟻をはねても傷一つない。すごいな。


サーシャはガブちゃんを抱きしめた。ガブちゃんは、本当に幸せそうな顔をしている。俺は、嬉しそうなガブちゃんに、話しかけた。


「おい、ガブちゃん。サーシャと、お母さんとここにいてもいいんだよ。」

「ダ!」


はあ?俺が頼りないから、一緒にいないと心配だって?失礼だな。


「じゃ、ガブちゃん、タクトをお願いね。」


サーシャは、ガブちゃんの額にキスした。ガブちゃんは、本当に幸せそうに笑った。


猫カフェに戻ってすぐ、サーシャはさよならを告げた。俺たちは、サーシャに手をふった。そして、サーシャが消えた後でもいつまでも、いつまでも手を振っていたのだった。


みなさん、暑すぎませんか。水風呂でなんとか正気を保っております。いやはやです。もうルカはいらないんです!はっ!正気を失っておりました。


みなさまのコメント、ブックマーク、本当にありがたいです。これからもよろしくお願いいたします。

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