そんなにうまくいかないのが人生だ
亀です。みなさん、いかがお過ごしですか。女の子ガチャが来ているではないですか。エスカマリを、今度こそ、と思って大爆死です。とほほです。1回目で引き当てた知り合いを見て、危うく殺意の波動に目覚めるところでした・・・・・・。
コシチがあまりにも多忙なので、ダンジョンは閉鎖して、休ませようかと思ったら、なんと国王直々に、それはやめてくれとお願いされた。なんと、コシチは、完全にダンマスとして成功してしまったようで、今や、ダンジョンの売上でも、王国一となってしまったようだ。何があった、コシチ!
それだけではなく、最近は、お堅い就職先としても大人気のようだ。コシチ、もう俺たちの手の届かない世界にいってしまったのか・・・・。どうやら、コシチは立派に独り立ちしてしまったようだ。ギルドのお姉さんが、猫カフェに猫ちゃんをもふりに来た時、教えてもらったのだが、そんなことになっていたとは・・・・。
「あのダンジョン、大人気なのよ。私たち受付の間でも、転職するなら、あのダンジョンがいいってもっぱらの評判よ。ここだけの話、お給金もあっちの方がいいらしいし。」
そんなこと言われても。ちなみに、ギルドのお姉さんはいわば国家公務員でももらっている方なので、それより上となるとかなりの優良企業なのだろう。どうりで、王様がコシチのダンジョンを手放したくないはずだ。
「でもね、あそこのダンマス働きすぎだって、もっぱらの評判よ。だれよ、あんなにいいダンマスをこき使っているアホは。顔が見てみたいわよ。」
俺はもはや乾いた笑いしか出なかった。俺のせいじゃない・・・と思う。
更にコシチのダンジョンは、アトラクションが豊富で、今や冒険者のためのダンジョンとしてではなく、遊園地感覚で家族連れが楽しむ場所になっているとのことだ。うーん。なんなんだ。前に行った時も、確かに、皆、コシチのダンジョンには遊び感覚で行っているようだとは感じていたのだが・・・・・・。
グッズの売れ行きも好調だそうだ。最初にたくさん作った勇者のグッズの売上は最低だが、聖女様のグッズ人気は高く、抱き合わせでなんとか在庫をはこうとしているらしい。涙ぐましい企業努力だ。
こんないコシチが忙しくなってしまったのは、一体誰が悪いんだ、と叫んだら、店長でしょ、と軽くシェールにいなされたのは内緒だ。
そういえば、あの勇者、人気ががっつり落ちて大丈夫だったのだろうか。まあ、腹黒い聖女のせいであることは言うまでもないんだけど。コシチのダンジョンでも、魔石に記録した映像が上映されているんだけど、やはり、聖女がコシチが化けた幹部を退ける映像が大人気だ。あれは、上映すればするほど、聖女の人気が高まり、勇者の評判が下がりに下がるというもので、勇者の人気を下げて虫がつかないようにしようという、勇者ラブの聖女の悪巧みが炸裂した映像にきっちり仕上がっている。虫除けが効きすぎて、勇者の評判は地面を這うどころか地中にまでもぐっちゃったけど・・・・・。
時々、こっちにナンパに来ているようだけど、面が割れすぎて、嫌われてしまっている。海上王国にまで足を伸ばしたらしいのだが、聖女の方が一枚上手で、あっちでも上映が行われているから、ナンパはどこでも失敗に終わるそうだ。詰んだな、勇者。
俺は、コシチに会いに行っても会えないので、俺は手紙をしたためた。これが一番コシチに会うのに早いというのだから大変だ。ちなみに、秘書に聞いたら、2ヶ月先まで予定はいっぱいということだ。死ぬなよ、コシチ。
「社長にお会いになりたい。はあ。どのようなご関係で。はあ。猫カフェのご主人。はぁ。はあ。それに、親友でいらっしゃると。ええ、残念ですが、いくら親友の方でも2ヶ月お待ちいただくことになってしまうかと。え?親?ええと先ほどは、ご親友とおっしゃっていたような気が。え?親友で親。はあ、左様でございますか。それでは2ヶ月後。そうですね。10時から10時20分まででいかがでしょうか。はあ。短いと。でも、王様がこられても20分しかお会いになれないので。はあ、そうですか。わかりました。それでは失礼いたします。」
なんだか絶対疑っているよな。あの秘書。まあ、仕方がない。
俺は、コシチが好きだったタオルと、服を入れた荷物に、手紙を添えた。
「おーいのぞみちゃん!」
「なんだ、うなぎ。」
「悪いんだけど、これ、ダンジョンまで届けてくれる?受付の人に渡してくれればいいよ。」
「わかった。」
そして、のぞみちゃんは消えた。と思ったら、コシチと一緒に現れた。
「ごし人様、お久しぶりなろ。」
なんだか、げそっとしているし、心配だ。
「コシチ、1週間だけ休みが取れないかい。」
「むりなろ、予定がいっぱいなろ。」
俺は、考えた。そうだ。
「ねえ、のぞみちゃん、最近、この仕事退屈だから、もっとやりがいのある仕事がしたいっていってたじゃん。」
「お、よく覚えていたな、うなぎ。」
「1週間だけ、ダンマスやってみないかい、コシチの代理で。」
「お、俺が?やるやるやるやる!やふぅー!」
のぞみちゃんは、飛んで行った。
「ごし人様、だいじょうぶなろ?」
「ま、なんとかなるさ。ああ見えても高性能だし。ま、コシチほどではないけど。」
じゃ、おいで、と俺はハンモックに寝そべって、コシチを元の猫ちゃんの姿に変えた。お腹の上に乗せて、ちょっと撫でたら、すぐ寝てしまった。よほど疲れていたんだなぁ。
夜、コシチが起きたら、コシチが好きな食べ物を食べさせて、また、寝かしつけた。今度は、ガブちゃんたちと一緒の部屋だ。
「ダァ!」
「へえおもしろい話なろ!」
2人は、結構長く話していたようだ。朝、起きてこなかったので、そのままゆっくり寝かせておいてやった。そして、お昼頃目覚めてきたので、遅いブランチを食べさせた。ちょっと肌寒かったけど、まだ大丈夫なので、外で食べた。俺はコーヒーを付き合った。
それから、コシチに近況を話してもらった。どう聞いても、大変な仕事だ。大丈夫かな、のぞみちゃん。俺はちょっといやな汗が出た。
午後はピクニックに出かけた。コシチがいるだけで、近辺のモンスターたちが、いろいろ持ってきてくれるので、ピクニックは、楽しいものとなった。俺が作ったチーズケーキをみんなと一緒に食べて、ゆったりとした日を過ごした。
ちょっと早い温泉の後、早い夕ご飯を食べさせたら、もう寝てしまった。本当に疲れているんだなぁ。
そんなこんなで1週間たったら、毛のツヤも元のままだ。よかった。疲れたコシチはいなくなった。
俺は、時々、俺もダンジョンに行くことを約束した。そして、カトリーナやぴょん子さんたちに、メイドカフェが忙しくない時は手伝ってもらう算段をつけた。これで、大丈夫だろう。
すると、よろよろ、よろよろ、とボロボロになった猫ちゃんがこちらに歩いてきた。の、のぞみちゃん!何があった。
「おい、うなぎ。これ、誰がやっても重労働だよ。分刻みのスケジュールなんだもん、これは、死ぬよ。」
パタっとのぞみちゃんが倒れてしまった。やれやれ今度はのぞみちゃんを癒す番か、とため息をつく俺であった。
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