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カサンドラの逆襲

亀です。いつもお越しいただきありがとうございます。ちょっと短めですが、よろしくお願いいたします。

「あのカサンドラって人、どうにかしてよ。」


ゲッソリとしたシェールが入ってきた。


「もう、人に会うたびに、勝ったのだの負けたのだのうるさくて。」

「あいつ、今まで負けたことがなかったから、負けてからアイデンティティが保てなくなって、ちょっとおかしくなったんだろ。」

「うーん、ちょっとかなぁ?」


俺たちは台所をそっと見た。そこには、ケチャとカサンドラがいた。


「あ、これを運んでくださいね。」

「よくってよ。あなたもすごく可愛いけど、わたしほどじゃないかもしれないわね。うーん。でも綺麗度はともかく、可愛い度はちょっと負けたかしら。でも、わたしの方が総合点は上よ。」

「あーもー、うるさいなー。集中できないじゃないですか!」


ケチャが振り向いた。包丁を持ったままなので、ちょっと怖い。


「あ、あなた、逆上してわたしを刺そうなんて考えていないでしょうね。」

「うるさい!とっとと、それをお客さんにだしなさい!」

「は、はい。」


包丁を持ったケチャ、怖いよ。


「みたでしょ!店長。」

「うん、あいつちょっと頭のネジ外れてるな。ケチャ。」

「ケチャじゃないのよ、問題は、カサンドラよ。」


俺たちはそっと皿を持って、ケイトのテーブルに配膳した。


「おうおう、猫ちゃん。かわええのう、ペロペロ。あ、ありがとう。」

「あ、あなた・・・・・あなたすごく綺麗ですのね。も、もしかしたら私より・・・」

「はあ?何か、言った?かわええのうペロペロ。」

「あなた、誰ですの?」

「はあ、タクト殿の奥さんだよペロペロ。」

「な、なんですってー!あ、あのヘボ野郎、他にもこんな綺麗な奥さんがいるなんて・・・・・。」

「猫ちゃん、にゃーにゃー。かわええのう。かわええのう!」

「ま、負けませんわー!」


泣きながら、台所に走った。


「かわええのうペロペロ!」


うーん、ケイトは全然聞いていないな。




「ケイトさんは、ああだから。でも、あれを、店のお客さんにまでやって、なんだか気味悪がられてるよ。」

「うーん。」


働かざるもの食うべからず、ということで手伝わせたのだが、全然役に立っていないようだよな。だいたい、この世界の人って、美醜がそれほど人間の判断基準の中心になっていないから。それより、この世界の人って、基本的に、美しさのレベルが高いような気がするよ。


今まで蝶よ花よってちやほやされてきたカサンドラは、ほとんどの人が自分に見向きもしていないと知って、発狂しているようだ。アホかと。これはカフェの方はだめだな。そうなると、うさカフェも、メイドカフェもだめだろう。接客が身についていないからな。うーん。そうだ!


「おい、カサンドラ!」

「なんですの?やっと私の素晴らしさがわかりましたか。さあ、ほめなさい、讃えなさい!崇めなさい。」


うーん。これは・・・・・・。


「お前、仕事はするんだよな。」

「もちろんですわ。私の美しさをみなさんに見せて差し上げますわ。」

「そうか。よかったな・・・・・・。じゃ、ちやほやされれば、いいんだな。」

「そうですわ!」

「よし、わかった!」


俺は、記憶はそのままにカサンドラを6歳程度に巻き戻した。


「な、なんですの?これ?」

「これで、働いたら、お前、ちやほやされずぞ。」

「わ、わけがわかりませんわ!」

「試しにやってみろ!」


1日後、カサンドラは満面の笑みで宣言した。


「わたし、これでよくってよ。」


まあ、こうなるわな。みんな、健気に働いている6歳児に、気を使ったり、ちやほやしたりしてくれたらしい。この世界は子供に優しいからな。特に働いている子供には。


「あらあら、この可愛いお子さんは、どこからいらしたの?」


ミリカがおっとりと、カサンドラの頭を撫でる。


「可愛いわぁ。偉いわぁ。」


ビシっと、カサンドラは、ミリカに指を突きつけて宣言した。


「美しい人。わたしはあなたに負けない美人になりますわ!」

「あらあら。」


そのあと、気持ちよさげに撫でられているカサンドラを店の人が目を細めて見ていたのは内緒。


コメント、ブックマーク、本当にありがとうございます。いつも励みになっております。これからも、猫カフェにお越しくださいませ。

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