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デジカメ顛末記

亀です。いつもありがとうございます。今回は少し短めです。

俺が、ヘーちゃん様の部屋にサンドイッチとコーヒーを持っていくと、ヘーちゃん様がへへへへーと何かを得意げに見せつけてきた。タッタラーと、ヘーちゃん様。えーとどうして、そのネタ知っているんだろう・・・・・。


「これ、なーんだ!」


ヘーちゃん様、それって、もしかしたら!


「あ、知ってた?すごい。これ、最新式のやつよ!結構いいんだから!」

「うわ、いいですね。いいなぁー。これ、貸してくださいますか。」

「えー、どうしようかなあ。」

「お、お願いします!パンケーキを20枚焼きますから。」

「うーん、もう一声!」

「それにパウンドケーキ一斤もおつけします!」

「じゃ、いいわよ。」


俺はしげしげとデジカメを眺めた。ロゴがないけど、使い方はわかる。これ、結構いいやつじゃないか?俺はちょっと感心した。


「それにしても、すごい。どこでお買い求めになったんですか。」

「神デパートよ。なかなか手に入らないアーティファクトだから気をつけて。」


俺は、ホクホクしながらデジタルカメラをへーちゃん様から借りた。うお、懐かしい!素晴らしい!神デパート、マジ神ってる!


ちょっと重みがあるが、それがまたいいのだ。これって、フルサイズ機の一眼っぽいな。なかなかいい。でも、モードがいくつかあるけど、オートでいいよな。とりあえずは。


久しぶりにカメラを手にして、いろいろなものを記録しておこうと考えた。そこで、俺はあちこちのものを写し始めた。


のぞみちゃんが、入ってきたので、カチっと撮ったら、のぞみちゃんが、身震いした。


「どしたの?」

「なんだか、力が抜けて・・・・・・。今、ちょっと寝ようかなぁ。」


そのあと、のぞみちゃんは、珍しく昼寝を始めた。なんだかへんだなあ。


居間に入ると、王国から帰ってきたばかりのマーガレット王女とベアトリクス王女がいた。海上王国のゴタゴタで、いろいろ奔走してもらっていたのだ。すまぬ。


「旦那様、なんだか珍しいものをもっているのう。」

「ほんとうですわ。」


二人は、ボードゲームをやっていた。お、そのボードゲームは、スミス殿と俺たちが作った最新のゲームだな。


そうなのだ。フィギュアで、ボードゲームの駒を作ってみたら、これがバカ売れなのだ。そのため、わざわざ、量産品を作ったほどだ。まあ、量産品だって、なかなかのものだ。カスタマイズも可能だしね、しかも、安めだし。しかし王女様が使っているのは、一品物のようだ。そういえば、一ヶ月前に、何台かボードの製作をスミス殿から頼まれたけど、これだったのか。貴族のところに行くと思っていたら、里帰りしていたとは。


二人が物珍しそうに、俺のカメラをじっとみていたもんだから俺としても、撮らないわけにはいかなくなった。


「これは、ね。まあ、ものは試し。論より証拠。ちょっと写してあげようか。」


ところが、写真を撮ったら、2人が、疲れたと言って、寝室に引き上げてしまった。


なんだかおかしい。


イーダとケチャも、台所で手伝いをしていたが、写真を撮られると、疲れたと言って、上にひっこんでしまった。


俺は、なんだかこの機械に問題があるような気がしたので、ヘーちゃん様のとことに言って、問いただした。


「え?これ?生命エネルギーを抜いて、私に送る機械だけど?あんたが、私に生命エネルギー送ってくれたから、お腹いっぱいになって嬉しいわ。」


どうりで、変なわけだよ。俺はハタと、日本の古い言い伝えを思い出した。


「ヘーちゃん様、もしかして、この機械、日本にも持ち込んでいなかった?」

「あー、ダゲレオタイプかな?そういえば、前に疲れた時、写真館に設置して生命エネルギーを集めていたような、いなかったような・・・・・・。」

「あんただったのかー!」


道理で、おかしいと思った。写真機に、魂を抜かれるという迷信は、あながち間違いではなかったんだな。


「わかったわよ、お詫びに、小型写生機使わせてあげるから。」

「今度こそ、本物でしょうね。」

「本当よ、ほら!」


へーちゃん様が俺に、カメラを向けた。そして、1分後、なんと後ろから、精密なスケッチが飛び出した。


おおお、これはすごい、どうなっているのかな。俺が覗くと、なかに入っていた小人さんとばっちり目があった。向こうは、ばつが悪そうに、顔をそっと引っ込めた。


「えーと、ヘーちゃん様、なかに小人さんが入っていますけど。」

「あ、それでいいのよ。で、実はこれ、レンタルで1日、金貨1枚かかるの。」


うわ、単なる小人さんへの給料じゃないか・・・・・・。俺はちょっと引いてしまった。


「あんたもスケッチが上手だったら、小さくなって、お金が稼げるのにねえ。」

「ふえ?」

「あ、これ、神デパートで随時募集しているのよ、アルバイト。でも、なかなか集まってくれなくて、困っているらしいわよ。」


まあ、それはそうだろう。1日金貨1枚だとしたら、元をとる為に何枚も書かされるだろうしなあ。


俺は、ヘーちゃん様に持ってきたパウンドケーキを少し削って、皿の上においた。そして、そっと小型写生機の前においた。


「あ、あたしのパウンケーキ!」

「もう生命エネルギー吸い取ったからいいでしょ!」


すると、小人さんが、ぴょこ、っと飛び出してきて、ぺこり、と頭を下げてパウンドケーキを食べ始めた。でも、この小人さん、どこかで見たことが・・・・・・。


「ク、クルドさん!どうしたんですか。こんなとこで!」

「や、やあ、タクトくん。ばれちゃったね。実は、メリンダのやつの食費が賄えなくてね。そしたら、いいアルバイトがあるからって、ヘスティア様に紹介していただいて・・・・・・。」


ヘーちゃん様!俺は、ギギギと顔をヘーちゃん様の方に向けた。そしたら、手を頭の後ろに組んで上を見て、私は知らないっていう具合で口笛を吹いていた。あんたは、30年前の少年漫画か!


「いや、ヘスティア様には感謝しているんだ。この仕事、すごくいいし。僕の技能が生かせるし。メリンダも腹一杯食べられるし。」


そうか、食費のために、プライドを売っているんだな。そう考えると、少しだけ寂しくなった。


物言えば、唇寒し、秋の風・・・・・・・・。


いつもいろいろありがとうございます。これからもよろしくお願い致します。

*ご指摘いただき、フルデジタルー>フルサイズに変更させていただきました。

ありがとうございました。

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