ガブちゃんは、家の王様
亀です。すみません。更新がままなりません。毎日暑いですね。いかがお過ごしでしょうか。
「ギャー!!!」
夜、絹を裂くような悲鳴が起こったから、なんだなんだと階下におりてみると、カサンドラがきゅーっと伸びていた。
そこには、アリー、リース、そしてアイカが立っていた。
「かみさま、ただいま〜。」「何、この子?いきなり私たちをみて気絶したけど?」「頭、おかしくなっちゃったのかしら?」
そうなのだ。この3人、今、コサブローが治める海上国家で、スミス殿と本格的に売り出すフィギュアの出品のためにしばらく留守をしていてもらったのだ。
「わ、わたしより、び、美人が3人も・・・・・・。」
「あらー、小さいお子様が、そんなこと考えなくてもいいのに。」「ほんと、ほんと。」「おかしいわねえ。」
うーん、こいつらは知らないけど、カサンドラ、本当は大人の女性だからな。しかも本来は、自分が宇宙一の美人だとおもっていたから、こんなに綺麗な3人組に出くわした日には・・・・・・。
「あ!」
ぱちっとカサンドラが目を開けた。
「夢をみていたわ。わたしよりはるかに綺麗な3人の女性が家に入ってくる夢・・・・・・」
「夢じゃないけど。」「ただいま。」「新しいお手伝いさん?」
「ギャー!!!!」
大声をあげて再び失神した。だめだこりゃ。
「まいいわ。それより、すごいの。タッくん。売れに売れて、注文まで、こんなにとってきたの。」
「ふぉ!こんなに・・・・・・。これ、バックオーダーだけで5、6年分はありそうだ。」
「ま、私たちなら、ちょちょいのちょいよ。」
「でガブちゃんかりるから・・・・・」
ガ、ガブちゃんだと・・・・・。いやな予感が・・・・・・。
俺は、ミルクと4人分のコーヒー、そして3人分のサンドイッチを用意した。
部屋に入ると、なぜか、ガブちゃんは空を飛んでいる。アリーとリース、アイカがガブちゃんと相談している。
「ダダダ!」
「うーん、それはわかるけどさあ、面倒だもの。」「ちょっとねえ。」「うーん。」
「ダ!ダダ!」
「えー、そんなやり方でいいのかな?」「それ、ちょっとアバウト過ぎ。」「反対!反対!」
「ダダ!」
「わかったわよ、そこまで言うなら従うわ。」「仕方ない。」「ガブちゃんが頑張ってよ。」
すっかりいいおばさんたちと赤ちゃんといった様相だ。
俺は、ミルクをガブちゃんに飲ませた。そして、コーヒーとサンドイッチをアリーとリース、アイカの前に置いた。
3人が、美味しそうに食べている。ガブちゃんも機嫌がいい。食べ終わった頃に、アリーが俺に話しかけた。
「あ、タッくん、悪いけど、私たちちょっと出かけるから。」
「ダダ!」
「え、タっくんも連れて行くの?」
「ダダダ!」
「わかったわよ。じゃ、一緒に行こう。」
話を聞いて俺は戦慄した。ええ、そのやりかたって、ちょっとどうなんだろう・・・・・・。
いい天気だなあ。それにしても、聞いてほしいのはぴょん子さんが店長になったメイドカフェだよ!なんだか知らないけど、売上では、ついに猫カフェの2倍に達した。だって、グッズの売上なんかがすごいらしいよ。あまりにもぴょん子さんがすごいから、王様もスカウトしたいと言っていたらしいよ。なんなんだ?
サーシャも最近では、あいつは私を超えたかも、とか言ってるらしいし。うーん。
すると、空中から、俺とアリー、リース、アイカ、そして、赤ちゃんが出現した。えええ?赤ちゃんが飛んでる。
「ダダダ!」
「一緒に来てってさ!」
「お、おい、俺、この赤ちゃん誰?」
「あ、俺とサーシャの子、名前はガブちゃん。」
「はああああ?」
「ま、くれば、わかるって。」
俺たちは跳躍した。
「タクトさん、いつもすまねえ。」「タクトくーん。ありがと!」「あにき、かたじけねえ!」
「今日、遊べないんだ。でもさ、悪いんだけど、お使い頼まれてくれないかな。」
「もちろん!」「何?」「合点承知の助だ!」
「街のあちこちにある栗の実が落ちてるのを悪いけど、拾ってきてくれない?」
「わかった!」「いいわ!」「行くよ!」
みんなは、わーっと走って行った。結局やることさえあれば、遊びなんて、なんでもいいんだよな。
俺が、一人でにやけていると、空中から、俺とアリー、リース、アイカ、そして、赤ちゃんが出現した。えええ?赤ちゃんが飛んでる。ええええ?なにこれ?
「ダダダ!」
「一緒に来てってさ!」
「お、おい、俺、この赤ちゃん誰?」
「あ、俺とサーシャの子、名前はガブちゃん。さっきも言ったじゃん!」
「はああああ?聞いていないって!」
「ま、くれば、わかるって。」
そして俺たちは跳躍した。
俺は、たくさんの俺を集めて、高らかに宣言した。
「みなさん、喜んでください。海上国家で6年分のバックオーダーをもらいました。そこで、今から全俺の力で6年分の注文を仕上げてしまえと、ここのガブちゃんがアイディアを出してくれました。」
「はあ?横暴だ!」「ふざくんな!」「俺を家に返せ!」
「まあ、聞いてください。ここの時間は止まっています。つまりいくら仕事をしても経過した時間は0です!」
俺たちは作業に取り掛かった。途中つかみ合いや殴りあいにまで発展したが、その度にガブちゃんが割って入った。
「ダダダ!」
「わ、わかったよ。」「そ、そんなに怒らないでよ。」
そして、俺たちはボロボロになりながらも、全ての注文をなんとか仕上げ終わった。
「じゃ、ガブちゃんが送っていきます。ありがとう!」
最後の1人を送るとガブちゃんが帰ってきた。
「ダダダ!」
「え、ここに関する全ての記憶を消したって?ひどいなそれ!」
俺はちょっとそれはないんじゃないかと思いながら、時々そういえば、えらく疲れていた自分のことを思い出した。そうか、あれは、こういうことだったのか。もうガブちゃんだら、鬼だ・・・・・・。
「タっくん、だから、私たち反対したのよ、このやりかた。」
「かみさま、さすがにこれはちょっとかわいそう。」
「あんたも大変ね。」
ま、バックオーダー全部終わったから、よしとするか・・・・・・。
「ダダダ!」
「え、わかったよ、ミルクでいいんでしょ。」
「ダ!」
「はいはい。」
どうやら、ガブちゃんは、この家の王様だったようだ。
コメント、ブックマーク、本当にありがとうございます。こんな亀更新ですが、これからもよろしくお願い致します。